第22話 シェリー
「シェリーいつになればーおれはいあがれるだろーシェリーどこにいけばーおれはたどりつけるだろーシェリーおれはうたうあいすべきものすべてにー」
俺はこの歌が好きだ。
他の歌詞は忘れたがここだけ、覚えている。
鼻歌交じりに車を運転する。
車は黒のハイエース。
今から頼まれてた殺人現場に行く。
「シェリーってどんな女なんだろう、女神かマリアか、」
キッと車を止める。
ゴム手袋と足元にはく長靴、黒いレインコートを来て道具を持ち現場にはいる。
うわお。
なんでこうチャイナ絡みの殺人現場はこんなにぐちゃぐちゃになるのか。
最近ヤクザとチャイナ絡みの現場が多い。
銃1発で済むはずなのに、こうも汚したがる。
もうぐちゃぐちゃ原型さえもなくしてる。
俺はため息をつく。
遺体はない、代わりに飛び散った肉片が遺されている。もう慣れたもんでトントンと作業は進んだ。
散らばった肉片は生ゴミとして細かく解体して生ゴミとして捨てる。
3時間。
作業は完了。今日も綺麗になった部屋。
タバコを取り出し火をつける。
フワッと煙が舞う。
「シェリーおれはうまくわらえてるか、おれのえがおはひくつじゃないかい、」
あ、そうだ。
「おれはしんじつへとあるいてるかいー」
帰ったらCDでも聞こう。
どこ置いたっけ。
俺はレインコートを抜き、服を脱ぐ。
真新しいのに着替え、今日着た洋服は生ゴミに捨てる。
さすが俺。どんなに頑張っても褒めてもらえないから自画自賛する。
ぱち。
電気を消して黒いレザー手袋を手に鍵を占めた。
「シェリーやさしくおれをしかってくれ、そしてだきしめておくれ、ええーと、なんだっけな、」
俺はずっとかんがえて帰宅する。
「おかえり、」
「静ただいま。」
弟の様に可愛がる静はにっこりと笑う。静にてを引かれ、リビングに行く。
テーブルには誕生日ケーキが乗っかってた。
「薫、誕生日おめでとう!はい、プレゼント、」
包装された紙袋から出てきたものはネイビーブルーのケーブル編みのマフラー。
薫と呼ばれた男は驚いた顔を見せた。生まれてこの方誕生日などなかった。
マフラーを首にまかれる。
ぽた
ぽた
自覚せず涙をこぼす。
いつ死ぬか分からない。いつ殺されるか分からない。静を一人にさせたくない。
こんな俺は傲慢だろうか。
引き寄せた手。
シェリーはきっとこんな人物なのだろう。
「シェリーゆめをおうならばなみだなんかながしちゃいけないよね、」
「うん?」
「シェリー。」
「なんでもない。」
貴方に見る死の影。例えどんな結末に成ろうと死は美しい。 退廃さん @4639sakura
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