第35話
「タチバナいる?」
「フィーネさんなんですか?」
「ちょっと頼みがあるんだけど」
「頼み?俺にできる事ならやりますが」
「そう?じゃあここに行ってきてくれる?」
フィーネさんが地図に赤丸をつけたところを指さしいってきた。
「モネ、ルイ、テトついていってあげて」
「かしこまりました」
「ありがとうございます」
「にゃぁ~」
「それとアンリも連れて行ってね?」
「わ、わかりました」
最後の一言にモネちゃんもルイちゃんもテトも少し嫌そうな顔をした気がしたけど気にせず準備をすることにした。
「というわけでこれから異世界にいってきます」
「かしこまりました、こちらをお持ちください」
「え?ああ!そうですね!着替えてきます!」
アリスさんに報告に行くとナタリーさんとなにか話し合っていたけど異世界の服と新しい装備品をくれたから急いで着替えた。
「あ、そうだ!ナタリーさん」
「はい?」
「終わるまでこっちの仕事はないので向こうの家の管理をお願いできますか?」
「え?は、はい」
「弟さんもまだ怪我が治っていないのでよろしくお願いしますね」
「!!!!!は、はい!おまかせください!」
仕事がないときくらいゆっくりしてもいいでしょ。
「こちらですね」
「はい」
「ピクニックみたいね」
異世界に行ってモネちゃんの案内で歩いて目的地にむかっている、大した距離じゃないっていわれてきたけど3時間あるきっぱなしですよ?フィーネさん…。
「このあたりですね」
「森のど真ん中ってかんじですか…ここでなにをやれば…」
「討伐です」
「え?なにそれ」
「指定されている魔物を探して倒すんです」
「えぇ!?」
「今回は指定はありませんので見つけた魔物を片っ端からお倒しください」
「うわぁ…できるかなぁ…毒で駆除とかはしたんですが…直に生き物を殺したことってないんですけど…怖いなぁ」
「それを克服なさるためです」
「放置していればどのような被害が及ぶかわかりませんのでご覚悟を」
「わ、わかりました」
「教えたことをやれれば大丈夫よ!」
もうすでに震えがきてるんだけど…。
「にゃぁ!」
「テト!?えぇ!?」
「グギャギャギャ」
「ゴブリンですね、お願いします」
屋敷の掃除で死んでいたのと同じのが2匹いた。
「にゃぁぁぁぁ!!」
「テト!?」
「グギャ⁉」
「グアァァァ!!」
テトが急に大声で鳴いてゴブリンがこっちに気づいちゃったし!グイグイ二人に背中をおされるしでどうしたらいいんだよぅ!!!
「ゴブリンは集団で人を襲って食べます」
「!!!!」
「弱い者から襲いますよ」
「そんな!」
「タチバナ!覚悟をきめて!守りたいものも守れなくなるわよ!」
「!!!!!」
アンリさんの言葉で真っ白な顔をして俺をかばって傷ついたアリスさんの姿がフラッシュバックした…自然と震えが止まったし冷静になれた。
「ふぅ~…いくぞ!」
「!!!」
「は、速い!」
「やっちゃえ!」
一気につめよるとゴブリンたちは目を見開いて驚いて固まったので胸の真ん中を思いっきり殴るとガコンという音とともに拳のサイズで胸がへこみ息ができないのか頭をさげたのでアッパーを叩き込んで1匹しとめその勢いのまま体を回転させて頭に回し蹴りを叩き込むと首がグルんと一周して力なく倒れた。
「お疲れ様です!」
「やったじゃないタチバナ!」
「単調な攻撃なのになぜか反応できませんでした」
「にゃぁ~」
3人が笑顔でかけよってくれテトが嬉しそうに飛び込んできたから受け止めた。
「あの、これはどうしたら」
「本来は討伐した証明として右耳を切り取ってあつめて他は埋めるんですが今回はこちらの袋にいれていきます」
「わ、わかりました」
その後もテトが次々とゴブリンをみつけては倒していった。
「にゃ!」
「ん?あれ?二足歩行の犬!?」
「グルルルル!」
「武器も持ってるし!めっちゃ怖いじゃん!」
「コボルトです、もう気づかれてしまっています!」
涎をたらしてめっちゃ睨みつけて剣をかかげてるコボルトってやつ、あんなの噛まれても斬られても死んじゃう!
「おちついて、よく見なさい?あんたより遅いんだから」
「え?あ…」
アンリさんにいわれてみると…勢いだけでそんなに速くはなかったから振り上げた剣を持つ手を力いっぱいつかんで背負い投げみたいになげながら地面に頭をたたきつけた瞬間、ローキックで蹴り飛ばすと動かなくなったから他のコボルトに向かって行って攻撃をかわしたり受け止めたりしてどんどん殴り倒した。
「はぁはぁ…最初より増えててびっくりしたぁ」
「途中で仲間をよんだのよ」
「マジですかぁ…」
モネちゃんから手渡された袋に8体のコボルトいれたけど、全然膨らまないし重さもかわらない…不思議な袋だ…。
「そろそろ戻りましょう」
「ふぅ~…はい」
日が傾いてきたころルイちゃんが切り出し俺たちは来た道をもどりはじめた。
「シャァー!!!」
「!?なぜこんなところに!」
「モネちゃんあぶない!おらぁ!」
「シャァー!!!」
紫色の毒々しい巨大な蛇が木の上から急に振ってきてモネちゃんを襲いそうになったから思いっきり横っ面をぶんなぐってやったけどよろめいているだけで倒し切れなかった。
「くっそ!これでもくらえ!」
「しゃぁー!!!!」
「すご!」
細かい石や木の実なんかがまざっている土を力任せにすくって思いっきり投げつけると散弾みたい蛇を攻撃して細かい傷がいっぱいついて蛇もウザそうにした瞬間をねらってとびかかり渾身の右フックを叩き込むと牙の1本が折れてとんでいったけどまだ動けそうだったから腰につけていたショートソードを抜いて思いっきり目に突き刺してやると断末魔をあげウネウネあばれたあと動かなくなった。
「ポイズンバイパーがなぜこんなところに…」
「わからないけど、とりあえず皆無事でよかったわ」
「そうですね」
「にゃぁ~」
あんなにでっかい蛇が入っても袋がかわらないことも怖いけど名前が!ポイズンバイパーって!ポイズンってことは毒があるんだよね!?そもそもあんな牙にかまれたら毒とか関係なく死ねるわっ!こわっ!
