第37話
「ふぁぁ!…え…」
「おはようございます、タチバナ様」
用意してもらった晩御飯をたべて星空をみて満喫してたはずがいつのまにか寝てしまっていて目が覚めると俺以外が起きていた……すっげぇ気まずい。
「タチバナ様私たちは元々眠りません」
「あ、そ、そうだったね」
手渡された朝食をうけとりながら言われて思い出した…けど幽霊みたいなもんだって言われても二人ともこんなに可愛くて優秀なら怖さってよりある意味尊敬の念しかでねぇのよね……。
「このあたりでしょうか」
「そうですね!あそこの崖の上あたりを探してみましょう!」
「では、私がのぼって」
「いやいや!ここは俺の出番でしょ!?」
朝食を食べて出発し夕方に目的地についてカリン先生が目の前にそびえたつ崖を見上げながら言うのはいいんだけどモネちゃん…スカートで崖を登ろうとしないで…。
「タチバナ様危険です、私が」
「いやいやいや!二人とも女の子なんだから!」
「私どもは死にませんし大丈夫です」
「そういう問題じゃないんですよ!可愛い女の子に崖を登らせて俺は見てるだけとか良心の呵責の問題なの!」
「そ、そうですか…では…お気をつけてお上りください」
「決して無理なさらぬよう」
「はい」
リュックを背負って少し登ってはアンカーを打ち込んでロープを通していく作業をし、見た目とは裏腹に結構簡単に登りきれたしアンカーボルトもすんなり打ち込めた。
「この辺に頑丈に打ち込むか」
ロープの端末を固定する木とかがないから岩肌にアンカーボルトを2本打ち込んでそこにロープを固定した。
「準備できましたよぉー」
「はい」
「では荷車は私が」
「ちょっ!」
下に合図するとルイちゃんが荷車ごと登ろうとしたので焦って声をかけた後、下に降りた…なんだろこの子達むっちゃすごいことばかりしようとしやがる…。
「それは下に置いたまま荷物だけの方が…」
「紛失してはこまるので」
「じゃ、じゃあ俺がもってあがるんで!3人は先にあがってよ!」
無理やり押し切ってモネちゃん、カリン先生、ルイちゃんの順番で崖をのぼりはじめた。
「あ、ロープが揺れて登りづらいか、俺が少し下から引いて張りますね」
「タチバナ様ありがとうございます」
「気を付けて…ぶっ!」
「どうなさいましたか?」
「モネちゃん…ごめんスカートの中が…」
「え?ああ…お見苦しいところをお見せしてしまい申し訳ございません」
「いや!こっちこそごめんね!!」
声をかけられて上を見たらモネちゃんのスカートの中が見えた…ねぇ…なんでパンツ履いてないの!?幽霊ってそれが普通なの!?足があるのに履かないのっ!?それでなんでそんな気にしてないの!?逆に何も言えなくなっちゃったじゃん!
「次はカリン先生、気を付けてくださいね」
「はい!……きゃっ!」
「だ、大丈夫……ぶっ!」
「すみません!足を滑らせてしまって!」
「い、いえ……きをつけてくださいね」
「は、はいぃぃ」
次は上をみないようにしていたのに…カリン先生が悲鳴をあげるから!ついみちゃったじゃん!!ローブが捲れ上がって下半身丸見えだったよ!!
「つ、つきましたぁ!」
「じゃあ、ルイちゃん」
「はい」
「テト、ルイちゃんと登ったら?」
「にゃ?にゃぁ~」
「あ……さすがテトだね…うん」
テトは崖をひょいひょい登ってしまったよ…まぁルイちゃんは何事もなく登ってくれてよかった。
「タチバナ様、荷車にこちらのロープを、こちらでも引きますので」
「ああ、ありがとう!あぶなくなったらすぐ手を放してね?」
「かしこまりました」
ロープで荷物が落ちないように縛られている荷車を立てて背負ってみると案外軽くてびっくりしたけどこれなら苦労なく登れるな!
「ふぅ~ついた!」
「おつかれさまです」
「ありがと、それで?ありそうかな?」
「はい、あとは花が開くのを待つのみです」
「おぉ!よかったね!」
崖を登り切り、そこにテントを張った。
カリン先生が生えている草花を色々説明してくれてそれをメモしながら時間がすぎた。
「いやぁ、カリン先生とくると勉強になるし楽しいなぁ」
「え!?そ、そうですか?」
「ええ、知らないことを知れるって楽しいですよ、先生の説明ってわかりやすいですしね」
「あ、ありがとうございます……」
「いや、礼するのはこっちですよ!それにキャンプなのに豪華でおいしい飯にもありつけてますしね!二人もありがとうね!おかげで快適にたのしめてるよ!」
「もったいなきお言葉」
晴れて星がきれいなもとで食う飯…最高だ!
「今日は満月だしとくに空が明るく感じますね!向こうの世界よりずっと空がきれいだ」
「そうですね!気温も少し下がり気味ですしこれくらいの寒暖差なら露もみこめそうです」
「お!?じゃあ花がひらくのがみれるかもしれないですね!」
「はい!もし私たちが眠ってしまっても二人が起きててくれるので咲いたら起こしてくれますよ」
「おまかせください、お二人はお風邪などにおきをつけください」
「ありがとう!」
ご飯を食べ終わり、自然の中たき火を前にコーヒーを飲みながら談笑する…しかも、実はかなりかわいいカリン先生と正統派な可愛さの二人に可愛さが留まるところをしらないテトまでいる…なんてリア充!!
