文章力
たまに文章が上手いと褒められることがある。嬉しい。嬉しいが、わからん。
基本的に反応があれば嬉しく、褒められると小躍りしちゃったりする。
でも、文章力の話だと、すぐ冷静になる。つづいて脳の血管がブチ切れるほどムカつき、地を舐めるが如く絶望します。
まあ、こんなことを書くと誤解される。だから誤解なきよう説明すると、これらの感情は頂いたコメントではなく、自分に向いている。成長の糧だ。だもんで、読者は作者にどんどん褒めコメントをあげるべきです。九割九分は喜びます。残りの一分はオーバーなリアクションが可愛いだけなので無限に褒めてやりましょう。
とは、いいつつ。
とはいいつつなんです。
はえー、文章うまいなあ、と思うとき、面白いとは思ってないよね?
いや分からん。わからんけども。少なくとも私はそう。
ヤスッポイ・エンタメスキーの別名をもつ私にとって三島は微妙なのだ。文章は引くほど上手いと思うけど。
エンタメを書きたがっている私にとって、『文章が綺麗ですね』は、『月が綺麗ですね』ではなく『突きが綺麗ですね』なのだ。わからん。分かりづらい。
純文学というジャンルがある。
鍛えに鍛えあげた文体の、美しさを競う競技だ。
ざっくり言えば、ボディビルコンテストである。
実際、専門誌をペラペラめくっているとたまに『パワー!』『ハッ!』という、なかやまきんに君な文体にでくわす。『ここからがマグマなんです』とか文学的だと思う。分からんけど。
そういう小説を『文章が綺麗ですね』と評するのは、いわば『キレてる!』とか『腹筋がマリアナ海溝!』みたいなもんなので、とても喜ばれると思う。そしてまた、筋トレ初心者が鏡に全身を映して薄っすらと影がみえてきた腹筋を撫でているときに『腹筋がマリアナ海溝!』と言われれば、面映ゆくもなろう。
エンタメを書いて文章が上手いと言われたときの私の反応がそれだ。嬉しいは嬉しいんですけど、それゴリラ向けの褒め言葉ですよね? みたいな。ちょっと違うか。
また困るのが、言ってくれる人というのは、そういうのに関心が高い人なので、ゴリラに『ゴリラっすねー』と言われるような事態が頻発する。
これだけ書けば、どうして反応に困るのか伝わるのではないか。
伝わったとして、文章力とはなんぞ、とあらためて思う。
エンタメ小説というのは、なんでもありである。審査基準も特に決まっていない無差別トーナメント。『パワー! ハッ!』で勝つこともあれば『えー、慶長の話でございますが、貧乏長屋に……』なんてのが勝ったりもする。
そんななかでも、文章力は高くありたいと思う。矛盾ではない。目指す文章力の方向が違うだけだ。目指しているのはドーピング有りのコンテストでも、ナチュラルボディビルでもなく、フィジークが近い。もっと言えば、滅多に脱がない。
なんだか安心感があって、話が上手くて、面白い人だなと思っていたら、裸をみた瞬間に『はわわ!』と赤面しちゃう
そこで、初めて知る。
鋼の肉体を隠していたから安心感があったのだ、と。
つまり「鍛えてますねー」と言われた時点で、
ではないのである。いや書いてて余計に分からなくなったが。
――これでまあ、分からんことは、だいたい書いた。もっとケイン・コスギたいこともなくはない。でも、さっさと新作を書かねばならんし、とりあえずの終わりとしておこう。
なんで書かなきゃいけないと思うのか、分からんけど。
ちなみにコレと一話~六話はほぼまとめ書きで、しかも予約投稿なので、即完結とはならない。書き足りないことも出てくるかもしれぬ。分からん。どうなんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます