正面から向き合って
「態度は気になるかな」
「態度?」
「偶にいるんだよ、セックスで身勝手な女性が。やる気がなかったり、独りよがりだったり、要は俺の本気に応えてくれない女性が。そういう人は苦手だな」
熱弁が出来てしまうほどにセックスを愛している抄からすれば、そういった女性が許せなくても不思議ではない。
「わかるか、タク? セックス前提のナンパを了承しておきながら、セックスで手を抜く女性がいるんだよ。信じられるか?」
「まあ、ちょっと理不尽だよな」
「そうなんだよ。そこで手を抜くならそもそもなんでナンパを受けてくれたのかわかんないしさー」
それはおそらく、抄がイケメンだったからだろう。
いきなりイケメンから声をかけられたら、とりあえず関係を持っておきたくなる気持ちは理解できないわけじゃない。
ボクももしも突然美少女にナンパされたりしたら……まあ、そんなことはありえないだろうけど。
「タクだったらそんなことしないよな?」
「え?」
「例えばいきなりナンパされたとしても、テキトーに、曖昧に了承したりしないよな? ナンパを受けるなら真摯に、紳士的に、本気で付き合うよな? 相手がどれだけ美少女でも、とりあえずで話を合わせたりしないよな?」
「……そ、そりゃそうだよ」
はたしてボクの目が泳いでいなかったかどうか。
抄の瞳すらまともに見れなかったボクには定かではない。
「そうだよなー? 俺だってそうだよ。仮にナンパされたとしたらこっちの要望をはっきり伝えて、そこで齟齬が生まれたらきっぱりと断る。相手がどれだけ可愛くてもな。やっぱ大事なのは見た目よりも中身だよ」
それは抄が言えた口だろうか。
死の淵で真っ先に美少女への転生を願った人間だぞ、お前。
「まあそんな女性は少数派なんだけどな。基本的にはみんな合わせてくれようとするし、中には初対面なのにピタっと上手くいく女性だっている。それこそ遠い昔から付き合いがあるかのような錯覚を起こすというか……」
「昔から付き合いがあるって言うと、ボクみたいな感じか?」
「お、嫉妬か?」
「え、なんで?」
抄の言葉は完全に予想外で、ボクはシンプルに疑問符を浮かべることしかできなかった。
「なんだよー、嫉妬してくんないのかよー」
「むしろ、どうして嫉妬すると思ったんだよ。ありえないだろ」
百歩譲って、抄が男と仲良くしているのならボクが嫉妬するというのもありえるだろう。
しかし、抄の女性関係に対してボクが嫉妬する理由はない。
「でも、女子は割と嫉妬してたぜ?」
「誰に?」
「タクに」
「……ボク?」
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