10試合目 初めての運動と悪魔。
武田先輩の大会の日。
大会が行われる体育館の最寄りで三人は集まることにした。
徹と春馬は集合15分前にはついている。あとは一人。
「ごめんなさい。待ちましたか?」
今日は清楚なワンピース姿に小さなショルダーバッグでヒールをはいていた。
正直言って、さくらは何を着てもよく似合う。顔立ちがいいからだろう。
何はともあれ5分前に全員集合完了。
「大丈夫だよ。じゃあ行こうか。」
「あ!えっと。その前に…春馬君!!!この服どう???」
おっと。ずいぶん大胆に攻めたな???
「似合っててきれいだよ!!!!」
「はう…!」
さくらの顔は耳まで真赤になり口がめちゃくちゃ緩んでいたのは内緒。
「…ら。さくら!」
「はっ!??」
「浮かれてないで行くぞ?」
「う、浮かれてなんかないわ!」
本当、なんで春馬はこれでも気づかないんだろうか。もはやミステリー。
そして10分ほど歩いたのち、目的の体育館についた。
三人は二階席に座り武田先輩の試合まで待った。
「あ!!!あれだ!!!」
春馬が指さした方向には防具を付け試合を始める前の武田先輩の姿があった。
「あの人が…」
そうか、そういえばさくらは見たことなかったな。
「はじめ!!!」
審判がそう合図した瞬間だった。瞬きをした瞬間にはバンという音とともにもう一本が決まっていた。
「ちょっと!?武田って先輩強すぎない!???」
さくらは目を見開き驚いた。
「初見はそうだよな。俺たちもそうだった。」
懐かしい記憶だ。一年の時にあの姿をみて剣道部入ろうって思ったんだよな…。
そうして30秒立たないうちに2本目を決め試合に勝利した。
「剣道って2本獲ったら勝ちなの???」
「まあ大体そうかな。時間切れの場合は多く点を取ってるほうが勝ちだけど」
「引き分けの場合は?」
「時間無制限の延長戦が基本かな。一本取れば勝ちってやつ。」
「へえ…」
おっと??この小説にしてはまじめな会話だ!
そうしてそのあとも武田無双は続き決勝戦だ。
決勝の相手の名前は芥田 紫。
「芥田だと!???」
西屋敷は思わず大声を上げた。
「そんな強い相手なの??」
「いいやただの卑怯者さ。去年、武田先輩と唯一延長戦まで持ち越して武田さんを倒した人だ。」
「それって強いんじゃ???」
「いや、あいつは武田先輩をわざと負傷させた。」
「え!???」
芥田は去年の試合で、開始直後に体制を崩したふりをして武田先輩の足に竹刀で全体体重をのせけがをさせた男…。今回もどんな手を使ってくるか…
「試合は長引きそうだな…」
「そう????武田さんもう一本獲ったっぽいわよ。」
え???
武田先輩のほうを見ると本当だ。もう一本決めている…つよ!?これならワンちゃん…!
しかしその時だった。
「う…うぁっぁぁあっぁあぁぁああ!!!!」
体育館中に武田先輩の悲鳴が響いた…
「ヒヒィ…」
その悲鳴を聞き、芥田は笑った。
そして武田十文字の足をよく見ると出血していた…。
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