合谷 外伝ーそして……ー④

不動 明は再び海外の仕事へ飛び立った。


そして……



aquamarine には平和が訪れた。




宮古田カルチェ



「カルチェ様っ!カルチェ様っ!」


「なんですか?岩崎さんっ」


「この詰将棋!私が作ったんです!解けますかぁ〜?えっへへ」


「へぇ〜すごいっ!やらせてくださいよっ!どれどれぇ〜」


30秒後



「解けましたね。でもすごい!13手詰め作れるなんて」


「は、早すぎですよ……どんだけ作るのに時間かかったか……とほほ」


相変わらずカルチェにご執心の

岩崎社長。この縁はカルチェがキャバ嬢を辞めても続くものだった。



優雅水ミザリー



「いらっしゃいませ」


「君がNo.1か!うひょー♡噂通りの超絶美人だ!」


「あはっ♡ありがとうございますぅ」




この後、数年に渡りaquamarine の

No.1を務めるも心身共に限界を迎えた

彼女は新たな薬物に手を出してしまう。治療施設への入院を余儀なくされる。P山との事がトラウマとなり、ミザリーと呼ばれる事すら受け入れられなくなる。



美鏡アリス


事件後、一年ほどで

aquamarine を辞めた彼女は

いい男を求め、レースクィーンとなっていた。その美貌とスタイルの良さから、芸能事務所への誘いもある。




















そして……

事件から10年が過ぎた。




















「肩いったぁ……」


「どうしたんすか?カルチェさん」


「肩が痛いのよ……腕も痺れるし」


「マッサージとかやってもらいに行ったらいいんじゃないっすか?」


「なに?ルウラいいとこ知ってんの?教えなさいよ」


「確かぁ、お客さんに聞いたのだと……あま、あまてら?す?」


「あまてらす?」


「はい。なかなかうまい先生が揃ってるらしいっすよ」


「ふぅん……行ってみようかしら」
















数日後






「都田さーん、どうぞー!」


「あっ、はい……」









「肩が痛くて……腕が痺れちゃってるんですね?右手だけですか?」


「はい。左手は大丈夫ですね」






「分かりました。じゃあ、マッサージで筋肉の具合い見ていきますんで、うつ伏せに寝て頂いて……」


「はい」




こうして宮古田カルチェは

あまてらす鍼灸整骨院に通い始める事となる。


椿原是露の真摯な接客態度とマッサージ、それと今までの男達には感じた事のない『あぶない雰囲気』にカルチェは心を奪われていく。



「自分でも不思議よ。ああいうタイプを好きになるなんて」


「カルチェさんを惚れさせたマッサージの先生、見てみたいっすねぇ」


「でも、こないださぁっ、是露先生を指名してるJKがいたのよっ!」


「まさかのライバルっすか?」


「たぶん……あの子も是露先生を好きになってるわね。私の勘がそう言ってるわ」


「あはははっ!カルチェさんピーンチ!JKは手強いっすよぉ」


「今度、会ったら釘刺しとかなきゃ」


「えっ!?なんか言うんすか?」


「ええ。『あの男はあなたが思ってる様なただの優しいお兄さんじゃない』ってね!」


「お〜こわっ!」


「ミサさん、起きてたっすか(笑)」


「ミサさんがなんと言おうと、私はあのJKにガツンと言いますから」


「あははは。ご自由に。恋ねぇ。したくもない」


「はい、はい」


「ミサさんが恋とか想像つかないっすよ!あははは」


「ルウラっ!バカっ!余計な事言わないのっ!」


「あっ、地雷でした……?」


ミサは再び、こたつに潜り込んで

寝た。


「さーてっと。チョコ買いに行こうかしら」


「どこの買うっすか?」


「まぁ、カミーユあたりでいいかしらね」


「おっ!気合い十分っすね!」


「当たり前よ……ガキンチョにはカミーユは無理よ……コンビニのでも買ってきなさい」



二月十四日、バレンタイン。




(アフターで朝までコースはきついわね……はぁ。あの子も来てるかしら。バレンタインだものね。たぶん……指名を書きに来てるはずだわ)


タクシーが、あまてらす鍼灸整骨院に到着。


「運転手さん、ここで待っててください。すぐ戻るから」


「分かりました」


ガチャ……




コツ……コツ……コツ……


(ほら、いた。おじさん、おばさんに混じってJKがひとり……間違いないわね)



カチッ!



「ふぅうう〜……」

(うんまっ……今日も元気だ、煙草がうまいっ……)








「おはようございまーす!お待たせしましたー!どーぞー!」


(さて……この子は何時?)


順番に指名を書いていく患者たち。

カルチェの前のJKの番になった。


(ふーん……私と同じ、午後イチ……そして、やっぱり是露先生を指名ね、なるほど……)


JKが退いた後にカルチェも、

サラサラと是露の指名で名前を書いた。そして、そのJKが自転車の鍵を外している所へ足早に向かう。



「ちょっと待ってよ」


「はい?」


(なにそのあなたなんて知りませんけど、みたいな顔は……すっとぼけてるわね……分かってるくせに)


「14時30分、椿原先生指名の……ふちやま?……みか……?さん?」





渕山ぶちやま美化みけですけど」






ふたりは出会った。




合谷外伝

おわり♡



最後までお読み頂き感謝しかありません。合谷はこれで終わりです。

また別の作品でお会いできればと思います。ありがとうございました!

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合谷 天音えくれあ♡ @331639

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