「あ!ハチの巣だ!」
「キラービーの巣だ…」
「あんなに大きいのはめったにないわね」
「刺激しない様に気を付けま…え?タ、タチバナ様!?」
「しー!任せてください!」
ふっふっふ!いつハチの巣を見つけてもいいようにアリスさんからでっかい袋をもらっているんだよ!それに毒ユリの根を乾燥させたものに大工の親方にもらったおが屑をまぜて固めたものもあるし!いっきにいぶってやるよっ!
「あ、あんな方法で大丈夫なの?」
「わかりません」
「よし!これでしばらく待てばOKです!」
「そ、そうなの?」
「はい、アリスさんから借りてる袋がすごく丈夫であの蜂の針や牙くらいじゃビクともしないんですよ!」
毒ユリの毒がきえるまで待つ間に水を飲んだり休憩した。ハイキングみたいで少し楽しい。
「にゃぁ」
「ん?そだね、そろそろよさそうだね」
「よっこいしょ!」
袋の口にロープをしばりつけ巣を木から切り離してそのまま背負ってみんなのところに戻った。
「毒ユリの煙で死んでいるんで大丈夫ですよ」
「そ、そんなものどこで…」
「知り合いの花屋さんから定期的にもらってるんですよ」
「そ、そうでございますか」
「使い方をまちがえなきゃすごく便利なんですよね」
アリスさんから借りた袋ごとルイちゃんの袋に入れてしまった…フィーネ袋はすごい!
「ただいまもどりました」
「お疲れ様です」
「どうだった?」
「いい気分なものではないですね…いまだに少し胸がモヤモヤして胸やけの酷い状態みたいです」
「そう、でも無事でよかったわ」
「どんなものをお狩りになられたのですか?」
「えっと…」
「ゴブリンとコボルト…それにポイズンバイパーとキラービーを巣ごと駆除しました」
「え!?なんであそこにポイズンバイパーがいるの?」
「フィーネ様はあれがいたからタチバナ様を向かわせたのでは?」
「そんなわけないじゃない!今後討伐は必須になるから一番弱い魔物しか出ない場所を選んだのよ?」
「そうだったんですね」
「そ、それで?バイパーは誰が?」
「タチバナ様です」
「すごいじゃない!」
「めっちゃ怖かったですけどね!そう!めっちゃ怖かったですけどね!」
「どのように?」
「急に気配もなく木の上から降ってきて私が襲われそうになった時に」
「一気に間合いを詰めて横っ面を思いっきりぶっ飛ばしたのよ」
「タチバナ様の攻撃はいつも不思議です」
「見えるけど反応ができないでしょ」
「はい」
「もしかして固有スキルなの?」
「まぁそんなところね」
「皆はタチバナの固有スキルをしってるの?」
「あなたとナタリー以外はしっているわね」
「ねぇ…そろそろ私には教えてくれてもいいんじゃない?」
「まだその時じゃないのよ」
「どういう意味よ」
「そのままの意味よ、私がまだって言ってるの」
「そう、ならしかたないわね…」
「不思議な関係性よね」
「そうですね」
「それよりもまたキラービーを駆除なさったんですね」
「蜂ってだけでなんか怖いじゃないですか、駆除できるときにしておかないと」
「そうですか」
「極上の蜜を手に入れました」
「あら、素敵じゃない」
「はい」
「ティーにお入れいたしましょうか?」
「いいわね、キラービーの蜜は喉と肌にいいのよね」
「タチバナ様?お売りしなくてもよろしいのですか?」
「え?ナタリーさんはハチミツお嫌いですか?」
「え?いえそのようなことは」
「なら、せっかくモネちゃんとルイちゃんがキレイに蜜にしてくれたんですし、使ったほうがいいですよね?」
「タチバナ様がお決めになられたらそれでいいと思いますよ」
「そうですか、じゃあ巣もたった1つでしたし使っちゃいましょ」
「たった1つって…あれだけの大きさなのに結構取れたでしょ?」
「全員が毎日ティータイムでお使いになられても1年は余裕で持ちます」
「あぁ、そうなんですね、足りないよりいいですね」
「はい」
「そうですね、お菓子などにも使えますので」
「はぁ~…なんか力がぬけちゃうわ…」
え?アンリさんが俺を見てなんか苦笑してるけど…なんかしたのか俺…うわぁ…みんなの視線が生暖かい…。
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