第39話 飛んだ
「ただいまリーゼ」
「おかえりブルーレット、何してたの?」
出迎えた寝巻き姿のリーゼに、膝を折った形で圭がその胸元に抱きつく。
リーゼの背中に腕を回し、ポツリと漏らす。
「シエルが俺をいじめる。もうやだ。おうち帰りたい」
「何言ってるの? おうちはココだよ?
よしよし、何かあったの? 話してごらん」
抱きついてきた圭の頭をなでるリーゼ。
世界最強種族の魔族に甘えられるという貴重な体験に、ニヤニヤが止まらない。
母性がくすぐられるってのはこのことなのか。
ヤバイ、この魔族カワイイ!
そんなリーゼに圭が取得したスキルを説明する。
「うんとね、今ね、スキル覚えた」
「え? スキル覚えたの? すごいじゃん!」
「覚えたスキルが酷すぎる件」
「なにが酷いの?」
「パンツを飛ばせる、パンツが空を美しく飛ぶ」
「なにそれ、変態すぎて意味わかんない」
「俺も意味わかんない。助けてリーゼ。
そしてね、女を見ただけで下着と服のサイズがわかるようになった。
しかも服の上からわかる」
「なにそのキモイ魔法、ドン引きなんですけど」
「大丈夫、俺もドン引きしてるから。
そしてパンツに続きブラが作れるようになった」
「ブラ? なにそれ」
「これ」
圭は適当にブラを出した、リーゼに合わせてAA65ノンワイヤーブラ。
色はピンク。
採寸は今した。
「なにこれ?」
「胸に着ける下着」
「胸? こんなの見たことないけど、どうやって使うの?」
圭は葛藤する。
着けるとなったら、上だけ裸になる必要がある。
勿論リーゼには必要ないと思うんだが、そんなの口が裂けても言えない。
それにこの先おそらくこのブラを広める必要がある。
ならばリーゼの力を借りないと広められない。
当然使い方をリーゼに教えておかないと話にならない。
なんだこの苦行は、これが罪に対する罰なら酷すぎる。
「使い方教えるから、上だけ裸になって」
「うん、わかった」
圭の中身が人間だと知ったはずなのに、恥ずかしがらないリーゼ。
上を脱ぎ、裸になる。
寝巻きの下には肌着キャミ1枚で、当然ブラなんて着けてなかった。
「ん? どうしたのブルーレット」
顔を逸らしリーゼを直視できない圭。
何度か見ているが、やはり童貞にはハードルが高すぎる。
「いや、その、やっぱり女の子の裸見るのは恥ずかしいというか。
リーゼは恥ずかしくないの?」
「全然、だってブルーレットだよ、他の人には見られたくないけど。
ブルーレットに見られるのは嬉しいし。触ってもいいよ?」
あれか、お父さんになら見られても恥ずかしくないってやつか。
うんうん、そうだよな、家族なら恥ずかしがるほうがおかしいよな(圭の勘違い)。
「えっとね、このブラは、こうやって後ろのホックを外して。
肩に通して、そうそう、そんな感じ、それで後ろで留める。
なんか肩の紐がゆるゆるだな」
「んー、あ! ここで調整できるみたい」
「お、なるほど、肩紐ってこうなってるのか。
俺もブラを見るのは初めてだからさ、わかんなかった」
肩紐の調整に気付いたリーゼが、自分に合わせて長さを調整する。
「こんな感じかな、どう? 変じゃない?」
「うん、てか着けてるとこ見る自体俺も初めてだからな。
多分これで大丈夫……だと思う」
「そうなの? お互い初めてなんだね、えへへへ//////」
何を照れてるんだろうかリーゼは。
「ブルーレットのいた国は、女の人はこのブラ使うのが普通なの?」
「ああ、そうだね、みんな使ってた。
そういえばこの国の人はどうなの?
胸の大きい人とかどうしてる?」
「うんとね、布巻いてるよ、みんなは胸巻きてって呼んでる。
大きすぎる人は首から引っ張るように布巻いてたりするけど」
「なるほど、サラシとホルターネックだな。
よし、リーゼ。
このブラを世界に広めるぞ」
「パンツみたいに?」
「そうだ、このブラの凄いところは。
サラシみたいに布をいちいち巻かなくてもいい。
肩紐があるから垂れる心配もない。
俺のいた国では、胸の形を美しく保つようにって、みんなこのブラを使ってるんだ。
そして脱着も楽だ。
今着けてるのが一般的なブラだ。
もう2種類あってコレがチューブトップに、こいつがスポブラだ」
圭の手から出したのはMサイズのチューブトップとスポブラ。
「こいつはホックがないかわりに服を着るみたいに頭から通して使う。
チューブトップが肩紐がない、でスポブラは肩紐付き。
着けてみる?」
「うん、それじゃこのチューブトップから」
ブラを着け変えたリーゼが不満をこぼす。
「これ、たぶんずり落ちてくるね、私、胸がないから」
「あー、そうだね、まあこういうのもあるってことだ。
コッチのスポブラなら多分大丈夫だと思う」
「着けてみる」
チューブトップを外し、スポブラを着けるリーゼ。
「お、これが一番いいかも!
ブルーレット、これもっとちょうだい。
ブルーレットはパステル系が好きなんだよね? 何種類かちょうだい」
「やっぱりだけど、パンツの色って俺の好みに合わせてたの?」
「そうだよ、でも色がカワイイから私も好きになった、えへへへ」
「そうかそれじゃスポブラ作っておくか」
パステルカラーで何種類かランダムに生成する。
そして20枚、リーゼに渡した。
「ありがと、これもやっぱり毎日着替えて渡すの?」
「そういえばそうだな、今のとこブラを使うスキルがないけど。
そのうち必要になるだろうな、毎日パンツと一緒に渡してくれ」
「わかった、それでさ、さっき言ってたパンツが空飛ぶっての。
微妙に気になるんだけどさ」
「俺も気になってた、ちょっとやってみるか」
手のひらに白のパンツを出し、使役のスキルを使う圭。
鳥のようにパンツが羽ばたき宙に浮かぶ。
圭の思い描くように部屋の中を飛び回るパンツ。
「あはははははははは! なにコレ! キモイよ!」
「うわー、鳥みたいだけど、すんげーシュール。
これ、お外で使いたくないんだけど俺。
もうさ、パンツが空飛ぶとか、ありえねーよ!」
「ひっ、もうムリ! やめてお腹痛い! ダメっあははははは」
「リーゼ、笑いすぎだよ、こんなスキル覚えた俺の身にもなってくれよ」
「だって、パンツが空飛んでるんだよ! 面白すぎて意味わかんない!」
「クソっ、その腹筋を崩壊させてやる」
新たに黒、赤、青、紫、黄色、グレー、紺。
色違いのパンツを出し使役する。
「だはははははは! 死ぬ! 笑い死ぬっ!もうだめひひひひひひひっ!」
その場にリーゼが崩れ落ちる。
「勝った、この勝負俺の勝ちだな。
虚しい戦いだったけど」
しゃがんでうずくまりピクピクしてるリーゼを起こし、ベッドへと寝かせる。
もうひとつのスキル、服生成は今日はやめておこう。
説明するのは旅の間にいつでもできる。
そう思った圭はスポブラのままのリーゼに寝巻きを着せ、パンツのストックを500枚程生成した。
「りーぜ、寝るぞ」
「うん、腕枕ね」
「はいはい」
ひとつのベッドに2人で横になり、くっついて寝る圭とリーゼ。
村での最後の夜。
皆との別れの晩餐もあり、高揚した気持ちもあったが。
いつのまにか眠りについた2人だった。
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