第50話
「はぁ~…」
「みのりどうしたのよため息ついて」
「え?んーん、ごめんちょっと疲れちゃって」
「どうせ大輔のこと考えてたんでしょ?」
「え?違うよぉ」
「近江さんがみたっていう人、もしかして前に大輔が言ってた人なんじゃないの?」
「…多分そうだと思う…」
「びっくりするくらい綺麗な人で大輔に声もかけれなかったって言ってたわね」
「うん…もし…あの人だったら…勝ち目なんてないよ…」
「それで?もうすぐ仕事おわるけど打ち上げやめるの?」
「やめないわよ!」
「ふふふ、私だってまだあきらめてないからね?」
「のりこ!?」
退職後、立花がどんどん遠くにいってしまっていると感じてしまいため息をはく鈴木みのりと、その光景をみて落とすまえに退職させてしまった会社に地味に恨みをふやす田中のりこだった…。
「恵美ほんとなの!?」
「うんうん!びっくりするくらい綺麗な人と一緒にジュエリーショップにはいっていったんだよ!しかもずっと腕組んだままで!」
「!!!!!!」
「心折れまくりだよ!」
学校では長門恵美と徳永翔子がタチバナとアリスのデートの話をしがっくりと肩をおとしていた。
「ナタリー」
「なに?アリシア」
「タチバナさんがギルドの依頼をうけてくれるのはうれしいんだけど、全然顔をださないのね」
「私が窓口になっているんだから必要ないじゃない」
「それはそうだけど」
「スキルを取るときには顔をだすし別に日ごろ顔を出す用事がないだけ、それともタチバナ様になにか用でもあるわけ?」
「用ってほどじゃないんだけど…」
「ならいいじゃない」
眼鏡をクイっとあげ淡々と答えたナタリーがまだ何か言いたそうなアリシアをよそにスタスタと帰ってしまった。
「ただいまもどりました」
「あら、カリン随分早いわね」
「カリン話は上から聞いています、カミューはどこにいますか?」
「向こうの家に案内してあります」
「わかりました、皆いきましょう」
「タチバナさんはいいんですか?」
「仕事に没頭していでですので」
「タチバナ様がご休憩なさる前に戻りたいので申し訳ありませんがお急ぎねがいます」
モネとルイが頭をさげ全員で異世界へと移動した。
「ナダン、対応ありがとうございます」
「アリスさん!いえ、皆さんもお客様がおまちです」
「ザイードは?」
「えっと…お客様だといったのに…怪しいって見張ってます…」
「さすがですね」
異世界の家につくとお茶を運ぼうとしていたナダンがいました、モネがうけとり私たちは応接室へと移動しました。
「ア、アリス先輩!」
「よぉ~、なんだこいつほんとにあんたらの後輩だったのか」
「そうです、ザイードご苦労様でした」
「はいよ、んじゃ俺はいくぜ?」
興味なさそうにザイードが部屋を出ていきました、出ていくときにフィーネがザイードに小さな紙を手渡しそれをみたザイードが少々殺気だったのが気になりますが…今はカミューが尋ねてきた理由を知るほうを優先します。
「それで何の用ですか?」
「アリス先輩にお願いがありまして…」
「なんでしょう」
「アニーを!私の担当をたすけてください!」
「どういうことでしょう」
詳しく聞くと向こうの仕事の都合で誰とも組めずにいたメス豚が一人で無茶をしダンジョンの罠にかかってしまったようです。
「自業自得じゃない」
「そうね」
「上からまだ死亡が確認できないって言われたんです!私が行ければいいんですが…ヒーラーの私では…」
「なるほど…冒険者に依頼をだせばいいのでは?」
「それが…誰も受けてくれずに…」
「それでタチバナ様に指名をだしたいということですね?」
「はい…」
「カミュー、どこのダンジョンなのですか?」
「そ、それが…積尸気の…」
「はぁ!?一人だったんでしょ!?馬鹿じゃないの!」
「勝手に依頼をうけて行ってしまったようで…」
「アリシアはなんと?」
「ギルドには仲間が集まったら行くといっていたそうですが…」
「確信犯ということですか…」
「お願いします!私も同行いたしますので!」
「ただでさえ危険な場所にあなたみたいに戦闘で役に立たないお荷物をさらにつれてけっていうの!ふざけないで!」
「ヒーラーとして精いっぱい!」
「カリンがいけば問題ないじゃない!」
「うっ…私が行けば…アニーの居場所がわかりやすいので…」
「アリスどうするの?」
「タチバナ様に一存するつもりならダメよ?あのお方はお優しいからどんなに危険でも必ずいってしまうわ!」
「…わかりました…カミュー引き受けましょう」
「アリス先輩!」
「アリスっ!」
「知らせずにカミューの担当が命を落としそれを何かのきっかけでお知りになられた際…タチバナ様は私たちを信用しなくなるでしょう」
「バレなきゃ!」
「いいえ…あのお方はかならずいつか知ってしまいます」
「…………」
「モネ、ルイ、タチバナ様の準備を…私がタチバナ様にお知らせいたします」
「タチバナ様をお一人で行かせるつもり!?」
「まさか…私とモネとルイそしてテトがいきます」
「!!!!アリス様すぐにご用意いたします!」
「それでは行きます、カミュー、準備はできているんですよね?」
「もちろんです!」
「ではここで待機していてください」
「ということにございまして、勝手ですが指名をお受けいたしました」
「全然ですよ!受けてくださってありがとうございます!」
「今回は私とモネとルイそしてテトがご一緒いたします」
