第72話

「新年くれぇゆっくり迎えたかったぜ!」

「申し訳ございません」

「がっはっは!冗談だっ!見たところ崩れる心配もねぇ!明日までに瓦礫をよけちまえばあとは掃除をちゃちゃっとやって水の濁りがとれちまえば使えるぜ!」

「まぁ!なら年越しと新年をお迎えになられるお客様にはご提供できそうね!」

「おうよ!ダイスケに礼を言わなきゃならねぇな!」

「お客様にお怪我までさせてしまって…」

「すでにお治りになられておりますのでご心配なさらず」

「そ、そうなの」

「あいつは色々やってっから俺らとはちげぇんだよ!まぁ中身は変わってねぇけどな!」

「はい、全くと言っていいほど変わっておられません」

「がっはっはっは!そんだけあいつが一流ってことだ!」

「ありがとうございます」


ガンホー様が洞窟の細部までチェックなさり、その後宿の男性従業員とともに瓦礫の撤去を始めました、明日中には新しい露天風呂が使えるようになる見込みだそうです。


「戻りました。タチバナ様は?」

「まだお目覚めになられないわ」

「出血はとまりました」

「そうですか」


うんうんと小さな声でうなされているタチバナ様を二人が心配げに見守っていました。


「ふぁっ!ご、ごめんなさぁー--いっ!!!」

「タ、タチバナ様!?」

「はぁはぁはぁはぁ…ゆ、夢か…」

「随分とうなされておいででしたが?」

「はぁはぁはぁ…ああ…アリスさん…実はモネちゃんとルイちゃんが裸で立っている夢をみちゃいまして…」

「そうですか、それでなぜうなされておいでで?」

「え?そ、そりゃぁ…あんな可愛い二人の裸をみてしまったから…申し訳なくて…」

「なるほど…ですが夢なのですからお気になさらず」

「はい…2人に申し訳なくて合わせる顔がありませんよ…」

「二人も心配なさるのでお忘れしたほうがよろしいと思います」

「そ、そうですね…お風呂が刺激的すぎたのかもしれませんしね」

「そうですね」


なんとか夢オチを押し通せました。


「カリンとナタリーはフィーネの元に行きこのことを伝えてください」

「タチバナ様、体調はもう大丈夫なのですね?」

「え?ええ」

「わかったわ、カリンいきましょ」

「はい!」

「それと明日中には露店がつかえそうだということも伝えてください」

「わかった」

「カミューは新しいタオルとタチバナ様のお飲み物をもらってきてください」

「はい!」


3人がそれぞれ部屋をでていくのを未だに少々へこんだままのタチバナ様が見送られました…はぁ~…手のかかる方です。


「タチバナ様は温泉でおのぼせになられてしまいました」

「え?それで少しだるいのか…」

「とりあえずおのぼせになられ噴出した鼻血のあとを洗い流しましょう」

「え!?あ、あぁ…また汚してしまった…」

「仕方ありません、こちらに新しいお着替えをご用意しておりますのでまずは洗い流しましょう」

「そ、そうですね…って…ま、まさか…」

「ぐずぐずなさらずこちらに、お風邪をひいてしまいます」

「や、やっぱり!大丈夫です!自分で!」

「後頭部と首を伝い後ろまで血まみれでなにをおっしゃってるのですか?」

「え!?そんなに!?あぁ!髪がパキパキだ!」

「血の跡は乾いたら中々とれません、いいから早くこちらにくる!」

「はっ!はいぃぃぃ!!」


はぁ~…本当に世話が焼けます…。


「まずは髪を洗い背中の跡を落とします」

「うぅ…お、おねがいします」


やっと観念なさり頭をさしだしてくれました。


「たって後ろを」

「はい…って!うぉぉ!」

「パンツまで汚れてしまいお尻にまで跡が残っておいでです」

「いや!さすがにそこは!あっ!あぁぁぁ!!!」


大袈裟な方です…。


「はぁ~…お風邪をおひきになる前に終わらせたいので一々手を煩わせないでください」

「う、うぅ…はいぃ…」


しょんぼり肩をおとしこちらをおむきになってくださいましたが、前を隠すのをお忘れのようです。


「傷口はもう大丈夫のようですね」

「え?あ、ああ…カリン先生のおかげですねぇ…あとでお礼を言わなきゃ」

「そうですね」

「それとも随分になられていらっしゃるようで」

「え!?あ!あぁぁぁぁ!!はぅ!ア、アリスさんっ!!!何を!?うっ!!はぁ~ん!!!!」


洗ってさしあげると思ったよりも大量の噴出したようでした。


「うっ…うぅ…完全にお婿に行けなくなってしまった…」

「はぁ~…なにを今さら…」

「うぅ…」

「とりあえずお着替えをおすまし下さい」

「はい…」


いそいそとお着替えなさりなぜか壁際に体育座りをなさってしょんぼりし始めてしまいました。


「お待たせいたしました!タオルとつめたー-いお水をお持ちしました!って…あれ?タチバナ様なにをなさっておられるのですか?」

「カミューご苦労様です、タチバナ様にお水を渡してください」

「え?は、はい…タチバナ様冷たいお水ですよ、お飲みになられてください」

「カミューさんありがとうございます」


力なくグラスをうけとりチビチビとお飲みになられています。


「失礼いたします」

「タチバナ様お加減は大丈夫ですか?」

「モ、モネちゃん!?ルイちゃん!?う、うん!もう大丈夫だよ!心配かけてごめんね!」

「いえ…ん…これは」

「…よもや…アリス様…」

「なんでしょう」

「タチバナ様になにを?」

「ナニもしておりません」

「…私たちは幽体です…精に敏感なのですが?」

「血糊を洗ってさしあげただけです」

「「 !!!!!!! 」」

