第43話(最終話) 何を言って・・・

「何を言っているか分からないけど、ありのままの事を話すわ」

 と私、東雲亜里沙は昼休憩中にみんなに聞いてもらうことにした。聞いてもらうメンバーは、いつものメンバー。

 みんなは自分のお弁当を食べながら聞いてくれていた。

「実はね。昨日変な夢を見たの」

「どんな夢だったの?」

 凛花さんに問われたので記憶に残っている事を包み隠さず話した。

 



 私は自分の夢の中。

 その空間は白く靄のかかった空間。

 その時はここが夢の中だとは思っていなかった。夢の中で起き、目が覚める。

「何、此処?」

 私は寝ぼけ眼だった。

「おいっ、お前」

 私の後ろから男性の声が聞こえ振り向く。

「誰ですか?」

「私は神だ」

 顔の所に靄がかかった何処かのおじいさんが立っていた。

「あなた、誰です?」

「私は神だ」

「髪?」

 私の質問に目の前のおじいさんが変な事を言い出したのだ。

「神だ。馬鹿者」

「えっ、神様が何でここに?」

 私に神様が怒鳴りつけてきた。ノリが昭和な感じ。

「最近のお前がちゃんと恋をしているかと確認しにきた。夢の中でだがな」

「いえ、出てこないで」

 私は自分が神様というおじいさんを拒否する。何でも、私の恋が進展しないと

天界での評価が落ちて神様から下されてしまうと言っていた。

「何で私の恋が関係するのよっ⁉」

「知らんわ。私に聞くな。上から言われたら、しょうがないだろう。神にだって上下関係があるのだ」

 神様は不貞腐れながらぐちってきた。 私は「知らんがな」と思いながら詳しく話を聞く。今までの私達の付き合いについて、どうも神様は下界を見て、もどかしかったようだ。

「で、どうなんだ。君たちは上手くいってるのか?」 

 私はそう聞かれ、今までの経緯を話した上での結果を述べる。

「まぁ、ボチボチって感じです」

「顔逸らすな。君の問題だろ。私は天上から手を出してはいけない。君たちを見守ることだけしかできない。だから、頑張ってくれぇ。私の為に」

「イヤです。私は好きなタイミングで告白するし。人の指示では動かないわ」

 私は神様の指示を断固拒否した。

「しょうがない、天界のボーイズラブの本をあげるから、頑張ってくれ」

「ハッ?天界にBL本あるんですか?」

 私はその言葉を聞き、興奮する。考えただけで。

「天使♂×天使♂美しすぎる。・・・って最高かよ」

 私は独り言で身悶える。身もだえる姿の私を呆れて見ているおじいさん。

「あのぉ。これあげるから、恋愛頑張ってくれ、お願いします」

 天界のBL本を貰い、神様から恋愛するように頼まれた。

「おぉ、これまた、凄い」

 私は天国はこういった娯楽が無いと思っていたけどあるのね。美形の男の子の顔が近い本が目の前に。表紙だけでもイケる。一応エックス指定になってるから高校生の私は見てはいけないだけど欲望が・・・・




「その本の中身を見ようとした時に目が覚めたのよ。悔しい~。で、どう思います?」

「今言った事って、本当?」

 凛花さんがサンドイッチを食べながら疑いの目で見てきた。

「それ私たちが聞いてもいい話だったんですか?だって私達、所謂恋敵じゃないですか」

「そうよ。そうよ」

 植田さんは蛸さんウインナーを摘まみ聞いてくる。凛花さも同調している。確かにそうかもしれないが私の恋を神様が早く付き合えと後押ししているのが妙にリアルだった。

「で、それを私たちは見守れと言う事?断固、それは拒否します」

 凛花さんはキッパリ否定する。藍野さんも「賛成」と手を挙げる。

「ですよね~」

 私は二人の言葉に納得する。

「でもその夢、面白いですね」

 芳賀君は私の言葉を聞き、笑顔で答えてきた。私は「作り話では無いよ」とみんなに念押しする。芳賀君以外は疑いの目で私を見てきた。

「あぁ、後ね。話の最後に神様と話したんだけど、このまま進展なしだとこのお話打ち切りって言われたわ・・・」

「何それ、出版社の編集?」

 凛花さんは笑っていた。そう思いたいのも確かにある。でも、私はこの夢が正夢かもしれないから真顔で答えた。

「何か妙にリアルだったんです」

「なるほど。だったら今日、寝て同じ夢見たら神様と話して交渉してみて下さい」

と芳賀君が私に言ってきた。私はそんな夢が簡単に見れるわけないじゃないと心の中でツッコみを入れ、なんやかんやでその日は終了した。

 

