第30話
「さぁ、話してちょうだい」
「あ、ああ…まず…依頼者はしらねぇ…ほんとだ」
「どうやって仕事を受けたのよ」
「俺は…こうみえて元々騎士長だったんだが…誰かにはめられて…部下は全滅、その責任を取らされる形で首になってからは流れの傭兵をやってたんだ…ある日、酒場で飲んでたら声をかけられて割のいい仕事だったから引き受けただけだ」
「声をかけてきたやつの特徴は?」
「気のいいおっさんさ、小太りの…」
「そう、それで?タチバナ達が捕まっていた場所は?」
「アゴンの街に近い森の中にある屋敷だ」
「また随分遠いわね」
「俺が元々いた国はザガンドだからな」
「へぇ、あなた優秀だったのね」
わからない地名だったからきっと異世界の国なんだろうなぁ。
「ほかになにか知ってることはあるの?」
「ちらっと聞いただけだが…依頼者は女らしい…なんかそいつの力に興味があるってよ…」
「そう…」
「それと…も、もう1つ…昔世話になったお礼にどっかの女をつかって情報を集めたってはな…し…だ」
「そう、わかったわ…そろそろあなたも限界のようだしほかにめぼしい情報はないみたいね」
「へへ…そ、そりゃぁ…悪かった…な…ちっ!ついてねぇ人生だった…ぜ」
アリスさんを傷つけたことは許せないし許す気はないけど…なんかこいつをこのままにしたらダメな気がする。
「カリン先生、そいつの治療まにあいますか?」
「え!?」
「なに?情けでもかける気?」
「いえ、そういうわけでもないんですが、どうですか?」
「こっちで解毒だけして向こうに運べば可能ですが」
「じゃあ頼みます」
「い、いいんですか?」
「はい」
「おひと…よしだな…あんちゃん…」
「手足が動かないんだ下手な事もできないでしょ…」
「へっ…生き地獄をあじわえってかよ…」
「そういうわけじゃないんだけど、とりあえず治療が終わったら話すよ」
カリン先生が治療をしそのあと異世界の治療室に運んで治療してもらった、俺の行動をみてフィーネさんはどこか面白そうにしていたし、アリスさんはどこかほっとした顔をしてモネとルイちゃんに付き添われ自室にいって休んだ。
「あの人、意識を取り戻しましたよ!」
「そうですか!」
「モネ、ルイ…あいつをここに連れてきて」
「はい」
「え!?」
翌日、アリスさんは念のためゆっくり休んでもらっている中、カリン先生の言葉をうけ二人が連れてきてくれた。
「よ、よぉ~…」
「さて、タチバナ話を聞かせてちょうだい」
「え、ええ…えっとまず名前を」
「あ、ああ…俺の名前はザイードだ」
「そうですか、ザイードさん…あなた相当ついてないですよね?」
「あ?あぁ…まぁな…」
「まだまだ俺たちに話していない悲しい事ありますよね?」
「あ?」
「だってネックレス…それ女性ものですよね?」
「!!!」
「聞かせてちょうだい」
「ちっ!やっぱついてねぇ…生き地獄だぜ…俺がはめられてなんとか戻ってきたら嫁と娘がさらわれてたんだよ」
「それで?」
「必死に探して助けに行ったさ!…」
「相手は?」
「だれだか誰だかわからねぇやつに依頼されたっていう野党どもだったよ…」
「そうですか…」
「ああ…それでどうでもよくなっちまってな…」
「そうですか…フィーネさん」
「なに?」
「ザイードさんの力って戻せますか?」
「ええ、ただしタダでってわけにはいかないわよ?」
「そうですか…なにが条件になるんですか?」
「おいおい…」
「私が納得するもの」
「んー!厳しい条件ですね!」
「ふふふ、そうでしょ?それでタチバナはこいつを元に戻してどうするつもりなの?」
「ああ、いくつかやってほしいことがあるんですよ」
「へぇ…興味深いわね、聞かせて」
「はい、まずこの家の警備員がほしかったのと」
「へ?」
「あと…ザイードさん」
「なんだよ」
「このままでいいんですか?」
「ああ?どういう意味だ?」
「一緒にやりかえしませんか?ってことです」
「はぁ?」
「正直、あなたを殺してもアリスさんを傷つけた大元の原因は解決してないですからね」
「それを探して潰すのを手伝えってか?」
「そうです」
「冗談じゃねぇ…」
「そうですか…残念です」
「しかもなんで俺なんだよ、俺があいつをやろうとしたんだぜ?」
「俺とアリスさんをあそこに連れ込めるだけの力がある人なんですよ?それに俺なんかの情報までもってて興味があるだなんて…」
「ああ」
「もしかしたらザイードさんをはめた相手のことも知っているかもしれないじゃないですか」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「一理あるわね、悪ってのはどこかでつながってるか、お互い潰しあいにならない様にお互いを調べあってるものだから」
「どうです?ついてないですませて、このままで終わるんですか?」
「ははは…おめぇ…毒のねぇ面してるわりに結構エグイじゃねぇか」
「俺はここにいる全員、俺の人生をかえてくれた大事な人たちだと思ってますし、そのきっかけをくれたアリスさんを俺を手に入れるためにってだけで殺そうとした相手を絶対許す気がないだけです」
「俺がやったんだぜ?」
「言葉が悪いですけど何も知らないただの下っ端でしょ?大元をたたきたいんですよ」
「ちっ!小物あつかいかよ…」
「すみませんね、俺も余裕がないんで、それで?どうしますか?」
「…おもしれぇ…身体を元に戻してくれんならなんだって力をかしてやるよ!」
「フィーネさん条件をいってください」