「ん!?」
「どうなさいましたか?」
「なんか獣のにおいがする?」
「にゃぁ!」
動物園の檻の臭いが一瞬した気がする、しかもテトが鳴いたら3人が緊張してる…なにかくるのかな!?
「んあ?なんだぁ?先客かよ」
「え!?今飛んできました?」
「あぁ?ちゃんと崖を登ってきたぜ?」
「そうなんですか」
「ああ…ってお前らなんだ?」
「え?」
頭をかきながら現れたやる気なさそうなチャライお兄さんが俺たちをマジマジとみて急に鋭い目になった、なんか怖いよ?
「そこの二人は…鬼か?いや…幽体か…めずらしな…それにそっち…てめぇ子猫のふりしてやがるが…クトゥールだろ…あとは人が二人…どういう組み合わせだ?」
「どうといわれても…仲間というか…家族というか…とりあえず一緒に生活している仲ですけど…」
「はぁ?鬼の幽体とクトゥールと一緒に暮らす人間なんてきいたことねぇよ!てめぇなにもんだ!」
「ここには月雫草っていう草をとりにきたただの一般市民ですけど」
「ふざけんな…それにここの月雫草は俺が狙ってたもんだ」
「どれだけ目を付けていてもあなたのものではありません」
「あぁ!?ふざけんな!俺が俺のだっていってんだよ!てめぇ幽体だからって死なねぇなんておもうんじゃねぇぞ!こらっ!」
「ここがあなたの私有地ならあなたのものですがそうでなければあなたのものではありません」
「おいおい…俺を誰だと思って言ってんだ?今日は満月なんだぞ?」
モネちゃんとルイちゃんが一歩も引かずに言い返しているとチャラ男が顔を真っ赤にしてプルプルふるえだした…怒れば怒るほど動物園みたいな臭いになるなこの人。
「にゃぁ…」
「ん?やっぱりテトも臭いが気になるかい?」
「え?臭いですか?」
「そうなんですよ、実はさっきから動物園の臭いがすごいんですよね」
「ど、動物園…ですか?」
「知りません?こっちにはないのかな?えっとなんていうのかな、獣臭さっていうのかな」
「ああ、なるほど!先ほどからするあの人の臭いですね」
「やっぱりそうですよね…」
「カリン先生、聞こえちゃいますって」
「あっ…すみません…」
「てっ…てめぇら…おちょくるのもいい加減にしやがれ!」
「うわっ!」
俺とカリン先生の小声での会話が聞こえてしまったみたいで怒りだしたよ!しかもなんか遠吠えあげてるし!
「ガルルルルルル」
「いっ!?犬人間!?」
「
「どこまでも…馬鹿にしくさって…誇り高きワーウルフと犬っころを同じにしやがって!ガァァァァ!」
「タチバナ様!きゃっ!」
あまりの速さに驚いて反応できなかったらモネちゃんがかばってくれた!
「うっ…」
「モネちゃん大丈夫!」
「傷が…消えない?」
「あたりめぇだ!満月の夜、俺の力はピークに達してる!最高の俺は幽体すら切り裂き!喰える!」
「!!!」
「タチバナ様!カリン様をおつれし今すぐお逃げください!」
「ちょ!何言ってんの!?」
「ここは私たちが食い止めます…おはやくお逃げください」
「逃がすと思ってんのか?あぁ!」
「くっ!は、はやく!」
「てめぇらの速さじゃどこに逃げても必ずすぐ追いつけるんだよ!」
「あ゛ぁ~」
「!!!!」
必死に両手で動きを止めてくれていたルイちゃんの肩に思いっきりかじりついた狼男を見た瞬間、目の前が真っ赤になって何も考えれなくなった。
「このままかみ殺してやるよ!っがっ!?」
「タ、タチバナ様…」
「て、てめぇ!…んぐっふぅ…」
「おまえ…誰になにしてくれてんの?…」
「はぁはぁはぁ…くっそが…がっはっ!」
「自慢の牙も折れちまったなぁ…」
「う、うるへぇ!まだ俺には爪がっはっ!や、やめ…ぎゃぁぁぁ!!」
「爪も牙もなくなったなぁ…それで誰が誰を殺すって?あぁ?」
「がっは!も、もうやめ…ぎゃん!!ゆ、ゆるし!ぎゃぁぁぁぁ!!」
「おまえ…生きて帰れると思うなよ…」
「ひぃぃぃ!!も、もうしません!あ、あんたたちにも一生ちかよらねぇ!ゆるしてくれ!お、おい!おめぇらもこいつをとめてくれ!」
「お前が勝手におそってきたんだろうがっ!」
「ぐっは!がふっ!ぐっふ…し、死ぬ…」
「にゃぁ~…」
「テト?おもちゃにしたいのかい?」
「にゃぁ~♫」
「食ってもいいけどお腹こわすなよ?」
「にゃぁ!…ガルルルルル」
「はぁはぁはぁ…ひっ!?ひぃぃぃぃ!!ガァァァァァァ」
テトが大きくなってチャラ狼を咥えて崖から降りて行った…。
「はっ!二人とも大丈夫!?カ、カリン先生!二人をなおせませんか!?」
「残念ながら幽体の治療は…」
「そんなぁ…」
「タチバナ様だいじょうぶにございます…」
「テトがもどってきたらなおしてくださいますので」
「え!?そ、そうなの!?」
「はい」
力なく笑ってうなずいたモネちゃんとルイちゃんをとりあえず横にしテトの帰りを待つことにした。
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