poem2 男友達とアウトくん
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“ ゲイのアウトくんの
病みがち連続ポエムシリーズ。
大震災が訪れる前の日本で過ごした学生時代は、いじめと自殺問題がいつもテレビのニュースになっていた。価値観が変わる少し前の話。オトナたちからは可哀想な視線を向けられた当時の子どもたち。学校は、刹那的でおしゃべりで露悪的で残酷な世界だった。闇になった気持ちは、闇の気持ちでないと救えないときもある。LGBTが日本語になる少し前の世界でセクシャリティに悩むためのポエムをキミに。lover、lover、lover ”
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僕に男の子の友達はずっとできないんだと思う。
〈そうだよ。〉
友達みたいな人ができて、向こうが友達だと思っていたとしても、男の子だったら、僕は友達の自信がなくなる。
〈そうだよ。アウトくんには男の子の友達はできないよ。〉
向こうが男の子だったら、友達がわからなくなる。傷つきたくない。傷つけたくない。
〈そんなこと言ったって、そもそもアウトくんには友達ができないじゃん。男の子の友達は、〉
そうだけど。でも、向こうは友達だと思ってくれてるかもしれないし、それは人それぞれだから、友達の定義のレベルが違うことだって、それは失礼になっちゃうでしょ?
〈幸せになるのが怖いだけじゃん。最初から悪者みたいにふるまうね。〉
そうかもしれないけど。
〈友達が少ないやつは話が長いよね。煽りたてるのやめなよ。〉
うん。
〈相手にどう見られてるかカンタンにわかるぐらいかな?笑 、アウトくんは相手の感情を引き出さないと心配なんだね。〉
うん。
〈煽りたてるのやめなよ。笑〉
君が煽ってるじゃん。
〈いじめられると嬉しいくせに。勃起してるでしょ。〉
うん。落ち着くね。
〈人間関係がおっくうで仕方ないのに、友達がほしいなんてフリ。普通になりたいんだね。わらうよ。〉
…。ねー。
〈?〉
僕たちが、双子だったら、ずっとセックスできてたのかなぁ。
〈うん。〉
たまにいるじゃん。双子のホモってさ。笑、そんなふうにさ、双子だったらさ、君と幸せで。
〈うん、昔、鏡とキスしてたよね?〉
してたね。
〈高校のとき、クラスの誰かがクラスメイトの家系図作ってさ、担任に見せてさ、アウトくんは、アウトくんの好きな子の双子にされてたね。あまりに見慣れないヘンテコな組み合わせだったから、担任がツッコんで。アウトくん、顔真っ赤だったよ。〉
そうだね、
〈アウトくん、ホモ隠せないから〉
ごめん。告白してないし、クラスで誰ともまともに話してなかったのに。
〈キモいね。毎日悩んでるから、バレるんだよ。〉
そうだよ。おかしいんだよ。
〈かなしいね。笑〉
なにも自然にできなかったね。
〈…。〉
〈あとさ、僕たち、両方アウトくんだよ。〉
/
〈大学に入ってから、男の子との会話にびびっててたでしょ。平気なフリしてたけど、見た目がタイプな陽キャな子を選んで、「どうしたらいいのかわからない」って、打ち明けた。〉
美術の大学だったら、自分と似たような子いるかなって。ホモでも許してくれるかなって。考えてた。
〈普通だったね。〉
普通だった。みんなが中学から高校で学んでた人間的な成長を、あたりまえを、シンプルに遅れたって思った。きっと遅れた6年分を、みんなよりも後から勉強しないといけなかった。
〈そうだね。〉
〈アウトくんが学ばなければいけなかったのは、恋愛のかたちと、友達のかたちと、メッセージアプリのかたちと…。なにかいっぱいあった気がしたけど、忘れたね。〉
〈勉強しても、アウトくんが手に入らないのは、男友達のかたち。これは、いくら勉強しても、きっとできない。恋人のかたちも、まだできてないけれど、その勉強は、もっと、後からでも大丈夫だね。〉
男友達がほしいね。
〈また、ウソついた。〉
うん、やっぱり大丈夫。
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