第25話

 ヒューイは、リシャの拘束を解いてやった。


「ありがとう。これで君は仲間だ」


 リシャは、ヒューイに握手を求めた。だが、ヒューイはその手を握らなかった。まだ、完全にリシャを信用したわけではない。


「私は、どうすればいいんですか?」


「この先にいる仲間に僕を引き渡してくれ。あとは、僕は野盗に襲われて死んだことにしてくれればいい」


 ヒューイは、しばし考える。


 リシャの願いが、それで終わるとは思わなかった。


「……それで、そのあとは」


 リシャは、にやりと笑う。


「来るべき日に、王の護衛たちを殺してほしい。君ならば、できるでしょう?」


「隙をつくことができれば……ただし、過信されても困ります」


 倒しきることはできないかもしれない、と念を押す。


「それでもチャンスがあるだけいい。あの達人たちには、他の人間は歯が立たない」


 そうであろう、と思う。


 師匠たちは自らが強くあるだけではなく、それを次世代に受け継がせようとしている。


「ところで、私をのぞいた達人たちの弟子はどうするつもりですか?」


「僕たちの考えに賛同してもらえなければ、死んでもらう予定です」


 やはり、とヒューイは思った。


「その弟子の一人に死んでほしくはないのです」


「そうですか。名前は?」


「ユーファ」


 その名前を、リシャを聞いて微笑んだ。


「分かった。その人間は、極力殺さないようにしましょう」


「約束ですよ」


 ヒューイは、リシャと共に暗い森を歩いた。


 随分と歩くと、明かりが見えた。


 焚火の明かりだった。


「あれは……」


「あれが、僕の仲間の灯です」


 リシャは、嬉しそうに語った。


 遠目から確認するに、リシャの仲間の数は多かった。だが、全員が戦える人間というわけではない。仲間には、女もいた。


「これで、本当に王権を奪うつもりなんですか?」


 リシャの仲間は、あまりにも頼りない。


「ここにいるだけが、全てではないよ」


 リシャはそう言うが、信じられない。はたして王権奪還はできるのだろうか、とヒューイは不安になった。だが、ここまできたらリシャを信じないわけにはいかない。


 ヒューイは、リシャを彼の仲間に引き渡した。


「それではヒューイ、革命の日にまた会おう」


 リシャは、そう言った。


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