「なにか?」

「………フィーネ様にご報告とご相談してまいります」


2人がきびつをかえし再び部屋をでていってしまいました。


「タチバナ様、さきほどガンホー様がおこしになり露天風呂は明日から使えるようになる見込みだそうです」

「え!?そうなんですか?」

「はい」

「おぉ…よかったぁ…失敗だったとかだったらどうしようかと思いましたよ…」


ほっと安堵の息をはいて先ほどまでの事と気分を切り替えできたようです。


「ダイスケもう体調はいいようね」

「フィーネさん、ええばっちりです!カミューさんからもらった水で完全にいきかえりましたよ」

「そう、この子たちも心配していたのよ?」

「テト心配かけてごめんよ」

「にゃぁ~」

「ちょっと私たちは明日からの予定をたてるからこの子たちと一緒にいてあげてくれるかしら」

「もちろんですよ!あ!カリン先生!」

「はい?」

「カリン先生のおかげでケガもばっちりなおりましたよ!今回もありがとうございます!」

「いえいえ!おきになさらず!元気になられてよかったです!」

「ありがとうございます!」

「ふふふふふ」

「カリン?そろそろ行くわよ、あなたたちはアリスをして」

「かしこまりました」

「カミューあなたもきなさい」

「は、はい!ではタチバナ様ご無理なさらずおやすみください」

「ありがとうございます」


両方をモネとルイに挟まれフィーネの部屋へと連れて行かれました。


「それで?どこまやったの?」

「なにをですか?」

「まさかあんたタチバナ様を襲ったわけじゃないでしょうね!」

「そのようなことはしておりません」

「じゃあ、なにをしたのよ!」

「血の跡を洗い流してさしあげただけです」

「へぇ…それで?」

「それでとは?」

「アリス様から精の匂いがします」

「ああ、それは洗ってさしあげたときにタチバナ様がしてしまっただけです」

「さ、さわったんですか!?」

「はい、血の跡と興奮なさった跡で汚れがひどかったので」

「!!!!!!!!!!!」

「フィーネ様…もうでよろしいですね?」

「そうね…アリスが解いちゃったものかまわないわ」

「ちょっと!何の話よ!」

「簡単な話よ」

「だからなによ!」

「モネとルイは鬼幽体なの」

「それは知ってるわ」

「二人がこっちの世界に居れるのは私が力を分けていたからなの」

「それがどうしたの?」

「主が私からダイスケに移ったのよ?」

「え?ではどうやって」

「タチバナ様から漏れ出しているお力をいただいてなんとか」

「はっきり言うとこの子たちの力は今は元の数十分の1程度なのよ」

「えぇ!?」

「本来なら主からのお力をお分けしていただくのですが、フィーネ様からタチバナ様はまだ駄目だと言われておりましたので我慢しておりました」

「え…それってまさか…」

「ダイスケは不思議でね、一度も出したことがないようだったのよ」

「え!?」

「それで1度目は抑え込んでいた部分がでて本番は2度目からなのよ」

「ということは!アリスがそれを出してしまったということなんですね!?」

「ええ、だから多分…次からはかなり高濃度の力が含まれていると思うわ」

「明日から一日に1度、お分けしてもらおうと思います」

「具体的にはどのように?」

「どのような形であれ体内に直接とりこめれば」

「!!!!!!!」

「ちょっと!二人はかわいそうだけど流石にそれは許可できないわ!」

「そ、そうですよ!」

「それなら私も!」

「うっさい!今はあんたになんかかまっていら慣れないの!」

「そうですよ!消しますよ!」

「ひぃ!ひ、ひどい!」

「二人がそういってもこの子たちだってギリギリでがんばってるのよ?」

「そうですけど!」

「ちょっと!アリス!あんたのせいなんだからね!」

「はぁ~…私はただ洗ってさしあげただけなのですが…まぁいいでしょう、ではこういたしましょう」

「なによ」

はダメです、タチバナ様が心に決めた方としていただきたいので」

「そうよね!」

「体内に取り込めばいいというのであれば口から採取でも構いませんね?」

「ちょっと!」

「かまいません」

「では、今まで見てきたからわかると思いますがあの方は朝は必ずと、夜も眠気が限界におなりになるとき最低2度の採取が可能と思うので二人で話し合い日に1度ずつの採取にとどめてください」

「かしこまりました」

「ありがとうございますアリス様」

「いえ、結果的に私の落ち度でもありますし、なによりあなた方が居なくなった場合のを想像したくありませんので」

「「アリス様…」」

「決まりね、二人はそれ以上のことは許可なくしちゃだめよ?」

「わかっております」

「ちょっとまって!じゃあ二人の採取の妨げにならないという前提で私たちも本番以外はみとめてもらうわ!」

「そ、そうですね!」

「ですです!」

「私もお願いします!!」

「はぁ~…まだ駄目よ…ダイスケの負担が大きすぎるわ…2人に分けて少し様子を見て大丈夫そうなら解禁するわ…いいわね?」


しかたないとフィーネが妥協案をだしなんとか他のみんなは渋々なっとくしてくれました…まぁモネとルイがあとはフィーネとともに上手くやってくれるでしょう…。


「アリスはしばらくダメですからね!一番最後です!」


はぁ~…今回ばかりはやりすぎてしまいましたか…完全に私の落ち度のようです。


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