 その日の夜


私は宿題をして、BL小説を書いて心地いい疲れだったので就寝。

「あれ、ここ何処?私眠ってるのよね」

 私の周りは白い靄かかっいる。私は気付く。これは夢の中。まさか昨日の今日で見れるとは思わなかった。歩き初老のおじいさんが座っているのが見えた。

「昨日の人」

「おっ、君か。また来たのか」

 おじいさんもこちらに気付き、立ち上がる。私は会って確認したいことがあるとおじいさんに説明する。確認したことは昨晩の話。私の恋が実らないとこの世界は終わると言う事だった。私の話を聞いたおじいさんはお茶をすすりながらコクリと頷く。

「あの話本当だったんですか?」

「だから、言っただろう。上からの命令でって。この生活を続けたかったら、頑張って恋をしなさい」

「えっ。私に命令するの?」

 私が反抗的な態度を取ると神様は困り顔をしていた。神様は「そこを何とか、ねっ。これあげるから」と手に取って私にくれた物は大手BL同人誌サークルの漫画。今はネット上で売買されていて値段が高校生のお小遣いじゃ手が出せない超激レアもの。

「でも、これ夢の中だから現実世界に持っていけないからいらないわ」

「あっ、そうなのね」

 と神様はその大手BL同人誌をその場で捨てようとした。その行動に私は直ぐに反応し、拾い上げる。

「あなた、BLをそんな風に扱っちゃだめでしょ。祟られますよ。私はこれを読んで脳に焼き付けるわ」

「わたし、神ですけど・・・」

「BL女子の呪いは恐ろしいよ。あなた、世界何百万人のBL女子を敵に回したわ」

 私は同人誌を脳に焼き付けながら、神様に私の言葉を聞かせ、聞いた神様は震えていた。何か思い当たることがあるような動作。私が「どうしたの?」と聞いたら、神様は急に語り出した。

「実は最近、君と同じくらいの年の孫がBLにハマっていてな。ちょっと注意したら、最近無視されるようになって。悲しいのだ」

「当たり前でしょ。他人の好きなものをとやかく言うとそうなるわよ」

「そうなのか」と神様はさらに肩を落とす。

「そういう時はね。一緒にBLを読んであげるの。お孫さんとお互いの推しを話せばまた仲良くなれるわ」

「解った。頑張ってみるぞ」

 何故か、最初の目的を忘れ、私が神様にアドバイスしていた。

「で、結局。私はどうすればいいの?」

「わたしからから言える事は、とりあえず、作者に上手いことやってくれとお願いする事だな」

「また、メタな事を・・・。そこはせめて、星に願いをとか」

 神様がそんな事を言ってもいいのかと私は呆れてしまった。

「じゃぁ、頑張るんだぞ。自分たちの未来の為に」

 神様は私の前からそそくさと去っていくと目が覚める。




「あぁ、夢か・・・」

 私はベットから起き上がると目覚まし時計に目をやる。時計の針は「AM5:00」を指していた。流石に早いなぁと思いつつも起き上がる。窓のカーテンを開け外を見るとまだ暗かった。窓から入ってくる風はまだ寒い。今の季節、2月の風は本当に冷たい。窓のサッシには霜が降りていたのが見える。流石に寒いと思いながら、まだ日が昇っていない夜空を見上げた。

