第33話 「ダメ!ゆとりは、ダメ!絶対に、ダメ!」コンビニ駄菓子の、問題点

 でも、なぜだか、うらやましかった。

 「あまりに、情けないね」

 「…」

 頭にもきたが、言い返せなかった。

 「駄菓子の食品ロスによる廃棄コストは、その多くを、客らが負担させられている」

 「え?何でだ?」

 それは、初めて聞いたことだった。

 「客は、わざわざ金を出して駄菓子を買って、それを、捨ててくれるわけだ。客ってありがたいよねって、店の人に思われちゃうんだぜ?駄菓子は、そういう運命をたどっている。駄菓子を大量に買い求める客は、それ、わかっていたのかな?」

 「さあな…」

 「駄菓子の廃棄コストが店側の収益にもなる現実があるからこそ、それを捨て続けられる経営が、成り立つ。悲しい、現実さ」

 「…」

 「ヒビキ君は、どう思うんだい?」

 「それは、反省しなくっちゃあいけない。が、そのままじゃあ、いけない。子どもたちに、何とかしてもらうしかないな」

 「それが、君の答えなのかい?」

 男の子は、また、肩を落とした。

 「そういう人任せの考え方だったから、お父さんたちは、失敗しちゃったんだ。君は、全然わかっていない。超好景気を生きたあの人たちと、あまり、変わらない」

 「何だと?」

 「管理体制が、甘かったね」

 しかしながら、管理を厳しすぎるのも、考えもの。

 「コンビニ駄菓子の管理問題は、無残」

 男の子は、言った。

 「日本という国は、管理が厳しすぎる。しっかり管理してくれるのは良いんだけれど、厳しすぎて、新しい弊害を生んじゃった」

 コンビニなどでは、商品の流通の途中で、こうした理由だけでも、中身が捨てられることがあったようだ。

 「駄菓子を詰めておいた段ボールが、破れていた」

 それだけの理由で、廃棄だ。それはさすがに、病的だった。

 日本は、最も多くの品を、最も遠くから運んでいた国だ。遠方からでも物を手に入れたいという思いが、世界トップレベルで渦巻いていただろう。

 日本という国は、日々、遠隔からの酷な流通をおこなっていたものだ。

 「駄菓子も、同じだ。そのことを、忘れちゃ、ダメだからね。日本という国は、大変な量のエネルギーを費やして運んできたそれらの物を、どう扱ってきたか!」

 「廃棄したって、いうことか?」

 「その通りだよ、ヒビキ君。駄菓子の悲劇は、忘れちゃ、ダメなんだよ!」

 男の子の声が、震えていた。

 「駄菓子を作るために苦労の末運ばれてきた原料は、どうなった?そのほとんどが、廃棄されることになったんだ!」

 チェックが厳しいのは、良かった。食卓に運ばれた後の事故が、防止できたからだ。けれど、そのために農薬を散布しすぎた。駄菓子の、ポストハーベスト問題だ。

 「農薬がついているなんて、嫌だ、嫌だ」

 「無農薬の物に、してよ!」

 「いやだ、いやだあ!」

 そうして、管理が厳しくなって、廃棄が横行したのだった。

 「人の健康を考えて、農薬散布。遠くから物を運ぶことを踏まえて、長距離移動で物が傷付かないよう、さらに、農薬散布」

 そのことにより、かえって、物が購入されなくなった。しかしながら、インスタ映えを狙って大量購入する人もいたわけであり、その人は食べたいから買ったわけではなかったために、多量廃棄。

 「駄菓子の悪循環」

 それは、こんな考え方に、近かった。

 「責任の、押し付け。僕たちの出したマイナスは、他の人たちに考えさせちゃえ良いだろう。押し付けろ。そうすることで、経営は成り立つ。快楽で出した大借金を、後の世代の人たちに肩代わりさせて社会を存続させようっていう、あの感じ」

 「…」

 「そうするとだね?」

 「…何だ?」

 「他の人が、ものすごーっく、迷惑だ。そうは思わないかね?ヒビキ君?」

 「もちろんだ。俺たちが出したわけじゃない借金を、どうして、俺たちが払わなくっちゃ、いけないんだよ!みたいなものだ」

 「そう思うよな?フツー」

 「ああ」

 「しかし、ある一定世代の人たちは、その押し付けを、平気でする。悲しいね。駄菓子も、泣くよね?非人間的だよね?ヒビキ君には、そういうことが、できるかな?」

 「いや、俺は、そんな好景気を生きていなかったから、できない」

 「そうかなあ?」

 男の子が、ニヤニヤしはじめた。

 「ヒビキ君?」

 「なんだ?」

 「君は、後の世代に闇を押し付けちゃうような人を見たら、どうするんだい?」

 「…逮捕するさ」

 「ほう」

 「だって、そうだろう!他人の金をこっそりもらって、それで私腹を肥やして黙り続けていた人も、多いわけだろう?」

 「そうだな。社会保険を担当していた偉い人なんかは、皆の金を、こっそり懐に入れ続けていた。でもその人たち、逮捕できないからね?」

 「はあ?何で?」

 「時効を、迎えちゃっているからさ」

 「まじか!」

 変な方向に、変わってきた。駄菓子屋教室とは、いかに不気味であったことか。

 「他人の金は、蜜の味。俺たちに、たくさんの金を、ありがとう。ひひひ。大量の退職金も、手に入れられる。おまけに…って、あの人たちは、思っていたみたいだ。その話にも、発展しちゃうね。信じられるか?君と同じ人間の、していることだったんだぜ?」

 これが、現実だ。

 「そうだったとはな」

 「君は、まだまだ、わかっちゃいなかったんだねえ。駄菓子屋教室の質が、落ちる。君は、もっともっと、勉強しなくちゃいけなかったみたいだ」

 「…」

 「ヒビキ君も、情けないよ」

 「…」

 「ヒビキ君…。君は、あの人たちを見て、駄菓子の世界にどういう風を入れるべきだと思ったんだい?」

 「…じゃあ」

 「何だい?ヒビキ君」

 まさしく、風が吹いたような気が、した。

 「じゃあ、心にゆとりをもたせるおまけを考えてみては、どうか?」

 自信をもって、言ったつもりだった。

 「ゆとりだって?」

 「ああ、ゆとりだ」

 だがその案も、瞬殺。

 「それは、ダメ。絶対に、ダメ」

 早々、阻止。

 「そんなに、ダメなのかい?」

 「ダメ!ゆとりは、ダメ!絶対に、ダメ!」

 男の子も、自信をもって、刺してきた。






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