誰もが迷い間違え、それでも成長していく青春物語
- ★★★ Excellent!!!
始めに書いておきます。スロースタートです。しかも演劇が深くかかわってくるのは4章ぐらいからです。ですが面白いです。徐々に続きが気になってきます。
web小説的に、序盤の動きが鈍いからあまり読まれてないだろうと思いましたが、現代ドラマで☆300を超えているあたり、読んだらしっかりと評価されるタイプの物語ということが分かると思います。
ここから感想(ネタバレを含む)
物語の主軸となるのは、ヒロインと全国大会を目指すということです。そして各章ごとにトラブルが起き、それと主人公が解決していきながら成長していくヒューマンドラマです。
自分が面白いと思ったのは2章の後半から、物語が本格的になったなと感じたのは3章になってからです(それまでに読むのを止めてしまったら、たぶんこの物語の面白さは感じられないと思います)。
なぜなら、そこまで行かないと主人公の魅力が分かりにくいです。しかし逆に言うなら3章まで読み終わると、どこかで主人公に共感できると思います。カッコいい言動もあり、どこか真っ直ぐとした性格で、人によっては共感できる過去があります。演技についても先輩から主役を推薦されるほどではあります。ただ等身大の高校生で、流行りのチートや天才ではありません。
最新話の210話まで読んでから振り返ると、1章は長い序章という感じです。2章の前半まではキャラクターの紹介といった感じでしょうか。新入部員歓迎会が始まってから物語が加速していきます。
3章は主人公の友人A(サボりがちな演劇部員)の恋愛がメインなのですが、そこでみんなが腹を割って話し合うところは最高でした。
それがあったからこそ、続く4章5章での関係性がより良いものに感じます。
4章は演劇部として後輩にどう指導していくか、どう接していくかで揉めます。
5章は春大会に向けての日常と部活を辞めると言い出した友人Bを説得する物語です。
そして現在進行している6章は春大会編のようです。
ここから更にキャラクター一人一人を掘り下げていきます。
主人公の杉野は、どこか頼りない一面がありながらも、いざという時は頼りになるタイプです。しかもみんなから頼られるのが実感できるようなシーンや会話がちゃんとあります。ときどき的を射たことを言ったり、悟ったような考えをしたりもします。
好きな回は「第54話 俺の内にあるもの」です。ヒロインを説得する主人公はいつだって正義。
気の強いしっかり者のヒロイン椎名。ひょっとしたら今のところ一番成長している人物かもしれません。始めの方は独善的だったが、段々と演劇部のことを大切にしていきます。
好きな回は「第75話 それでも、彼女は叶えたくて」です。ヒロインの過去話はいつだって正義。
おそらく主人公の親友ポジション樫田。話し合いでは常に中立な進行役。時に主人公の横に立って支え、時に背中を押す…………あれ? 正妻ポジション?と思うほどです。
好きな回は「第53話 進行役に導かれて」です。親友が主人公の背中を押すのはいつだって正義。
クールな美少女夏村。口数は少ないが核心に迫ることを言うタイプです。そして樫田と秘密の関係? まだ謎は多いですが、人をよく見て部活が好きなことがよく分かります。
好きな回は「第71話 ディベート4」です。告白が失敗してなお友情が続く男女はいつだって正義。
椎名と犬猿の仲の享楽者? 増倉。誰よりもみんなで部活を楽しむ事を大切にしている演劇女子。椎名のライバル的なポジション。
好きな回は「第97話 内から来るその熱の名は」です。ヒロインのライバルが主人公と協力する話はいつだって正義。
部活のサボり魔だった男大槻。3章は彼が失恋する話です。でもその失恋があったからこそ! みんなが部活を大切にし合っていると実感した。必要な失恋だった!
好きな回は「第65話 揺れ動く納得」です。失恋から前を向く男はいつだって正義。
始めの方がバイトで部活をサボるやつだった山路。5章は彼が部活を辞めようとする話です。
好きな回は「EX21 初恋と青春」です。最後にある主人公以外の独白はいつだって正義。
その他、三年の先輩と一年の後輩がいるけどさすがに長くなるから割愛。
そんなキャラクターたちがタイトル通り、揉めまくります。それでも話し合い、成長して、全国を目指していく物語です。
派手さは弱いですが、だからこそ心に沁みる面白さがあります。
ここまでレビューを呼んでいる暇があったら本編を読むことを強く推奨します!!
そして一読者として、この物語の今後を楽しみしています。