第69話 シェイドの勘違い
ネコにトイレを教えてくれたジュジュと、トイレを理解してくれたネコを褒めて撫でまくっていると、
「ひぃぁぁあ」
部屋の中から変な叫び声がした。
声の主はシェイドである。
「どうした? シェイド?」
俺はトイレを済ませたジュジュとネコを抱っこして、部屋の中に戻る。
「な、何でもないのだ。気にしなくていいのであるぞ」
シェイドは俺の枕の上、ネコのおねしょあとの上にいた。
そして、非常に慌てている。
「もしかして、シェイド……」
シェイドは派手に寝返りを打ち、ネコのおねしょの上に乗ったのだろう。
そして、その冷たさに目を覚まし、自分の下にあるおねしょのあとに気づいたのだ。
自分がおねしょをしてしまったと焦っているのかもしれない。
「ち、ちがうのだ!」
「わかってるって」
「本当に違うのだ、これは誤解である」
めちゃくちゃ慌てて、おねしょのあとをその体で懸命に隠そうとしている。
俺はネコとジュジュをベッドの上、枕とは反対側、足元の方にのせた。
とりあえず、ネコのおねしょの後始末をしなければならない。
「シェイド、とりあえずどいてくれ」
「…………」
シェイドは自分の全身を闇で包んだ。
こうなると、あらゆる光が無意味になるので、おねしょあとは完全に見えなくなる。
「シェイド?」
「なんであるか?」
黒い半球状の闇の中から、シェイドは顔だけひょこっと出す。
おねしょあとを隠しているつもりらしい。
「シェイドがしたのではないことはわかっているから」
「ん? なんのことであるか?」
「とりあえず、闇を引っ込めてくれ」
「ん? 闇? ああ、これは日課なのだ。運動? みたいなものであるからして、気にしないでいいのだ」
そういって、シェイドは顔を闇の中に引っ込めた。
ベッドの上に、半球の闇が存在している状態だ。
俺の言葉から、俺がおねしょの存在に気づいていることはわかってもいいはずだ。
だというのに、シェイドはパニクっていて、必死になってごまかしている。
シェイドは、とても賢い精霊なのは間違いない。
だがシェイドは慌てやすい性格なのかも知れない。
「シェイド、落ち着け、俺はわかっている。シェイドがやったんじゃないんだろう?」
「ふぇ? なんのことか……」
「じゅ~~」
ジュジュがとことこ歩いてきて、シェイドの闇の球体に突っ込んで行く。
「ジュジュさま! それは、いけないのである」
「じゅう!」
闇に突っ込んだジュジュは、ピカーッと光ってその闇を払う。
闇の中には丸まったシェイドがいた。
「ジュジュさま、そんな」
「じゅ~」
あわてるシェイドをジュジュは優しく撫でている。
俺も落ち着かせるためにシェイドを撫でた。
「シェイド。まあ、落ち着け。このおしっこのあとはシェイドのじゃない」
「…………」
「だ、だが……」
「にぃ!」
恥ずかしそうにするシェイドに、ネコが優しく語りかけて元気づける。
「な、なんだぁ。これはネコがやったのかー」
ネコがこれは自分がやったと言ったので、やっとシェイドは安心したようだ。
「にぃぃ」
「うむうむ。赤ちゃんだから仕方ないことであるぞー」
たちまち上機嫌になって、シェイドはネコを撫でまくっている。
「我ぐらい大人になると、トイレでできるのだがな! うんうん」
「にぃ!」
「そうかー。ネコもトイレでできるようになったのか! えらいのである」
シェイドたちは楽しそうにしている。
だが、やらなければならないことがある。
「シェイドは体を洗いに行こうか」
「それもそうなのである!」
ネコはともかくシェイドはネコのおしっこの上で寝ていたのだ。
体を洗うべきだろう。
「ネコは……」
「にぃにぃ!」
「大人しくしてね」
ネコを抱き上げて、全身の匂いを嗅ぐ。
「余り臭くないかな。シェイドと違って、ネコはおしっこの上に寝転んだりはしてなさそう」
「にい」
そんなことするわけ無いとネコは主張していた。
「じゃあ、ネコとジュジュはお風呂に入らなくてもいいかな。シェイドだけ風呂場に来てくれ」
「わかったのである! 我は風呂が好きなきれい好きな精霊なのであるからして」
「そうかそうか」
俺はネコのおしっこで汚れた布団のシーツを回収し風呂場に向かう。
シェイドは俺の後ろをちょこちょこ歩いて付いてくる。
さらにその後ろをジュジュとネコが付いてきていた。
「布団は洗わなくて良いのであるか?」
「このシーツは結構分厚いし、布団は余り汚れていないからな。すぐに洗わなくても良いだろう」
「濡れてはいなかったが、多少匂いはしていたのだが……」
本当は良くない。
動物の猫の場合は特にきちんと掃除しないとまずい。
おしっこの匂いがすれば、そこをトイレだと認識してしまうからだ。
だが、ネコは精霊の猫。賢いのでベッドの上はトイレでは無いとちゃんと認識してくれているのだ。
「まあ、布団は洗濯も乾かすのも大変だからな。天気が良い日にまとめて洗うか」
「わかったのだ!」
俺は服を脱いで、シェイドと一緒に風呂場に入ると、ジュジュとネコも中に付いて入ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます