第14話
「んー…………」
「タチバナ様なにかお悩みですか?」
「え?ああ、アリスさん来てたんですね」
「はい、それで何をお考えに?」
「ああ、この子のことですよ」
「それはどのような?」
「ここはペット禁止じゃないから飼うことは問題ないんですが、この子は異世界の猫だからこっちでも向こうでもペット登録ってした方がいいのかなって、それに飼い猫なら色々予防接種とかもしなきゃならないのかなぁって」
「この子は丈夫ですので病気などにはほぼなりません」
「にゃぁ~♪」
日曜日の夜、クエストを終えてシャワーを浴びた後、いまだ包帯が痛々しい猫をなでながら今後のことを考えているとアリスさんが現れひょいと猫を抱いて優しくなでながら俺にはなしかけてきた。
「あと首輪したほうがいいのかとか…なにより俺が引き取って向こうの世界的に問題はないのかなとかですね」
「タチバナ様がお引き取りなさることに問題はございませんが首輪はなさった方がよろしいかと思いますし、ギルドに登録もしたほうがよろしいと思います」
「おお!なら名前を決めてもいいんですね!」
「はい、名前をお決めになられたらお教え下されば登録の方は私の方で行うことが可能です」
「すみませんがよろしくお願いします!」
「かしこまりました」
「じゃあ、名前をきめて首輪を選ばなきゃなぁ」
「ちなみにこの子はメスです」
「女の子だったのか!じゃあクロじゃだめだなぁ」
「…………真面目にお決めください」
「まじめだったんですが…………」
「……………………」
「えっと…じゃ、じゃあ……タマ」
「つぶしますよ?」
「ひぃぃぃ!………あっ!そうだ!テト!テトはどうですか?」
「どのような意味があるのですか?」
「インドだったかどこだかの女神にバステトっていてメスの猫はその化身だ!みたいなことをオタな知り合いが前に言ってた気がするんですよ」
「ふむ、タチバナ様の割にまともなお名前だとおもいます」
「ふぐっ!…あ、ありがとうございます。じゃあ今から君はテトだ!」
「にゃぁぁん!」
「あははは!くすぐったい!気に入ってくれたみたいでよかったよ!」
アリスさんも猫も気に入ってくれたのでテトにした。
「それでは私はこれからテトと共に登録に向かい首輪も購入してまいります」
「え?ああ、じゃあ俺も行って首輪を選ばなきゃなりませんね!」
「私が登録と首輪の購入をしてまいります」
「は、はい…お願い致します」
「おまかせください、タチバナ様はこちらの夕食でもお食べになりながらお待ちください」
「おお!いつもありがとうございます!」
「いえ、では行ってまいります」
「にゃぁ♪」
「はい!行ってらっしゃい!」
テトをなでながらアリスさんが頭を下げた後、異世界へと向かったのでいただいた晩飯を食べて待つことにした。
「…………色々言いたいことがあるんだけど…とりあえず聞きたくはないけど用件を聞くわ」
「この子の名前はテトです。タチバナ様の従魔登録をお願いします」
「にゃぁ~ん♪」
「やっぱり…………ねぇ?なんでそんなになついてるのよ…」
「タチバナ様いわく、テトは賢いらしいので」
「にゃふぅ~ん♪」
「…………」
テトは賢くかわいいです、あご下をなでると甘えてきます。
「どうしましたか?手続きをお願いします」
「わ、わかったわ……魔力を登録するからこちらに渡して」
「シャーー!!」
「きゃっ!」
「ふむ…人を見る目は確かなようですね」
「なんでよ!」
「とりあえず魔力盤を用意して下さい、私が乗せます」
「わかったわよ!」
「テト、この板の上に載ってください」
「にゃぁ」
「…………なにかしらこの敗北感は…………」
「どうですか?できましたか?」
「ええ、あとは首輪でもなんでもつけてくれる?」
「リボンもいいですがタチバナ様が汚しそうなので首輪にします、選ばせてください」
「わかったわ…これよ」
「この赤にします」
「けっこう値が張るわよ?」
