第13話 星へ
「人は死ぬと星に還る。」
そう言っていた奴がいた。
「死ねばただの肉塊だ。魂などあるわけない」
俺はそう言って、タバコを吹かした。
そしてそいつは俺の手で銃弾を浴びて死んだ。
「楽にしてくれ。」
もうすでに息絶えそうな姿だった。
かろうじて息をしている。
俺を見上げながら男は言った。
「お前の手で殺してくれ。」
外は茜色。。
まるで血に染まった色をしていた。
俺は銃を向け、弾を放った。
口は
「ありがとう。」
と動いた。
バイクにまたがり夜道を走らせた。
木が生い茂り闇に飲まれる。
バイクを止め、
ひと際高い、芝生の生えた丘に立った。
見上げれば満天の星。
奇麗だ、と素直に思った。
シュッと星が流れる。
ぽたり。
涙が零れた。
涙が溢れて止まらない。
亡き友を想い泣いた。
これまでに奪ってきた命を想い泣き叫んだ。
「誰か俺を殺してくれ・・・・。」
男はナイフを取り出した。
涙で濡れる首筋。
ざざっとナイフが喉を裂く。
息絶えるまで男は血を流しながら思った。
「人は死ぬと星に還る。」
フッと笑みがこぼれ、男は息を引き取る。
「星に還れるなんて、なんておこがましい。」
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