ミステリの書き方⑪

 さすがにそろそろ書いてみようかなと思いつつミステリを読み漁っていたらミステリの定義がよくわからなくなってきたのである。私のミステリ定義はどうも狭義な気がしてきているが、それはともかくトリック的なものがまったく思いつかない。何故だ分からん。


 で。実は学園ミステリのコンテストが始まるより前に、ちょっとだけ考えていたネタがあったりする。私はもうそれを書く気がないし、書ける気がしないので、せっかくだから晒してしまうことにする。


 タイトルは『東城”ミス”テリーの猟奇推理』


 冒頭は死体のシーンから始まり、警察にも協力している名探偵、東城テリーさんが死体を検分、連続殺人であると看破する。つづいてすぐに、次の殺人の犯人を主人公として殺人部分を書くのである。いわゆる倒叙ミステリー風に。


 もうここまで書けばミステリ好きな方は予想がつくであろうが、犯人は探偵に追い詰められていく。トリックなども次々と明らかにされていく。あくまで倒叙ミステリーの体裁で書いていって、中盤、名探偵が付け加えるのである。


「先日の(冒頭の)〇〇、あれも貴方だ!」


 知らん。となる。しかし探偵は滔々と猟奇的な連続殺人として断定、なまじっか途中の論理的推理が的中しているだけに説得力が高く、犯人にとっては理解しがたい猟奇的な動機を付与されて、連続殺人犯に認定されてしまう。


 犯人は、なぜ探偵が自分を猟奇殺人犯にしようとしているのか推理し始めるしかなくなるのである。むろん、自身も殺人犯なのだが――。


 いわゆる、構造でオリジナリティを狙ったがために筋がこんがらがって訳わからなくなっちゃったヤツである。わからん。なにが分からんて、この筋を成立させられるネタが分からん。しかも私はミステリ不得手だけに、すでに手垢のついたネタ構造かどうかもよくわからんのである。なので、やってみたい人は使ってください。


 小っ恥ずかしいことを白状したのだから、もうひとつ、白状しようと思う。


 これまでいくつかプロットの原案を提示したが、どれもまだしっくりきていないのである。というのも、私は人を殺したいのだ。いかん、通報されたら言い逃れが大変そうな言い回しになった。ミステリ作品の冒頭での話であると弁明しておく。


 私は、ミステリの冒頭で人を殺し死体を転がしておきたいのだ。


 もっと物騒になっとる。『ミステリの冒頭で』の一文が機能することを祈るばかりである。ともかく。私はミステリーたるもの殺人でなくてもよいけれど冒頭にボガーンとデッカい謎を置きたくて、かつそれが殺人であればなお良いと思っている。


 先日まで書いていた一連のミステリの書き方を考えるこの謎エッセイ――いまでは番外からさらに辺境へと追いやられた謎の一塊であるが、どれを使うにしても、人を死なせたい。でもって、いま私の感情は、あのラブコメなノリの工業高校生ちょっと男子ぃ話に向かいつつある。手癖で書けそうで楽そうなんだもん。なにがもんだ。


 そうなると、あの冒頭よりさらに前に、人を殺さねばならない。天丼は何度食べても美味しいのである。


 ともあれ、問題は学内で殺人が起きると警察が介入して主人公の出る間はなくなるとともにラブコメしてる場合じゃなくなることだ。じゃあ学外で人を殺そう。さすがにネタを擦りすぎだろうか。まぁよい。なら幽霊は学外でおきた殺人の犯人かあるいはそれにつながるヒントであるべきだろう。


 ……場当たり的な思考でしかないが、一瞬、なにか見えた気がした。分からん。見えた気がしただけで、実際はなにも分かっていないのかもしれん。


 マジ分からん。もう、書くか。エタるの覚悟で書くか。分からん……。

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