「代金はタチバナ様のカードからでお願いします」
「……はいはい」
「あれ?アリスじゃありませんかって!その子は!無事に目が覚めたんですか?」
「はい、カリンには世話になりました、いま従魔登録が無事に終わったところです」
「え!?」
「タチバナ様の従魔のテトです、テトこちらはテトを治療してくれたカリンです」
「にゃぁ~ん♪」
「か、かわいい……元気そうでよかったですねぇ、けがの状態が気になるので近々傷口をみせにきてくださいね?」
「わかりました」
「にゃぁ~」
「ふふふ、早く元気になってくださいね」
「くっ!なんで私だけっ!」
テトがカリンに甘えるさまを見て悔しがるナタリーを横目にテトと共にタチバナ様のもとへ戻ることにしました。
「ただいま戻りました」
「おかえりなさい!お!?テト素敵な首輪を選んでもらえたんだね!」
「にゃぁ~♪」
「うんうん!かわいいよ!アリスさんありがとうございました」
「いえ、首輪などの代金はタチバナ様のカードで支払いましたがよろしかったでしょうか」
「はい、全然かまいません、ありがとうございます」
「いえ」
首輪をつけたテトを一目見て大喜びするタチバナ様にテトを渡し食べた食器を回収したので帰ることにしました。
「それでは私はこれで」
「はい、ありがとうございました、あ!アリスさんお願いが1つあるんですけど」
「なんでしょうか」
「テトに必要なものを明日購入してもらえますか?向こうの猫なんでこっちとは必要なものが違うとこまるので」
「かしこまりました」
明日の予定もきまりました、買い物の後はカリンにテトの傷口をみせることにしましょう。
「それで?すっかり飼い猫なみになついちまってるってことか?」
「はい、一応は気を付けてみていますがテトは賢いので大丈夫だと思います」
「それはもういいわよ!なんで私だけに……」
「自分に向けるやさしさの差じゃないですか?」
「カリン……あなたねぇ……」
おずおずといったカリンの言葉がナタリーを容赦なく傷つける中、私はテトとタチバナ様のことをお話しすることにしました。
「テトの傷がいえたら狩りなどのクエストにはタチバナ様に同行させるつもりです」
「登録してあるんだ、そっちが問題を起こさない限りこちらがいうことは何もねぇよ」
「はい、ではカリン明日買い物に付き合って下さい」
「え?」
「タチバナ様よりテトに必要そうなものを購入しておくよう頼まれたので専門家のカリンに手伝ってほしいのですが」
「わ、わかりました!じゃあ買い物まえに傷口をみせてください」
「はい」
自分は誘わないのかとにらみつけるナタリーを無視して明日の予定をとりつけたので軽い報告をし退さんすることにしました。
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「じゃあ、テトをお願いします」
「かしこまりました」
翌朝、テトをアリスさんに預けクエストを行い、その後出社した。
「ふぅ~……今日はハードだな」
「大輔さんお疲れ様です」
「え?鈴木さん、ありがとうございます」
「いえ」
「鈴木さんが休憩室でゆっくりするのは珍しいですね」
「えっと、今日は飲み物を忘れてしまいまして」
「そうなんですね、じゃあ午後からの休憩は俺がおごりますよ」
「あ、ありがとうございます…」
鈴木さんは紅茶を、俺は水を飲み少し話をして仕事にもどった、今日の朝のクエストは馬を繋ぐ部品が壊れたからとでかい缶にはいった牛乳をたくさん積んだ荷馬車を牽いて配達をするものだった、さすがにハードだった。
「ん?ねぇ大輔ぇ」
「なんですか?」
「今日ランチいかない?気になる店をみつけたのよ」
「いいですよ」
「オッケー、んじゃいこっか」
「私も行く」
「わかってるわよ、行くわよ」
不定期ながら田中さんと鈴木さんとはランチに行くことが増えた気がする、週1か2で一緒だ。
「ねぇ大輔ってさぁ」
