第10話 対話
皆さん、こんにちは。
桜吹雪です。本名です。
ちょっと、ライフをごっそりと持っていかれる事件が起きまして、少しお暇を頂いておりました。
それにしても酷いと思いませんか?ちゃんと本名を名乗ったのに、偽名だの嘘つきだのと散々ですよ。なんて失礼な!
それで今回生まれて初めて、ノリで命名した父親を呪い殺そうと思いました!
でも、そうは言っても僕の父親は愉快で豪快な男でした。存命中ですが(笑)強すぎて殺せそうにありません。即返り討ちにあうことでしょう。
僕が子供の頃、東京でも四十センチ位の降雪量があった時の話しです。東京には除雪できるような設備などないため自然災害には弱いのです。そんな中で僕の父親は、仕事で使っている小型のブルドーザーと角スコップで少数の仲間達と近隣だけではありましたが、どんどん除雪をしていったのです。それだけ雪が積もれば僕の通っていた小学校も臨時休校です。それで僕も除雪に駆り出されたわけですよ。
最初は、滅多に積もる程降らない雪に大興奮して喜んで作業を手伝っていたのですが、なにせ豪快な父親達の勢いに着いていけるはずもなく、へろっへろになって動きが悪くなっている僕になにかの特訓でもさせるかのように引きずりまわす父親達。最初こそ楽しかったけど、最後には軽いトラウマを植え付けられたという『ユキカキ』の思い出。
これがペンネーム『ユキカキ』の由来です。今ではあれも、良い思い出になって、つけることが出来るようになったペンネームですけど。
おっと!父親の話しからペンネームの由来まで語ってしまいました。意外と早い伏線回収をさらりとやってしまいましたね。僕やるじゃん!僕、有能!
いや、そうじゃないです!今はそんな話しをしている場合ではなくて、梨々香ではないという女の子?『乗っ取り犯』ならば女性を装うネカマてこともあるか?への対処ですよ。あまり放置しすぎて時間をかけてしまっては、せっかく現れたヤツをみすみす取り逃がしてしまう。この直接攻撃の好機を反故にはできないです!
名前の一件で心をやられましたが、読み返せばきちんと会話が成り立っているじゃないですか。強い口調で立ち回っている両者の会話を改めて見て、この勢いのままたたみかけようと思います。
○○○執筆?対話?再開!
「えっとね、桜吹雪は本当に本名だから!そっちだって人のアカウントを乗っ取ってるんだから、僕の名前くらい確認済みなんだろ!?」
「それが本名だなんて証拠がないじゃない!さっきも言ってたようだけど、アカウントの乗っ取りてのはなんの事よ。わたしの事を犯罪者扱いしてるようだけど、わたしからしたらあんたの方が犯罪者……、いいえ、大罪人よ!この悪魔!」
「待ってよ!君の言っている事が理解できない。僕がいったい何を君にしたの?それをまずちゃんと教えてよ」
「白々しいわね。あんたがしている事はあんたが一番わかってるはずでしょ!」
「それが分からないから訊いてるんだよ。なんならアレなの?例えば僕の方が、君の何かは分からないけど『乗っ取って』無理矢理なにかさせてたりでもしてるの?」
「やっぱり分かってんじゃない!あんたはそうやってしらばっくれてわたし達のことを弄んで…………、いったい何が楽しいのよ!」
「弄んでって……。人聞きが悪いね!僕はそんなことをした覚えが一切ないよ!それこそ、僕の執筆物に勝手に割り込んで滅茶苦茶にしてくれてんのはそっちだろ!」
「あんたが執筆なんかしてるのなんて知らないわよ!だいたいあんたのそのお粗末な執筆物とやらにわたしがなんかして、わたしになんの得があんのよ!えぇ!?」
「お、お粗末な執筆物で悪かったねっ!正直に言われるとちょっとへこむわ……。でもやっぱり、僕の執筆物がお粗末だと判断ができるということは、どこかからコレを視てるんだろ!?」
「なに言ってんの?そんなもの見られるわけないじゃん!わたしは、一方的に話しかけて来られたり、一方的に世界をかえてしまうあんたの力になんとか抗って返事してんだから!」
「えっ!?」
「こっちはなんとしてもあんたに接触したかったんだから!それなのに、あんたはなかなか現れないし、やっと出てきたと思ったら、ちょいちょい居なくなるし!こっちはあんたを問い詰める千載一遇のチャンスなの!ここで逃がすわけにはいかないってのよ!」
「やっぱりちょっと待って!僕らの話しには齟齬があるみたいだ。まったく互いの言ってることを信用に値する材料や証拠なんてものはないけど。君の声音なんて分からないけど、悪戯にしては訴えが必死すぎる気がするんだ。だから、興奮せずに落ち着いて現在の互いの境遇を話しあってみないか?」
「あんた、本気で言ってんの?」
「ああ」
「…………。分かった。じゃあ教えてあげるわ。あんたがわたし達にしてきた極悪非道な仕打ちのすべてを……」
「極悪非道ときたか~。でも、うん…………、聞くよ」
「その前に、わたしの方はちょっと長くなるわ。あんたの話し、短く纏められんならそっちから話して」
「そっか、短く出来るかは分からないけど……、じゃあ僕の方から聞いてもらうよ。ネット上の小説投稿サイトに梨々香が登場する物語を書き始めたんだ。すると第三話あたりから登場人物である梨々香が勝手に話し出すようになってね。まあ、話し出すと言ってもね僕から見たら字面が勝手にタイピングされていくという怪奇現象だよ。だからこれは、僕のアカウントを乗っ取って嫌がらせをしているんだと考えた。学園物のラブコメを書くつもりでいたのだけど、結果はこの有り様だよ。執筆続行不能。でもまあ、開設から二年足らずのわりとまだ新しい投稿サイトだったからね、この作品でサイトの使用感などを探りつつ書いていくつもりだったから、不具合とかあったら撤退することも視野にはいれてた。アカウント乗っ取りが起こったと思ったときは本当に焦ったよ。PCのカメラやクレジット関係も不正に利用されるんじゃないかって。でも実際はそんなことはなくて、小説だけが荒らされたということかな。これは飽くまで僕から目線での話しだから、気を悪くしないでほしいかな。大筋的にはこんな感じだね……。それじゃあ、君の方の話しをお願い」
「…………分かったわ。あんたの話しの内容を、はいそうですか、て聞けるほどわたしは愚かではない。だからと言ってまるっきり嘘を言ってるとも思えない。あんたのしてきた事を思えば信用なんてできっこないのよ!だから話すわ……、あんたがわたし達にしてきた非道を」
「ちょ、ちょっとだけ、一瞬だけ待ってくれないか?心の準備をしたい」
「そう」
○○○執筆中断
ふうぅぅ
短く話しを纏めるって、案外難しいことですよね。あらかじめ考えていたことを時間を掛けて纏めあげるのならともかく、その場で瞬時にアドリブのように言葉を紡ぐ難しさをこんなおかしな場面で痛感させられるとは夢にも思いませんでしたよ。
僕は、全てを語れたのだろうか?そんな筈ないですよね。概ね話せたつもりですが、きっと彼女?の話しを聞いているうちに『語り漏れ』に気付くのでしょう。
このあとも、こちらに発言件がないわけではありませんし、彼女?が語る話しに対してのリアクションとして僕が語り忘れたことを追記していけばいいわけですし。
さあ、あまり彼女?を待たせるのもよくないですし、今度はあちらの言い分を聞いてみるとしようかな。
それでは皆さんも、覚悟はよろしいですね?
それにしても、今日は永遠のように長い一日だなぁ…………。
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