「え?わ、わかりました!心強いです!」
やはり…スイッチが入ってしまいましたか…。
「タチバナ様この度は…」
「えっとカミューさんでしたよね?」
「は、はい」
「安藤さんは顔なじみですしカミューさんもアリスさんたちの後輩なんでしょ?きにしないでください」
「ありがとうございます!」
「参りましょう」
まだ救出もしていないのにまるで救世主でもみるような目のカミューをモネとルイそしてテトがにらみつけていますが…たぶんもう手遅れだとおもいます…はぁ~…。
「タチバナ様お気をつけて!もし必要でしたら私もご一緒いたしますよ?」
「タチバナきをつけていきなさい?周りに惑わされちゃだめよ」
「タチバナさん!私が一緒じゃなくて大丈夫ですか?お怪我したら大変ですよ?」
「タチバナ、私もやっぱり一緒に行こうか?」
心配性な4人にタチバナ様が混乱してしまっていますね…。
「心配にはおよびません、私たちがついていますので」
「積尸気程度…私たちが必ずタチバナ様をお守りいたします」
「にゃぁ~」
いまだになにかいっている4人をあとにとりあえず急いでダンジョンへ向かいます……フィーネがついてこないのが意外でしたが…それはタチバナ様が無事に救出してくださると確信しているからだと思うことにします。
「お、おぉ…ふ、ふんいきありますねぇ…」
「タチバナ様?私たちが憑いておりますのでご安心を」
「ありがとう…ほんと二人の優しさで心がすくわれるよ…」
憑かれていることに安心なさる方を私は初めて見ましたが本人が満足しているのであれば問題はないでしょう…たぶんですが…。
「じゃあ行きましょう!」
「タチバナ様、カミューはヒーラーですので戦闘はからっきしで役に立たないお荷物ですので、記憶の片隅にとどめておいてください」
「うっ…なにからなにまでご迷惑をおかけして…」
「気にしないでください、そもそもヒーラーってなんですか?」
「えっと…簡単な傷の治療や毒の中和などをする能力がある人のことですが…身体能力も人並ですし…先輩がおっしゃるとおり…お荷物に…」
「そんなことないですよ!凄い力じゃないですか!」
「え?」
「なるほど!カミューさんがいるからカリン先生がこなかったんですね!安藤さんがケガして動けなかったらどうしようかと考えてたんですよ!」
「はぁ~…とりあえず進みましょう、カミュー反応がでたらおしえてください」
「はい」
テトが先頭をあるいてくれて幾分楽に進めます。
「にゃぁ~!」
「タチバナ様、魔物で…」
「おらぁ!急いでんだよ!」
「にゃ!?」
「テトだいじょうぶ?」
「にゃ、にゃぁ~」
「そっか、よかった!」
しばらくぶりにみるとさらに強烈になっておいでです…カミューにいたっては目を見開いたまま動かなくなってしまっています。
「あっ!」
「どうしました!?」
「このあたりでアニーの反応が!」
「テトなにかありますか?」
「にゃぁ~ん」
「そうですか…タチバナ様どうなさいましたか?」
「ここ、まあるく崩れたあとがあるんですよね…」
「中は空洞になっている可能性があります」
タチバナ様が見つけた周辺をモネが足でトントンと踏みながら歩くと音が変わる場所がありました、多分ですが落とし穴の類なのかもしれません。
「地面にパンチはさすがにきついな…しかたない…あれをためしてみようか」
「あれですか…ですがどちらかというとあちらのほうがよろしいかもしれません」
「そうかな?モネちゃんがいうならそっちをためしてみようか」
なぜでしょうか…嫌な汗がとまりません…とりあえずテトを抱きかかえ少々距離を取ることにします。
「あの…タチバナ様はなにを?」
「わかりませんが離れたほうがいいと思います」
カミューも何かを察したようで私の横まで避難してきました。
「念のため装備をちゃんとしたほうがいいよね?」
「はい」
「そうだよね!…とりあえず目標はこのあたりだね」
「よろしいかと」
「うっし!やってみよう!」
タチバナ様の雰囲気がかわりました…何をなさるおつもりなのか…。
「壁に問題はありません!いつでもどうぞ!」
「ありがとう!いくぞぉ!!!うぉぉぉぉ!!!」
「!!!!!」
「ローリングいなずまきーーーーーーっく!!!うぉらぁぁぁぁ!!!!」
「きゃぁ!!!」
「にゃ!?」
壁を蹴って高さギリギリまでとびあがり前転の威力をフルに使ったかかと落としに近い蹴り技で凄まじい地響きとともに床をけ破ってしまいました…。
「いやぁ、天井がある場所だと威力が出しにくいね、高さに制限があるときは回転を増やすとかしないと使い物にならないかもしれないね」
「十分かと思われますが念には念を入れてよいかもしれませんね」
「そうだね!もうすこしかんがえてみるよ…それより結構深そうだね」
「はい、そのようですね」
「どれくらいの深さがあるかわからないな…手持ちのロープでたりるかな?」
「石を落とした音で大体の高さをはかることができます」
「おぉ!さすがルイちゃん!おねがいできる?」
「かしこまりました」
あいかわらず出鱈目なことをなさるお方です…あの蹴りで威力に不満があるそうですが…威力ではなく技のネーミングについて少々お話をしたほうがいいかもしれません…。
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