「ええ、いいわ!ならザイードって言ったわね?あなたの今後の人生をもらうわ」
「ああ?」
「どうせこのままでも死んでたんだしいいじゃない?」
「ちっ!わかったくれてやる!」
「フィーネさん具体的には…」
「簡単よ、あなたは今後タチバナに終生仕えるの、
「?」
「魂に条件を刻み込む契約みたいなものです」
「カリン先生もしってるんですね、それで契約をやぶったら?」
「死ぬわよ、どう?」
「なんだ…そういうことかよ…ああ、いいぜ!このザイードの命、そいつにくれてやる!」
ニタリと笑ったザイードさんの胸にフィーネさんが手をあて何かをやるとザイードさんの心臓のあたりを丸く囲うようになぞの文字と紋様が描かれていった。
「おわったわ」
「お、おお…手と足がうごく…」
「じゃあ、ザイードさん怪我が治ったら詳しく今後の話をしましょう」
「ああ」
ザイードさんは満足げにうなずいてまたモネちゃんとルイちゃんに連れられカリン先生つきそいのもと異世界にもどっていった。
「なんか色々すみません」
「ふふふ、いいのよ。これからも楽しめそうだし」
「えぇ…」
「あはははは、やはりあなたといるのは楽しいわ!」
フィーネさんが上機嫌で自室にもどっていったので俺はアリスさんに事情を説明しにいった。
「というわけなんですが…」
「さようにございますか」
「え?それだけですか?」
「はい、想定の範囲内のことですので」
「ええ!?」
「まぁ、正直なことをお話させていただければ、命は助けるだろうと思っていましたがまさか仲間に引き込むとはおもいませんでした」
「うっ…すみません」
「いえ、タチバナ様がお決めになられたのでしたら問題はありません」
どこか満足げにアリスさんが話をきいてくれた、今日は顔色もいいし元気そうでよかった。
「それで報告という理由をつけてまで私の部屋に入り込んだというわけですね?」
「え!?えぇ…」
「冗談です、それよりも今日の分のお仕事をおやりになられてください、明日からまたクエストがはじまります」
「え!?わ、わかりました!」
アリスさんが珍しくニヤリと笑って言ってきたことに驚きながらも2階の事務所に行ってメールを確認すると3件の仕事がきていたので必死に仕事にとりかかった。
「…という感じね」
「そうですか」
「まさかあんな形で駒を手に入れるなんてね!やっぱりタチバナは面白いわ!」
「駒だとは思っていないとおもいますが」
「それはわかっているわ、タチバナですもの、だからこそなおのこと面白いんじゃない」
「でもタチバナさんの情報を流した女って誰なんですかね?」
「わからないわ、本人だってそんなことのために情報をわたしていたわけじゃなさそうだったしね」
「そうですよねぇ」
「まぁ、タチバナの情報をもっている人間なんてかなり限られているんだけどね」
「そうですね」
「アリス側の1部とギルドくらいでしょ?」
「そうだと思います、ですので《こちら》はすでに上が内部調査をおこなっています」
「それでも出てこないってなると…」
「ギルド側に繋がりがあるということになりますね」
「そんな!ギルドが!」
「カリン落ち着きなさい?ギルドは多分裏切っていないわ、巧妙に利用されているのよ」
「ギルドがこちらと揉めるとは思えませんからね」
「そ、そうですね!」
「どちらにせよ…タチバナ様のお命を狙うなど万死に値します」
「魂さえ残す必要はございません」
「なぁ~!」
「ふふふ、3人とも物騒ね」
「タチバナ様のお命が狙われたのです当然にございます」
モネとルイそしてテトは殺気をおさえることすらしなかった。
「とりあえずギルドにはどうするの?」
「ガルド様にだけ報告したほうがよさそうですね」
「そうね、カリンちょっとガルドに手紙を渡してよ」
「わ、わかりました」
そのごフィーネが書いた手紙をカリンがギルドに持っていき直接手渡した。
「こんな場所に呼び出してどうしたんだ?」
「悪いわねガルド、ただこのままじゃギルドの沽券にかかわることになるかもしれないから教えておいてあげようと思ってね」
「
「私じゃないわアリスよ、私がギルドにタダでなにかをするメリットがないもの」
「はぁ~そうかよ、それでアリスどんな話なんだ?」
明日からクエストをやるためには今日は少し遅くまで仕事をしないとと思っているとモネちゃんとルイちゃんが食事を運んでくれ俺はまた仕事を開始している間に内緒でいつもの異世界の家でガルドさんと皆が会っていた。
「なっ!そんな馬鹿な!!」
「事実、タチバナ様と私が無理やり転移させられました」
「まて!転移!?じゃあそっちじゃねぇのか?」
「今は大元ではなくタチバナ様の情報が洩れていることの話をしております」
「そ、そうか」
「そこがつかめれば大元にたどり着けるかもしれないじゃない?」
「な、なるほどな…」
「我々はギルドが裏切ったとは思っておりません、ですがギルドがもし利用されているのであれば信用問題になりかねません」
「それはギルドの存続問題に発展しかねないわよ?」
「ああ、わかっている、こちらも早急かつ秘密裏に調査をする!」
「お願いいたします、こちらの情報が入り次第報告いたします」
「ああ、それはこちらもだ!」
憤慨したガルドが家から出ていった。
「さぁ、どうなるかしらね」
フィーネは今後の展開を想像し少し楽しそうにわらった。
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