第2話 中華街にて
身体が痛い。野良猫みたいに路地裏に身を隠した。
『マオ』
『マオ』
誰だ。
チャリっと裸足の足に掛けられたプレート。
『猫』
「マオ。」
中国語で猫をマオと呼ぶ
「マオ」
俺を呼ぶ
俺の名前?
腰まで垂れる黒髪。
マオはそっと街中を見る。
自分を探しに来たのだろうか。
黒いマオカラーを来た男を見つける
マオは路地裏に引きずり男に襲い掛かる。
力加減なんて分からなかった。
自分でも驚く程の力。腕力。
ただ、首を絞めた。
男の脈を確認した。死んでいる。
マオ、俺の名前。
男から服を脱がし、血まみれの服を脱ぎ棄て、路地裏から抜け出す。
中華街。マオの目にはとても目まぐるしく、痛い。
黒髪が流れる。
マオは人の波にのまれる。
足が痛い。
もう、歩けない。
前のめりに倒れ込むように、長身の男の胸に受け止められた。
「マオカラー?中国人か。」
取り合えず拾った命。
マオを抱き、自宅へ歩き出した。
中華街が見渡せる高層マンション。20階のボタンを押し部屋に着く。、
ダブルベッドに寝かせた。
「すいません。」
呟いてシャツをめくる。
「男か・・・・どっかの囲いか?」
顔を見ると男が好きそうな顔をしている。
「取り合えずこのまま寝かせよう。」
叶砦。かのうとりで。
叶はブラックコーヒー片手にタバコを吹かす。
「うっうわあああっつ!」
寝室に向かい、マオの姿を見る。
「ここはどこだっ」
「お前は誰だ、」
手負いの猫の様に手に負えない。
「えーとね、そもそもね、君が俺に倒れてきたの、記憶ある?」
「君は男?誰かの囲い?」
『マオ』
その瞬間、マオは叫び、頭をふる。
がたがたと震えていた。
「だいじょ、」
「くるなっ」
「お、お前は俺の知ってる奴か?」
「知らない。まあ出るのはいいけど、取り合えず身体についた血を洗わないとお巡りさんに職質くらっちゃうヨ、」
「はい、奇麗な服。下着は新しいヤツだからどーぞ、」
マオは叶の手から服を奪う。
「風呂は、」
「あっち、」
「来るなよ、」
「はいはい分かりました。」
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