『神様、作者様。私の恋をどうにかしてください』

 と心の中で願うと流れ星がその場で流れるのが見えた。


 その日の学校


 放課後の部室での事だった。私がいつものごとくパソコンでBL小説を執筆していると芳賀君が部室に入ってきた。

「お疲れ様です」

「お疲れ~」

 私が声をかけると芳賀君は私の所に真っすぐやってきた。他の部員も気にして芳賀君を見ていた。いつものメンバーもどうしたのと芳賀君の行動を眺めていた。

「どうしたの?そんなとこに立って」

「僕とキスをしましょう」

「ブーーーーーー」

 私はいきなりの事で噴き出し、いつものメンバー植田さん、凛花さん、藍野さん、相田君、高瀬部長全員が驚く。

「どうしたでござるか、芳賀殿正気でござるか?」

 相田君の質問に芳賀君は反応しない。私に芳賀君が近づいくる。

「本当にどうしたの?」

 私の言葉にも反応なし。凛花さんが芳賀君に近づき羽交い絞めをし、取り押さえる。

「ちょっと、どうしたのよ。今日のあんたおかしいわよ」

 と凛花さんは説得を試みるがこれも反応なし。芳賀君は凛花さんの羽交い絞めを振りほどき私に近づいてくる。

「では、私とキスをしましょう」と藍野さんがしゃしゃり出てきた。植田さんが「何であなたが出るんですか」とそれを止め、現場の状況は混乱していた。

「東雲さんは僕とキスをして、結婚しましょう」

「私はこんな雰囲気でしたく無い」

 そして、高瀬部長が良い案が思いついたとおろおろしている相田君を引き寄せ、相田君を芳賀君の方に回転投げで向かわせる。

「何するでござるかーーーーー」

 と悲鳴ぎみた相田君の声は絶叫。

 そして、悲劇は起こる。

「あっ」

「ん?」

 相田君は芳賀君の目の前で躓き、相田君の唇が芳賀君の唇に重なり合うのが見え、高瀬部長は私に向かってVサイン。

 

 ドガン!

 

 芳賀君、相田君の二人は重なり合うようにその場で転んだ。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。初めてだったのに、酷いでござる。高瀬部長」

 相田君は絶叫し、自分のしたことに、その場で転がり悶絶。確かにこれは酷い。

芳賀君は相田君とぶつかった事で気を失っていた。

 その現場を見ていた私たちは唖然。高瀬部長は爆笑していた。相田君、生贄ごめんなさいと心の中で謝罪。正直、助かりました。

「わたしが起こすわ」

 凛花さんが抱き上げ、芳賀君を起こす。起きて、また襲われないように私は高瀬部長の裏に隠れ見る。

「起きなよ、芳賀」

 凛花さんは芳賀君の身体をグラグラ揺らし、起こそうとしていた。

「はっ。僕は何でここに?」

 芳賀君は目を覚まし、頭を左右振り、状況確認。

「起きた?じゃぁ、私は誰?」

「僕の東雲さんを取ろうとする、凛花さんですね」

「正気に戻ったのね」

 凛花さんの質問にてきぱきと答える。いつからお前の物になったと心の中でツッコむ。

「芳賀君。いきなりどうしたのよ」

 私は高瀬部長の後ろに隠れながら質問。また、さっきの症状が出ないとも限らないから、念のため。

「授業後の記憶が無いんです」

「じゃぁ、我の唇を奪った事も覚えてないでござるか?」

「はい」

 芳賀君の一言に相田君は「我の初めてだったのに・・・でも、唇が柔らかかったでござる」と言いながら号泣。その感想はいらないです。

「急に頭が痛くなって、その先は思い出せません」

 芳賀君は淡々と話す。私はその話を聞き一つの仮定をひねり出した。

「私が見た夢の中の神様が仕向けたのかも・・・」

「はぁ?」

 凛花さんが気の抜けそうな声で返してくる。

「亜里沙ちゃん、頭、大丈夫?」

「凛花さんには言われたくないです」

 凛花さんに即答。

 私は昨晩に見た夢の内容を詳しく話す。一昨日に続いて凛花さんの反応は。

「また、その話。今回は気持ち悪い位、夢の内容が詳細だね」

「そうです。神様がこれを仕組んだのかと思って」

「早くシナリオ展開させて、話を終わらせようとしてるわね。抗ってやるわ」

 と凛花さんは息巻くと窓際に行き窓を開け、叫んだ。

「神様ぁぁぁぁぁぁぁ。亜里沙ちゃんは私の物だから、絶対に芳賀君から阻止してやるからぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「何ですか、その突然のジャイアン理論。しかも、恥ずかしいわーーーーーー」

