第14話 邪龍が目覚めたらしい
「うぅうう、吾輩の眼が疼く。覚ませ覚ませと届かぬ禁忌の永遠を開いた龍が叫ぶ。くくく、猥雑で腐朽した半端な半異世界がこの美しく鮮やかな世界の秩序を稚拙で矮小な術で侘しくそして平等に正すだろう。ふふふ、骨を震わせ泣き喚け凡夫ども、遥か彼方の生を願え!ふはははぁああ」
「半異世界ってなんだ?」
「え~と、この世界とは違うもの的な、でも純粋な異世界でもないてきなものかな」
「な~んだ、あんまり設定練れてないじゃん」
「うっさい、練れてるもん、しっかり考えてるもん」
「つか、この問題教えて」
「あぁ…これは、itの意味を考えたら解るよ」
「お~、確かに。お前なんでこんななのに頭いいんだよ」
「まぁ、私…こほん吾輩は異世界では賢者と呼ばれたものだからな」
「おお、そうか、じゃあ俺ゲーセン行ってくるわ」
「おいおい、待て待て、課題は!」
「気持ちは嬉しいけど、もう満足かな、一問解いたし」
「そんな食べ物みたいな断り方をしてもダメだよ」
「そんじゃ」
「だぁめ、せっかく君の家来たんだから、はい座る」
「嫌だ、嫌だ、こんなのやるくらいだったら浜辺美波と結婚する!」
「高望みしてる!そこは普通マイナスな言葉選びをするところだよ!」
「わかった、サニタイザーあげるから見逃がして」
「何それかっこいい、サニタイザーで魔王の息の根を止めたい。どんなのどんなの」
「はい」
「うわぁ…あ?なにこれ」
「水洗トイレに連結された消毒薬を供給する装置だよ」
「なんで持ってんの⁉家庭用トイレじゃお目にかかれない代物だね」
「そうかそうか、そんなにうれしいか、よし、それじゃ」
「まったく嬉しくないよ、名前と用途が解釈違いで混乱してるだけだよ!」
「え~それじゃ、アルベドあげる」
「なにそれ、地獄の死者みたいな名前のもの」
「はい」
「何この白いやつ」
「ミカンの周りについてる白い筋だよ」
「いらないよ!なんで保管してあるんだよ!」
「栄養価が多く含まれているのに」
「気持ちは嬉しいけど、いらないね」
「わかった、これは最終兵器で出したくなかったけれど…ファイヤーホールドでこの場を凌ぐしかないか」
「何それ…かっこいい、全身に炎をまとって即死攻撃できそうな名前…」
「これはやりたくなかった、くそっ、ここまで追い込まれるなんて」
「そんな大技なのか…ゴクリ」
「あぁ…次の人が使いやすいようにトイレットペーパーを三角折にする…」
「なんでだよ!こんな引っ張ったのに…ちょっと期待したのに、なんでそんなドラクエの魔法でありそうな名前なんだよ」
「ツコッミしている隙に」
「あっ逃げるなぁ、もうこうなったら。これがどうなってもいいのか」
「お、おいやめろ、そいつをどっから…そいつから手を離せ。た、頼む、神絵師のオンパレード回だったんだ」
「ふふふ、そんなにこいつが大事か、ならベットの下になんて置いておくべきじゃなかったなぁ。離して欲しくばペンを持て、そしてその英語の課題を終わらせろ」
「なんでなんだ、俺はこういう運命だったのか。くそ、み、右腕に力が入らないペン以外だったらなんでも握るのに。勉学をやりたくないと軋む」
「いいのかこれがどうなっても!!早くやれ!!」
「ふふははは」
「何がおかしい、燃やすぞ」
「やれよ」
「っく、どうしてだ、なぜ止めない!!」
「俺は紙じゃなくて電子書籍派だ」
「なに…実質ノーダメージだと。それなら親にばらすぞ」
「やれよ」
「なに、どういう意味か知っているのか、こういう本が親にバレたらタダじゃ済まないぞ、家族というコミニティーの中で孤立してもいいというのか」
「その程度で孤立するなら俺はもう孤立しているさ、俺の家族を舐めてもらっちゃ困る。俺が世界一尊敬する家族をなぁ!!」
「無敵だ…こいつ」
「それにお前は出来ないよ」
「…?」
「俺の前以外で厨二を解放できない恥ずかしがり屋なお前は、その本の説明を俺の親になんて出来ないよ」
「確かに、恥ずかしい。君の親と仲良いとはいえこの本の説明をするなんて」
「勝ちだなな、俺を止められるものはもうない」
「……」
ポロポロ(彼女が涙を流す)
「おいおい、それはダメだって」
「……課題」
「わかった、やろう。そうだよな俺の親から言われてるもんな。責任感強いから色々考えちゃったよな、ごめんごめん」
「…うん、でもそれだけじゃない」
「えっ」
「き、君と一緒に…邪龍を目覚めさせたかったから!!」
「邪龍?」
思ってる事が上手く言えない彼女であった。
会話オムニバス ちょうれい @sirius-74
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。会話オムニバスの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます