第10話 クリスマス
俺は幽霊。
どうやら俺の姿は見えないらしい。
まあいい。俺には名前がない。
国籍は日本だがそれも曖昧だ。
俺が叫ぶ声は誰にも聞こえない。
俺の叫びは誰にも届かない。
神に縋ったが、その俺の手は血にまみれていた。
俺がやったのか
俺が殺したのか
俺が・・・・俺が。
わからない。分からない。ワカラナイ。
気付けば俺の足に縋る様に手を伸ばした男の死骸が在った。
誰だコイツはと考えたが、まあ、自分が殺したのだろう。
手には黒く光る銃。
俺は返り血を浴びていた。
銃をジーパンの後ろポケットに差し、イルミネーションが光る街道を歩いている
光が目に痛い。
耳を傾ければジングルベルの歌が聴こえてきた。
「ああ、もうすぐクリスマスか、」
思い出した。俺の名前は
「ハレルヤ」。
だが、名前が分かっただけで、何も変わらない。
血を浴びた。
ジーパンの後ろポケットには銃。
通行人と肩がぶつかる。
振り返りはしなかった。
誰も俺が見えない。
もうすぐクリスマス。
俺の名は
「ハレルヤ」。
神を崇め称える名前。
賑わう街。
俺は銃口を頭に押し当て引き金を引いた。
バズ。
弾は頭を貫いた。
誰も俺は見えない。
事切れる前に聞こえた子供の声。
「ねえパパ、あそこに倒れている人がいるよ。」
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