第4話 懺悔

雨あがりの夕暮れ。

パシャンと水たまりが揺れた。

跳ねっかえた水滴。

ズボンのすそを濡らす。

男は気にもせず飄々と歩き出した。


タバコを咥え火をつける。夏の名残を残した風が頬をかすめた。


タバコを咥える口元が血で滲んでいる。

男が歩いてきた道には血が点々とアスファルトをにじませた。


腹部から血が流れている。


刺し違えた男は当に息をしていない。

お互い死ぬ。そんなふうに尖らせたナイフで刺され。男は銃弾に倒れた。



手にした手紙。男は血を流しながら、教会に入った。


血に滲んだ数枚の手紙。


「こんな混沌とした街で僕は君に会った。


君はあの時、君は言ったね、

影が孤独と死神を連れて忍び寄ると。

孤独だと君は涙を流した。君は孤独じゃない。たくさんの血に染まった君だけど、家族とも言えるファミリーは確かにいた。そして君が語ったホワイトファング。君は気高く強い王だった。君は自分の様だと自嘲していたけれど、ファングには家族がいた。

ブルドックに襲われ、瀕死の状態で救われたファミリーが。


ファングは幸せだった。人間に心を許した。


君の悲しみが痛いよ。

君は確かに愛されていた。そして僕も君を愛していた。


ナイフの様な翼をもった君だけど。そろそろその翼を閉じて楽になってもいいんじゃないかな。

もう君を傷付ける奴なんていない。責める奴なんていない。

その王冠を取るんだ。

君が思うより、僕は君を想う。

見上げれば空は青い。それでも月は見える。昼の空でも、星は輝いてる。ただ、見えないだけで。そこに在る。遠くにいても空は同じだ。


僕は願う、そして祈る。君の安らぎを、心の弱い君の為に。


「only you can meke me happy on cry。」


誰もいない教会。

血を流しながら、真っ白い十字架の元まで行き、倒れた。


ずっと欲しかった言葉。


「神さま。どうかこの血染まった俺を許してください。」


「神さまどうか俺の心を見て下さい。」


「神さま、」


「神さま、俺の想いはあの人に届いていますか?」


「神さま、どうか俺に安らぎを・・・・。」


「only you can meke me happy on cry。」


「me too」


血に染まった手紙を胸に当て、


真っ白い十字架の下で息を引き取った。


とじた瞳から流れる涙。頬を濡らした。

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