 私は凛花さんの口を塞ぎ、窓を全力で閉めた。

「だって、私の物だもん。あげないわよ芳賀君になんか」

 凛花さんが私を抱きしめ、頬ずり。芳賀君もさっきの行動からようやく覚め、凛花さんから私を奪おうとした。凛花さんは放さない。

「ちょっと放してください、凛花さん。苦しい、苦しいです」

 凛花さんの大きな胸が私を圧迫してきた。さっきまで泣いていた相田君がこちらを見て「羨ましいでござる」とこちらを見ていた。

 芳賀君と凛花さんは私を引っ張りあう。

「放してください、凛花さん」と芳賀君。

「やーよ」

「もう止めて、痛いです。大岡裁きかい」

 凛花さんは私を引っ張りながら「その発想は、無かったわ」と笑っている。

 やっぱり凛花さんはちょっとサイコパスなところあるわと実感する瞬間だった。

「解りました。放します、亜里沙さん。ごめんなさい」

 芳賀君は私の為を思って手を離した。

「じゃぁ、亜里沙ちゃんは私の物ね」

「物扱いしないで」

 凛花さんの発言を撤回させ、事は終わると思っていた私だったが思わぬ人物が部室に入ってきた。

「あのぉ、すまんが文芸部の部室ここで合ってるかのぉ」

 その入ってきた人物に私は驚いた。その入ってきた人物が夢見た初老の神様そのものだった。

「あ、あなた。私の夢の中の神様じゃない」

「おう」

 神様は大分、ノリが軽かったように思える。夢の中ではスッゴク悩んでたように見えたのに。

「何でここに神様が」

「あれ、亜里沙ちゃんの妄想じゃ無かったの?」

 と凛花さんは私が言った最初の話を信じて無かったんですか、おい。凛花さんも神様に驚いていた。

「どうも、高瀬と言います」

 高瀬先輩は神様に感激し、なぜか自分の名刺を渡していた。高瀬部長の名刺をもらい神様は私に向く。「本当に神様いたんですね」と植田さん。相田君と藍野さんは「神様キタ-―(゚∀゚)―!」と叫び、拝んでいた。

「何で来たんですか?」

「イベントが起きたと思うんだけど・・・」

「・・・。犯人はお前かぁぁぁぁぁぁぁ。怖かったんだから何してくれてんのよ」

 神様の一言に私はプッツン。私は神様に襲い掛かろうとして、高瀬部長に抑え込まれる。

「だって、お願いしてたじゃん。どうにかしてって」

「だからって、こんな怖い思いしたくなかったわ」

 神様が愚痴っぽく言った事で、私の神経を逆なでしてくる。

「そんな恋愛で大丈夫か?」

「大丈夫です。あんな無理やりより、もっと普通にムードが大切にしていきます。神様には頼りません」

 私は神様に進言する。もうあんな怖い思いをするのは懲り懲りだ。

 神様は小声で「神頼みで頼ったくせに・・・」とぼやく。

「私は誓います。無理のない恋愛計画をしていくと」

「貸金業の口説き文句みたいね」と腕組みをする高瀬部長。私は神様に進言したこともあり、この場でまず行動を起こす。

「芳賀君、こっちに来て」

「はい、どうかしました?」

 芳賀君は訳も分からず私に近づいてくる。そして、私の目の前で立っている芳賀君の目を見つめる。

「私、あなたの事が好きよ。最初は色々他の人と感覚がずれてておかしな人ねと思ってたけど、あなたの事を色々見てきて分かった」

「はぁ」

 芳賀君の気の抜けたセリフに私はそれに構わず話を続けた。

「あなたは無駄に真面目でとても誠実。でも、ちょっとぬけてて可愛いと思う一面もあった。だから、私はあなたに魅かれていった。意識しなくても考えるようになった。・・・・・彼氏彼女(仮)じゃなくて、本物の彼氏彼女になりましょう」

