13 twilight

protagonist: architect - sentinel:


 六本木ヒルズの上層階、そのオフィスに議員達は秘書達と共に入っていく。役員室の巨大なガラス窓から、彼は夕日と融けあう摩天楼達を見つめている。

敵「何十億人の人間が、この星で一生を過ごす。罪と共に」

 振り返ってきた彼は言った。

敵「その罪とは、自由だ」

 そして彼は硬直した表情の議員達のもとへと歩みを進めていく。

敵「自由な権利、自由な思想、自由な市場。世界が距離や海で阻まれていた時代は、その代償がただ各々の土地で払われるだけだった。だが今はどうだ?自由の幅広い者が、そうでない者を食い潰して生きている。それを止めるために、我々の美しい世界国家の実現のために、君たち無垢な者たちに力を与えてきたつもりだったのだが……」

 議員の一人が告げた。

議員「申し訳ございません。銀行の買収をしようにも、国有化され、市場に株がすでに出回っておらず……」

 彼は優しく頷く。

敵「そうだな。君たちをここにいるなら、他の解決方法もある。例えば、人質とか」

 そこで、秘書に紛れていた僕は答える。

主人公「彼らを人質にしても、連合国軍最高司令官総司令部GHQは事故として処理する。彼らは悪い子に対しては、そういう連中です」

 そこで彼は僕へと振り向いた。

敵「君は?」

主人公「連合国軍最高司令官総司令部GHQを出し抜いた悪い子……それで伝わるでしょう」

 彼は頷いた。

敵「なるほど、君が星を繋いだ建築家アーキテクトか。自分の住処すら犠牲にして我々の存在を露見させるとは、道化としても、度し難いな」

 他の彼らを含めて、銃を向けられる。そしてさらに彼は言った。

敵「この国では、狂言と言ったか?」

 僕は肩をすくめる。

主人公「世界を支配する連合国軍最高司令官総司令部GHQの、先生たちの目を、僕に向けるためでした。だからこそあなたがたの作戦も、叶えることができます」

 彼は首を傾げる。

敵「どういうことだ?」

主人公「連合国軍最高司令官総司令部GHQ脚本家スクリプターは、再び手を組みました。先生たちは、本来の力を獲得する」

 彼は沈黙する。そして全員に銃を下ろさせ、やがて言った。

敵「それはかなりまずいな」

主人公「ええ、彼ら先生たちは、世界最大の信頼されたネットワークを確保した。私が公開した、あなたがたの作戦を確実に阻止されてしまうでしょう」

敵「それで、君は何をするつもりだ?」

主人公「連合国軍最高司令官総司令部GHQの価値を、ゼロにします」

 彼は沈黙ののち、言った。

敵「だが我々は前回成果を得られなかった。今回はどうやって保証する?」

主人公「僕のシステムを閲覧していたすべての犯罪者を、粛清します」

 彼らの持っていた銃が、今度は彼に向けられた。彼は言った。

敵「待て、どういうことだ……」

 呆然とする彼に、一人の人間が告げた。

同僚「標的交戦中殺害EKIA:Enemy Killed In Action

 銃撃が放たれていく。大きな窓ガラスも撃ち抜かれ、割れていく。それを眺めていた議員達は怯え、震えていた。そのなかで僕は彼のポケットからスマートフォンを取り出す。そして、彼の席に腰がけた。議員達が僕を呆然と見つめているなか、告げた。

主人公「先生たちの狂宴メイヘムはここで終わらせる。けれど先生たちの幻想は、ここから始める」

 そしてスマートフォンの設定を完了させ、パソコンを取り出して繋ぎ、僕はコードを記述していく。

 恐怖に怯える声に包まれたこのオフィスを染める太陽の光は、血のように赤かった。

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