「はい?」
「彼女とかっているの?」
「急になんですか?そんなのしばらくいませんよ」
「作らないの?」
「できないの!」
「あははははは!そっか!狙ってる子はいるの?」
「狙ってるというか少しでも認めてもらいたい相手ならいますよ」
「も、もしかしてトレーナーさんですか?」
「そうですね、いつもボロクソに言われることが多いんで」
「そっか、そっか」
「急になんなんですか?ああ、あれか俺の知り合いか職場に気になる人でもできたんですか?」
「え?まぁそんなとこ」
「わ、わたしもです」
「二人とも人気があるんだからすぐに付き合えそうなものですけどねぇ」
「んー、その人は鈍感だし最近目立ち始めて他の子も狙い始めてるらしいからねぇ」
「ほぉー!そんなイケメンがうちにいるんですねぇ」
「ふふふ、そうみたいよ?」
呆れたように俺を見ながらクスクス笑う田中さんとぎこちない笑顔をの鈴木さんと昼を一緒して午後は約束通り鈴木さんにお返しの紅茶をわたし、仕事を終えた。
「うっし!今日はこんなもんかな」
「立花君仕事はおわったのかね?」
「はい!ってえ!?しゃ、社長!どうされたんですか?」
「いやぁ、娘が家でも君の話をしてね、妻がどうしても会いたいといっているんだ」
「えぇ!?」
「それで急で悪いんだが明後日の夜、席を設けるからどうだろう食事にいってくれないか?」
「恐れ多いですよ!」
「あっはっは!そんなかしこまるような場じゃない」
「わ、わかりました、よろしくお願いいたします」
「ああ、じゃあ水曜日に」
「はい」
急に後ろから肩をたたかれ満面の笑みの社長に負けてしまった…水曜日の夜のクエストはあきらめるかぁ…はやくランクをあげたいんだけどなぁ……いや、まてよ?社長が連れて行ってくれる店だったらいいところなんじゃ!アリスさんとの食事の候補になるかも!!
「…………さん?大輔さん!」
「え?はい?」
「大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫です。じゃあ俺は今日はこれで」
「はい、お疲れ様でした」
鈴木さんに肩をたたかれ我に返りタイムカードをおしたけど今日はクエストが来ないので駅にむかってあるいた。
「あっ!あいつだ!!やっといやがった!!」
「ん?どちらさまですか?」
「はぁ!?てめぇふざけんな!このあいだはよくも駅ではじかかせてくれたなぁ!」
「ああ!お前ら普通にしてたらモテそうなんだからあんな真似するなよ!」
「え?そ、そう?」
「ああ、おしゃれイケメンじゃないか」
「くっ!調子が狂う!きょ、今日は仲間を連れてきたんだ!この間みてぇにはいかねぇからな!」
「ここじゃまずい…おい、場所をいどうするぞ、大人しくついてこい」
「急いでるんだがなぁ」
8人の男に囲まれながら路地裏へとやってきた。
「ここは防犯カメラもねぇ、多少音がなっても誰も気づかねぇ…覚悟しろ」
「ふむ、痛いのはほんと嫌だけど、せっかくだし特訓の成果をためしてみるか」
「はっ!いっとくがこいつはボクシングやってんだ!なめんなよ!」
「一気にやるぞ!囲っちまえ!」
男達が俺を囲み一気に襲ってきたが足元に落ちていた40センチほどの角材を拾いガルドさんに習った剣術の成果をためしてみることにした。
「がぁっ!!!」
「ぐふっ!」
「う、うそだろ…一瞬で…ちっ!…………がはっ…………」
軽く型を試すようにふったら7人が勢いよく吹き飛び気を失っていった…死んだりしてないよなぁと不安に思っているところにボクシング経験者だという男が殴りかかってきたので間一髪かわし、反射的に手がでてしまいカウンターがきまり倒れて動かなくなった、とりあえず全員壁によしかかるように座らせ、死んでいないことを確認してビビりながら家路についた。
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