 いつもの感じだとここでみんなが茶化してくるのだが今日は違った。みんな私の告白を真剣に聞いている。後はただ、この部室で芳賀君とBL小説を隣同士で書いている時間が本当に楽しかった。BL小説のキャラでも言わせたことの無いセリフを自分が今言っているけど、恥ずかしい事なんて無い。

 芳賀君は少し考えて短く答えた。

「はい」

 私はその答えを聞いて、芳賀君の唇に私の唇をそっと重ねる。


 チュッ

 

 芳賀君の唇は柔らかく少し強張っていた。私は自分でキスをしてみたもののなぜか放心状態になる。何とも言えない達成感。周りのみんなも私のその姿に衝撃を受けていた。一番衝撃を受けていたのは凛花さんだった。

「亜里沙ちゃん・・・かっこいい。好き―――」

「はぁ?何でそうなる」

 凛花さんが壊れ、私に襲い掛かってきた。

「ギャ――――」

 私は叫び、部室内を逃げ回る。凛花さんの身体能力の高さは折り紙付きですぐに追いつかれてしまった。私は抱きつかれ、抜けだせない。

「止めなさい」

 神様が腕を振ると凛花さんは止まった。正に神の一声。

「ちょっと、何これ。身体が動かない。どうなってるのよ」

 凛花さんは動けない事への不満をたらたら。神様は言った。

「亜里沙君は頑張った。人目の付かない場所で告白ならまだしも。こんなに人のいる場所で告白を。上層部の神様も君の行動を見て、合格と連絡があった」

「別に合格とか、関係ないです」

「君たちの今後が楽しみだ。わたしはこれで帰る。ここはまだ、二人の出発地点だ。頑張りたまえ。わたしは上から見守っているからな」

 神様は振り返り、部室の入口まで行った。あぁ、そうだと神様が手を叩くと凛花さんの停止が解かれた。あ、動いたと凛花さんがぼやく。

「あぁ。後、君は他に恋を見つけなさい。応援してるよ。じゃあね」

 と部室を出て行く神様。私は神様を追いかけ廊下に出たが、先ほどの神様の姿は無く、誰もそこには居なかった。高瀬部長も私の後ろから見ていたんだけど、まじかと驚いていた。

「東雲さんの言った事本当だったんですね」

「私、アイドルやっててドッキリ番組出演したことあるけど、こんなの初めて」

「あなた達、私が言ってる事、真剣に聞いてたのに、信じて無かったんかい」

『うん』×2

「まぁ、いいです。これで、全部終わりましたから」

 私は二人の反応をよそに芳賀君に向き直る。

「さぁ、BL小説を書きましょう、芳賀君」

「そうですね、東雲さん。シュールストレミング×くさやで一本BL小説書いてみますね」

「あっ、そう。めっちゃ、臭そうなBLね」

 私は笑顔で芳賀君に返答。芳賀君はこれでいい。これBLっていいの?ってのを小説に書くのが芳賀君。そこへ植田さんが私に一言申してきた。

「こんな終わり方、受け入れられません。芳賀さんの心は卒業までに私が奪います」

 と宣言。藍野さんは植田さんに拍手をしていた。

「かっこいい。ねぇ。植田さん、私と一緒にアイドルで芸能界のてっぺん目指さない?あなた、クールで可愛いからいけるわ」

 藍野さんはノリノリで植田さんを勧誘していた。

「戦隊もののイエロー、ピンクのキャラになれますか?」

「貴方ならなれるわ」

 藍野さんは植田さんの手を握り見つめ合っている。見てるとちょっとした寸劇になっていた。勝手にやらせておこう。

「さぁ、私達は私と芳賀君のストーリーを歩んでいきましょう」

「はいっ」

 と私たちは机に向かい合いBL小説を書く。

 私、東雲亜里沙と芳賀康太の本物の彼氏彼女のストーリーはここから始まる。

 

 









 

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私に恋をするのは難しい 穴一 @gavagaba

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