第56話

「一応このように互換性をもたせてみたんですが」

「おぉ!さすが大輔ね!」

「ありがとうございます!納期よりも早く収めてくれてたすかります」


なんか久しぶりに元職場に来た気がするよ…けど鈴木さんも田中さんも元気そうでよかった。


「大輔、あとで打ち上げの日どりきめましょ」

「おぉ!そうですね!」

「仕事が終わったらグループに送っとくから時間があるときにみて連絡してよ」

「わかりました」

「あの…」

「はい?」

「い、いえ……楽しみにしてます」

「俺もです!ではまた!」


なんか田中さんも鈴木さんも雰囲気が硬かったな、久しぶりだからかなぁ…今日はナタリーさんが居ないから緊張してたってわけじゃないとおもうんだけどなぁ。


「おかえりなさいませ」

「ただいま戻りました」

「お時間がだいぶおされたようですね」

「ん?うん、4軒まわったからねぇ…」

「お疲れのようですが大丈夫ですか?」

「いやぁ、全部自分でって久しぶりだし元々他の会社の人と交流のある場所にいたわけじゃないから緊張しちゃって、ははは、改めてアリスさんとナタリーさんのありがたみがわかったよ」

「さようにございますか」


2人の出迎えが緊張して疲弊した心にしみわたるぜぇ……。


「タチバナ様お疲れ様です」

「お疲れ様です」

「お疲れのところ申し訳ありませんが王妃様からご連絡がありましたのでこれより登城していただけますか?」

「はい、じゃあ着替えます」


王妃様から…何の用だろう…ザイードさんたちになにかあったのかな…。


「あれ?みんなで行くんですか?」

「はい」

「テト達も一緒で大丈夫なんですか?」

「私たちがそれぞれ面倒をみますのでご安心なさってください」

「この子たちはタチバナ様より粗相することはないのと思いますが?」

「うっ…た、たしかに…そうかも…」


登城前よりずっと緊張なさっているタチバナ様を4匹が心配そうにしているとどちらが飼い主かわからなくなりそうです。


「失礼します!」

「エミリー?行儀が悪いわ、タチバナさんに失礼でしょ」

「すみません…久しぶりに皆さんにお会いできるので…」

「王妃様、エミリー様お気になさらず」

「アリスありがとう、タチバナさんごめんなさ……………」

「まぁ!!新しいお友達がこんなに!」


王妃様はロキたちがどのような生き物か即座にご理解したようですがエミリー様は無邪気にルフやロキを抱きしめてご満悦のようです。


「……………この子達は?」

「タチバナ様の従魔にございます」

「……………そ、そう」

「おっしゃりたいことは心からご理解いたしておりますが…いかんせんタチバナ様ですので…」

「そ、そうね……」

「お母様ご覧ください!ロキちゃんもルフちゃんもモフモフです!レイちゃんも!わたくし亀ちゃんは初めてみましたが甲羅がすごく綺麗ですよ!」

「そ、そう……よかったわね…けどタチバナさんの従魔なのだから勝手に触ってはご迷惑よ?」

「あっ!タチバナさんすみません!」

「いえ!この子達はみんな賢くて可愛いですからね!エミリー様の気持ちはよくわかりますよ!」

「ありがとうございます!」

「にゃぁ~」

「テトちゃんも久しぶりに会えてすごく嬉しいです!んーーー!!!」


テトを嬉しそうに抱き上げほおずりしている姿は微笑ましいですが護衛からしたら気がきではないと思います。


「それで王妃様この度はどのようなご用件で」

「え?ええ…そうだったわね、出鼻から驚かされて忘れていたわ」

「もうしわけありません」

「タチバナさんですものね…気にしないで…」

「お心遣い感謝いたします」

「ふぅ~…それで今回足を運んでもらったのは」

「ジャワンのことね?」

「ええ」

「昨日うちのほうにも報告が来たわ」

「え?そうなんですか!?」

「ええ」

「し、しらなかった……3人は無事なんですか?」

「ええ、ただそろそろ引き上げるように伝えたわ」

「用件がおわったってことですか?」

「いいえ?そのままいると3人とも死にそうだからよ」

「えぇ!?」

「功を焦ってもいいことはないのよ」

「無事にかえってきてくれたらそれでいいですよ!帰ってくるんですよね?」

「ええ、明後日にはこちらにつくと思うわ」

「ふぅ~…まだ無事にかえってきたってわけじゃないけど安心しました」

「そう?よかったわね」

「そうですよ!いつも頼りにして申し訳ないですけどフィーネさんがいてくれてほんとよかったですよ!」

「ふふふふ、そんなに頼りたいなら今日は一緒に寝てあげましょうか?」

「ぶっ!子供じゃないんですからそんな甘え方しませんって!」

「あはははは!身持ちが硬いのね!」

「フィーネそのへんで、王妃様の方へはどのような情報が?」

「そうね…思ったより厄介ってことかしら」

「やはりそうですか」

「ええ」

「ちょっと!話がみえないんだけど!」

「簡単です、ジャワンと宰相の裏に巨大な力をもった誰かがいるということです」

「ええ」

「え!?それってもしかして」

「多分ですがタチバナ様を攫おうとしたもの、そして…」

「ま、まさか…義理姉さんたちをやった相手…」

「同一だと認識して問題ないと思います」

「!!!!!!!!」

「じゃあ、そいつをぶっ倒せば…全部解決するってことですか?」

「そのような簡単なことではありませんが新たな問題の発生はふせげるかと」

「そうですか…そもそもなんでザイードさんを」

