ミステリの書き方⑦

 いい加減にしろ。そう言いたくもなるが、せっかくオチまでつけたのにありきたりでつまらん気がするので、そこを何とかしないと面白くならなそうである。正直に言うと分からん。そういうことなのかどうかすら分からん。


 ただ、私には悪癖があるのだ。頭が悪いので、物語が直線的になってしまうのである。これは脳筋アクションエンタメやB級映画をこよなく愛する精神にも少なからん影響を受けていて、実は私は知的ゲームが信じられないほど弱いのです。実はでもないか。


 囲碁将棋にチェスにカードゲームに、直感でやっているうちは勝てるのに考え出すと途端に負けがこんでくるという、脳の使い方の下手さよ。お前はバカか。バカであるので仕方がない。仕方ないなりに意外性を出すにはどうしたらいいか。


 本作(この謎エッセイ)でも語ってたりするオリジナリティやら新奇性を読み直してみたが、大したことは書いていなかった。これはいかんので、意外性の簡単な出し方をひとつご覧に入れよう。いや、こういうエッセイではなかった気が……まぁいいか。


 意外性を出すのに最も簡単な方法は……鮫を出すことである(どぎゃーん)。


 たとえば今のプロットなら、殺ちゃんが死者ちゃんをぶっ殺すためにシャーク女子高生に変身して殺したとか、あるいは偽装先生が偽装のためにシャーク女教師になって噛み跡をつけたために(鮫による)事故死になったとすればよい。意外だ。私は好きだ。創元さんはプロローグでゴミ箱に叩き込みそうだからやらないけど。


 他に意外性を出すなら、今の状態が意外なら反転させればよい。いや良いったって分からんのだけど、いまの展開がありきたりなのは主人公が通報しないという選択をするのが普通だからなのであって、主人公が警察に突き出そうとして、助手がそれを止める展開にすればよい。正義感がある人物が何故。意外だ。意外か?


 よろず書きのN岡さんからも助言を頂いた。

 たとえば「四方の壁を突き破ってすごい数の忍者がでてくる」より面白い展開でなければ考えなおしたほうがいいという話である。元はハリウッドの脚本家とかそんなんだった気がしないでもないが、似たような話は知っている。


 困ったことに、これ私の場合は忍者より面白い展開は書けないのである。冒頭から忍者。だって首吊り死体がぶら下がってるトコに忍者突っ込んできたら面白すぎます。もちろん、そういう意味じゃないって話だろうが。分からん。私自身もうろ覚えなのでそういう意味かもしれない。

 

 まぁ、忍者学園探偵忍法帖とかのタイトルにしたとして、これに勝てそうなネタが思いつくのかって話なので、これは鮫とほとんど同じである。いや分からん。分からんけど大して変わらんと思う。少なくとも私には向かない方法なのでごめんなさい。


 私は普段、読んでくれている方の気分を害さぬようにと自作を下げないように気をつけているが、実際のところは何を書いていてもつまんないなこれとなる。ここだけの話として許してほしい。なぜ許してほしいかといえば、鮫や忍者が面白いのは私の発想の外にあるからで、私は私の考えていることを読むのがつまらないのである。


 このへん、三題噺なんかとは少し違う。あれらは作話の発端を他人に任せているだけで展開はけっきょく自分の嗜好に準拠していく。だから書いている途中は新鮮でも書き上がるとうんざりしたりする。けっきょく展開が自分の予想を超えないのでどうしようもないのだ。分からんけども。


 で、けっきょくは自分がつまらんと知ってるものをなんとか面白く読ませられないかと苦心して、文体とか文章とかに注力して、いまに至っている。そう。まただ。またである。けっきょく、筆力が足らないの一語に集約される。


 分からん。面白い話の書き方がまったく分からん。

 もうちょっとだけ、考えてみようとは思うけど。

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