第十八話 まさかの前日に発熱です。
「こはる、雑炊できたよ」
「ん、ありがと…」
明日花火大会、だというのに私は風邪をひいてしまいました。不覚です。
お母さんが作ってくれた雑炊を食べながら、SNSのトーク画面を眺めています。
朝起きたら身体が凄く重くて、熱を測れば38度。お母さんに連れられて病院に行くと、診断は夏風邪。よく治りづらいと言われてる奴です。
多分クーラーのかけすぎだったのと、私の寝相が悪くて、リモコンのボタンを押してしまい、温度が18度の風速MAXになっていたのが大まかな原因だと思います。ほんとに不覚です。
せっかくの花火大会。ぱいせんを誘わない手はなかったし、この前市内に遊びに行った時、ふうかと一緒に選んだ浴衣の帯も用意してたんですが、今回は着れなさそうです。
「ふぅ、ふぅ」
具合が悪い私でも食べられるカニ雑炊は美味しいです。私が住んでる県はカニが少し有名で、冬になると結構安めの値段で美味しいカニが食べられるのですが、私が今食べてるのはカニ缶で作ったものです。
冬に食べることができる、セイコガニはとっても美味しいので私は好きです。
そんなことは置いといて。
ぱいせんはやっぱり夏祭りには行かないのでしょうか。小さい頃は、行ってたと思うのですが、多分あの感じからして行かないと思います。
私の考察としては、この前2人で遊びに行ったときの朝、学校で待ち合わせしてたときに後からやってきた女子の先輩2人から身を隠してたことから、あの2人のどっちかにトラウマ的何かがあると推理できます。
そしてそのうちの1人をジロジロ見てたことかららそっちの先輩の方に何かあったと思います。
「ゲホッゲホッ」
ちょっとむせてしまいました。気にしないでください。
男子が女子から身を隠しつつも、その女子を見る…、身を隠す、ということは何か後ろめたいことがあるという事、そして見つめるということはこれはつまり好意、もしくは興味を抱いている証。
多分、ぱいせんはその先輩に告白かなんかをして、振られたけどまだ気にはなってる、諦められない。そんなところでしょうか。
そして、花火大会に行かないと思う理由は、ぱいせんはいつも放課後にひとりでいたことからクラスに友達がいない可能性があります、っていうか多分いないです。
その理由としては、さっきの先輩に告白したのをクラスの人間に見られて、噂が広まって冷やかされたりしたのでしょう。そして、元々自分に自信のなかったぱいせんは心を閉じてしまって、周りの人も近寄りづらくなった…。とこんなところでしょうか。
まぁ、分かりませんけど。
私はぱいせんに固執してるわけではないので、例え別の人がいたところで、ぱいせんが幸せになればそれでも良いと思います。
良い…と思う…けど…。
『こはる風邪大丈夫〜??』
『ん、大丈夫だよ、ありがとう』
『治ったら遊びに行こうね〜!お大事に!』
ふうかはなんと、ダメ元で赤坂先輩を誘ったところOKを貰ったみたいなので、2人で行くみたいです。む、羨ましいとは思ってませんよ?
す、少しは思ってますけど…。
でもぱいせんを誘ってなくて良かったと思ってはいます。もし誘ってたとして、体調悪くなりました、なんて連絡したらぱいせんはきっと心配してくれると思います。
私のことを考えるより、その先輩のことを考えた方がいいのかもしれない。そんなことを思ってしまう私は奥手なのでしょうか。
ピロン、食べ終わった雑炊を机の上に置いて布団に寝転んだ私の携帯に新しい通知が来ました。
画面には、ハートが回復したよ!の文字。暇な時にしてたゲームなので中々消せずにいるアプリでした。たまにはするのも悪くないかもしれません。
久しぶりにすると意外と面白くなって、気付いたら私は寝落ちしてました。
夏のクーラーが効いた部屋で布団に包まるのって凄く気持ちいいです。
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