「簡単よ」

「え?フィーネさんわかるんですか?」

「ええ、ザイードがいたら国を手に入れれないじゃない」

「えぇ!?」

「ああ見えて兄は超優秀な兵士だったのよ」

「ああ見えてもこう見えても優秀なのはさすがの俺でもわかりますって」

「そう?ふふふ、ありがとう」

「俺みたいなド素人の適性をしらべて鍛えられるだけで育成能力の高さがわかりますしパーティーの時の護衛だってずば抜けてたでしょ?」

「そうね、だから邪魔なのよ」

「はぁ~…ザイードさんもライン様も優秀すぎて目を付けられるなんて…ひどい話ですよ…」

「……………そうね」


しみじみと眉間にしわを寄せておっしゃられたタチバナ様の言葉に場がちんもくしてしまいました。


「それで?はなに?」

「え?ええ、さすがフィーネね…かなわないわ」

「お世辞はいいわ、むしろ本題はそっちなんでしょ?」

「ええ、実はタチバナさんにおり言ってお願いがあるの」

「なんでしょう」


王妃の雰囲気がかわりました、こういう時は大抵ろくな願いではありません。


「エミリーがフィルドという国にいくのだけれど道中と滞在している間の護衛をお願いしたいの」

「エミリー様だけでいかれるのですか?」

「ええ、正直今の状態では私もラインも国をあけることができないのよ」

「でしょうね」

「ええ…それでフィルドは第二王女だったクレメンスが嫁いだ国で名目的には仲の良かったクレメンスの元に遊びに行くという形なのよ…どうかしら」

「ええ…急にそんなことを頼まれましても…」

「わかったわ、出発はいつ?」

「え!?フィーネさん!」

「なに?あなたエミリー様を助けるって決めたんでしょ?」

「そうですけど!」

「よもやお一人で何とかしようなどという暴挙をお考えで?」

「そういうわけじゃないですけど、ザイードさんたちが戻ってきてすぐですし、向こうの仕事もあるじゃないですか」

「ご努力を」

「うっ!」

「だめかしら…」

「タチバナさん…」

「わかりました!社畜根性みせてやりますよ!」

「ありがとう!感謝するわ!」

「ありがとうございます!」

「引き受けましたけど…ぶっちゃけ俺は役に立ちません!けど俺の周りにいてくれてる人たちはびっくりするくらいすごい人たちなんで安心してください!」

「ぶふっ!タチバナそれいっちゃう!?」

「しかたないじゃないですか!そんなの見栄はえってもエミリー様が危険になるだけですよ!」

「はぁ~…とりあえず…ナタリーたのみます」

「ええ、ルートの確認と滞在期間、必要な物資はまかせて」

「ナタリーさんありがとうございます…今回も甘えさせてください」

「いつでもお好きなだけお甘えくださってかまいませんよ?」

「うぅ…ありがとうございます」


さすがナタリーです容赦なくつけこんでいきます…。


「ちなみにほかの護衛は」

「今回はタチバナさんだけにお願いするつもりよ」

「え!?」

「メイドと執事はつけるけど護衛は正直そちらの邪魔にしかならないもの」

「賢明な判断ね」

「邪魔っていうことはないと思うんですけど…まぁザイードさんとアンリさんがいますからねぇ…そうそう抜けられることはないか」

「ええ、まかせて!」

「テトもロキもルフもレイもエミリー様を守ってね?」

「にゃぁ~」

「ワン」

「ホォ」

「フゥ」

「やったぁ!皆さんで旅行に行けるなんて素敵すぎます!皆よろしくおねがいしますね!」


4匹をまとめて抱きしめるエミリー様は実にいい笑顔をしておられますが執事と護衛の精神がもたないのではないでしょうか。


「馬車での長旅になりますからね、その子達が一緒だとエミリーも退屈しないですみそうね」

「はい!」

「ば、馬車ですか…」

「タチバナ様、何か問題でも?」

「お尻が痛くなるなぁと…」

「あはははは!慣れないとそうですね!」

「今ある馬車が嫌ならつくればいいじゃない」

「えぇ!?馬車なんてつくったことありませんよ!」

「なるほど、いいかもしれません」

「アリスさん!?」

「ここはタチバナ様の唯一役に立ちそうでまともなご趣味が日の目を見る機会かもしれません」

「え?タチバナの趣味?」

「どんなものなの?」

「光る箱で図面をひいてピコピコやると図面通りの部品ができてそれをくみあげて様々な模型をつくることです」

「え!?モネちゃん見てたの!?」

「はい、メイドのたしなみにございます」

「ルイちゃんまで…」

「はぁ~…タチバナ様おひとつお伺いいたしますが」

「はい?」

「おつくりになられたものは日ごろどうなさっていますか?」

「え?窓辺や机に飾って…あれ?」

「私やモネとルイがお飾りいたしておりましたが?」

「あっ!あ゛ぁぁぁぁ…」


この方は本当に仕事以外なにもできません…世話がやけます…。


「タチバナ様が馬車の部品のミニチュアモデルをおつくりなればカミューが原寸を計算しこちらの職人につくらせますので」

「ま、まにあいますかね?」

「タチバナ様しだいかと」

「し、仕事もあるんですが…」

「私たちやエミリー様も馬車で移動いたしますが?」

「う゛!…や、やります」

「よろしくお願いいたします」


多少卑怯かもしれませんがタチバナ様にはよく効く手をつかわせていただきました。

あとはカミューが死に物狂いでなんとかするでしょう。










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