突拍子もない発想

 どうやっているのかと問われても、どうして分からないのかが分からない。そんな物言いをするとトテモ=イヤナヤツになりかねないので、技術的に解説しておこうと思う。私は解説欲が満たされてハッピーだが、読んでいる人にとってはつまらないかもしれないことを、ここにお詫びしておく。沼津。間違えたすまぬ。


 せっかく星を頂いたばかりなので、くださったソウルネーム『藤光』さんの自主企画(https://kakuyomu.jp/user_events/16816927860350666859)を利用して説明させて頂きたく。許可も取らんで失礼な話だが、無遠慮な私に接触してしまったのが運の尽き。言ってくれたら差し替えます。ビクビク。


 で、今やっていらっしゃるのが、いわゆる三題噺で、『堤防』『氷』『ウェットティッシュ』の三つを使って小説を書くという企画だ。普通に構成するなら、『堤防に行ったら氷のついたウェットティッシュが転がっていて~』みたいにし、設定を夏にすればミステリっぽくなる。


 しかし、今回は突拍子もなくするにはどうするかである。簡単だ。


 堤防型ウェットティッシュ氷の季節だ。


 これでよい。自分で書いてて意味が分からんから、ちょうどよいのである。

 別に『ウェットティッシュ堤防の氷が剥げてきてヤバイ』でも問題ない。この場合ウェットティッシュは地名かもしれないし、堤防の種類かもしれない。


 いわゆる、『マルドロールの歌』方式のシュールの作り方である。とても簡単。


 マルドロールの歌の執筆者ロートレアモン伯爵――本名をデュカスという中二的パワーに満ち溢れた若き無名文士が、『解剖台の上での、ミシンと雨傘との偶発的な出会い(のように美しい)』などのシュール表現を生み出した。一見すると奇妙だが一説には単に手元の広告を見ながら適当に選んだ文字列を並べただけと言われている。


 この手法を専門的にはデペイズマンと言って、エルンストの展覧会でブルトンだったかが日常からの離脱により理解を求めるのでなくむしろむつかしくてよく分からんから覚えんでいいと思う。なんでもない物に大層な名前をつけて商品にしているだけなんだ。たいてい。たぶん。わからんけど。


 ともあれ。


 種が割れれば幽霊の正体たる尾花が咲いては枯れてまた花開くSDGsという寸法でして、雑に狙った突拍子なんです。あくまで私の話で、なかには純粋に突拍子もないことを考える人もいるかもしれません。分からぬ。


 ある人にとっては突拍子もないことが、ある人にとっては普通のことというのは、とてもよくある。なんて読みにくい文章だろう。普通の話なのに。


 もう長らく会っていないが、自閉症の友人(向こうがそう思っていたかは知らない)は、カプチーノの泡の天辺にミルクを注いで凹みを作る遊びが好きだった。意味が分かるような分からないようなギリギリのラインである。私も真似してやってみたが、マジで分かるような分からないようなギリギリであった。久しぶりの小泉構文。


 彼は私の作る泡の凹みには興味を示さなかったし、同意を求めてきたこともない。いわばカプチーノの泡へこませ職人であり、それを面白いと思う人(彼だ)がいる以上は面白く、よく分からんから面白いという側面もある。


 なんでこんな話になった。


 そう。これが突拍子もない発想の極意です。ランダムに単語を拾って繋げて組み合わせて後から意味を考える。繋がったフリをする。一般ウケするかどうかは分かりません。体験上、しない確率のが高いです。分からんけども。

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