もうすぐゴール?
僕は何度もくじけそうになった。
途中でこのままマラソンコースの最寄り駅に逃げ、帰っても良かった。
でもこのままじゃいけないと思い、最後まで走り続けた。
距離は1万メートル。
しかしあと500メートルのところで、三つの分かれ道があった。
枝分かれの手前の端には「どれがゴールかな?」という手書きの看板があった。
こんな極限状態で、そんなことを考えている余裕はない。
僕は真っすぐに進んだ。
フラフラになりながら500メートルを意地で走る。そこを左に曲がれば、すぐにゴールが見えるはずだった。
「あっ、ここはハズレです」
一人の男の先生が、両腕でバツ印を作った。
「もとの分かれ道に戻ってね」
男の先生が分かれ道の方を指しながら、非情な言葉を告げた。
僕は先生から姿が見えないようにもとの曲がり角をフラフラと過ぎると、その場にひれ付した。
心が粉々に砕けた。
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