第29話 商人組合?
エンケリンちゃんに幻影魔法を掛けて、
乗り込む前にシュトゥーテに一言声を掛ける。
「よろしくね」
「ブヒヒン(随分待たせてくれるじゃない)」
「あはは、ごめんね」
「ブヒヒンブヒヒ(あの子が嬉しそうだから良いけどね)」
「ありがとう」
そうして荷台の方に乗ろうとした私にエンケリンちゃんが声を掛ける。
「リーベスお姉ちゃんはこっち」
そう言うとオーパ爺の隣を指す。え? そこはエンケリンの席じゃ――
「ほら! 早く!」
「う、うん」
そうしてオーパ爺の隣に座った。
「それじゃあエンケリンちゃんはどこ――」
「わたしはここ!」
ぽふ。そんな効果音が鳴りそうな行為に私の頭は真っ白に……。
わっつはぷんえんけりんおんざにー。
あちら語のにーでも太腿を含むのだろうか?
私がそんな逃避をしている間に、エンケリンちゃんは私の膝の上でもぞもぞして、ポジションを微調整し、ノータッチをアピールするために挙げている私の両手を自分のお腹に回して固定。そして、これで完璧と言わんばかりに、ふんす、と鼻息一つ吹いた後、私を振り返って、にへへ――
「……ーベス! おい! リーベス!」
「……姉ちゃん! リーベスお姉ちゃん!」
「ふぇ!?」
私を呼ぶ声と肩を揺さぶられる感触と手をぺちぺちされる感触と共に覚醒する私。
「へ? あれ?」
いつの間にかエンケリンちゃんの家じゃない何処かに居た。
「やっと反応しおった。目を開けながら寝てでもいたのか? 器用じゃのう」
「リーベスお姉ちゃん大丈夫?」
そう言いながら心配そうに私を見るエンケリンちゃん。
「へ? あ、あっ! そうみたいだね。寝てたっぽいね。だからエンケリンちゃん、私は大丈夫だよ」
「そっか、よかったぁ」
ほっとした様な声音で、笑顔でそう言うエンケリンちゃん。
いかんいかん! またエンケリンちゃんに心配を掛けてしまったぞ! ううう、でもあれは仕方無いよね? 突然エンケリンちゃんがあんなことをしてくるから! もっと心の準備をさせてくれないと! って今もその状態だっ――
「それでは始めるかのう」
「うん!」
そう言うとエンケリンちゃんは私の膝の上から飛び降りた。
――たのにー! まだ全然堪能してないよ!?
「まだ寝ぼけとるのか? 運ぶのを手伝っとくれ」
「へ? あ、うん」
間抜けな返事をしつつオーパ爺に続く。
頭を切り替えないと、ここでぼやぼやして駄目姉度を上げる訳にはいかないよ! それに、ちょっと考えれば機会は直ぐに来る筈なのだ。
「これらをあそこまで運んでくれんか」
「
これらの木箱ですか。お道具箱を使えば直ぐ終わるかな。あ、でもそう言う収納系の能力ってありふれてるんだろうか? 能力の使用は色々確認してからかな。じゃあ取り敢えずは普通に運ぼうか。
「よいしょ――って、軽っ!?」
取り敢えず手近な木箱を持ち上げると、予想以上に軽い。え? これ中身入ってる?
一先ず持ってる木箱を置いて隣の木箱を持つ、軽い。また隣、軽い。う~ん。
「オーパ爺これ全部運ぶんだよね?」
「おお、頼めるかのう」
やっぱりこれで間違いないのか……まあ軽い商品が入ってるのかな? あの二人でやってたんだもんね、そうなのかも。
これ位いくらでも持てそうだけど、調子に乗ってやらかして、ばら撒いたりしたら大変だから3つ位にしようかな。
「ほっ、と」
うん。軽い。重さ的にはまだまだ行けそうだけど体積的にこのくらいが妥当かな。そうじゃないと、あっちの世界で見た発泡スチロールを物凄い高さにして運んでた人みたいになっちゃうからね。そんな事したらばら撒く気しかしない。
「持ってくの、あそこで良いんだよね?」
持ってく場所を視線でオーパ爺に確認する。
「お、おお、そうじゃが……無理せんでも良いんじゃぞ?」
「へ? あはは、これを重いって言うほどか弱くは無いよ」
「そ、そうか……なら良いんじゃが」
荷物運びさせる癖に、変なところで紳士的だね? オーパ爺。
「お願いしま~す」
そう言って荷受け場所っぽい所に置く。
「おう! おお!?」
荷受け担当っぽい人が返事をしつつこっちを向いたら、なんか驚いてる。
「すまんが一つづつ並べてくれんかのう」
オーパ爺にそう言われた。成る程ちゃんと中身見れる様に置けって事ね。
「ほい、ほいっと」
3つ積んである物の上2つを持って横に並べて、また上に乗ってるのを横に置く。
「すまんのう」
「いえいえ、じゃあ他のも持って来るね」
なんか担当の人が凄い驚いてるんだけど、私ってそんなにか弱く見えるのかな?
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