第十九話 花火大会、楽しんでくれたかな?

「了解、無理にとは言わないし。じゃあまたね?」

「お、おう、またな」


そういって軽く手を振って取り敢えず解散。


ふう。ちょっと緊張したけど何とか成功したんじゃないかな。多分。

勇気を出して前半だけでも誘ってみたけど、結果は上々だと思う。


「ういーおっつー」

「みりあ、おつあり」


一息つく私の後ろからスッと顔を出してきたのは親友のみりあ。

ずっと今日の出来事を見守ってくれてたってわけ。

みりあとは中学からの付き合いで、数少ないを知ってる子。


「まおにしてはやるじゃん、あの頃とは大違い」

「あの頃とか言わんといての!」

「おー怖い怖い、んじゃみんなと合流しますか」


私は篠崎まお。中学の時は少し暗くてあんまり目立ってなかったけど、いまは高校デビューってやつで、ちょっと張り切って頑張ってます。


地元でこのまま存在感消して行くのもなんか違うしなー、と思って周りには気づかれないようにこっそり受験勉強して頑張ってたら、少し偏差値の高い、しかも県立の高校に受かったわけ。受かったからには流石に心も入れ替えていこうと思って今に至る。


昔はね、空気扱いされててね。仲の良い子とまとめて地味ーズとか言われてたり、男子の罰ゲームで告白の対象にされたり、何もしてないのに笑われたり陰口叩かれたり…、とまぁ結構大変で。


そんな感じでいろいろと嫌気が差してきてさ。現状を変えるために頑張ろうって決意してからいろいろホントに頑張ったの。髪型変えてコンタクト入れて、みりあにナチュラルメイク教わって、服装も監修してもらったり。


そして、どうせ変わるなら新しい環境がいいよね!ってことでちょっと地元から離れたこの高校を選んだってわけ。


「まおちー!みりー!こっちこっち!」

「篠崎先輩、百谷せんぱーい!」

「はいはーい!今行くよー!」


いまはの友達がいるからね。昔も楽しかったけど、なんかいま凄く高校生してる感じしてるし。今日のメンバーは私とみりあと他三人。一人は同級生の竹下もかちゃん、もう二人は後輩の桐谷ゆうかちゃんと森田ひめちゃん。みんなバレー部の部員である程度は気が知れてるから楽。まぁ私の過去は言ってないけど。


「そういえばね!うちのクラスのふうかちゃんとさっき会ったんだけど、赤坂先輩とふたりで歩いてたよ!」

「え、マジ?あのガタイのいい先輩?」


後輩二人がさっき会ったらしい同級生の話で盛り上がってるんだけど、なんかこの前聞いたような名前が出てきて思わず耳を傾けて聞いてしまう。たしか赤坂くんってこの前私に告白してくれた男子だよね。ガタイは良いイメージあったし。


「んー?赤坂くん…?いい子見つかったんだねー」

「ん?どしたん、赤坂と何かあったん?」

「いやー、なんもないけど一応同じクラスメイトだし」


赤坂くんね…。なんか人気はあるみたいだけど私的には、正直あんまり惹かれる要素なかったからね。何回か話した感じいい人だとはおもってたから、いい子が見つかったのならよかった。暑苦しそうだし…。


一応こう、普通のJK頑張ってるけど、中身はインドア万歳アニメ好きなのは変わってないから…。頑張りが功を奏したのか、キラキラ男子とかから声かけられることは多くなったけど、やっぱり少し苦手なわけで。


「篠崎先輩!イカ焼きありますよ!」

「おぉー、なら一本買おうかな。ゆうかとひめもいる?」

「え!いいんですか?なら遠慮なく!」


後輩の分もイカ焼きを買って食べる、うん、美味しい。


そうそう、高校デビュー初日の話。気後れしないようにイケイケでクラスに突入したわけなんだけど、やっぱり不安だったの。これホントにクラスに馴染めてる?って内心バクバクしてた。


そんな私にね、隣の席になった男子が突然「二人で遊びに行こうぜ」なんて言ってきちゃったってわけ。本当に突然だったし、結構IMPACT来たの。VICTORIA Go for it!って感じで。 


そこから私の関心がその男子にちょっと向くことになったの。その男子のバッグに私も見てるアニメのキャラのキーホルダー付いてたし。


なんかその「二人で遊びに行こうぜ」発言が聞こえてたらしい席が近かった女子が、その男子がいないクラスグループで『あいつやばくね?』みたいな感じで広めてたのは普通に引いたし、どこでもこんな感じの人たち居るんだなってちょっとめんどくさく思った。


しかし!今日は楽しかったなー。なんか、久しぶりにあんまり意識しなくても自然体で人と話せたし。いつもはある程度気を張っとかないとガワが外れそうになるけど、今日話してるときはそんなに気を付けなくても良かったし。


「花火大会、楽しんでくれたかな?」

「ん?まお、何か言った?」

「んーん!なんにも!ほら、次の屋台いくよ!」



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