第9話 偽名
当然である常識を梨々香(?)から指摘されて思い出す……。
それで再び困っています。 迷っていますが正しいのでしょうか。悩んでいますなのか?
話しの流れ的に、名乗らなければならない状況なのですが、『乗っ取り犯』に対して素直に名乗るなんてのは愚行以外のなにものでもないですよね。
そこは理解しているのですが、『乗っ取り犯』の方が何と名乗るのかが気になって仕方がありません。
相手の名を聞き出すためには、先にこちらが名乗らなくてはならない訳で…………。
あろうことか、僕はそれを『乗っ取り犯』に指摘され納得してしまう始末。
そこで迷いが生じた訳ですが、『乗っ取り犯』といえば『犯罪者』、その『犯罪者』に対して僕はどう名乗ったものか悩ましく、迷っているのです。
僕のペンネームは『ユキカキ』なのですが、それを名乗ってもあからさまに偽名だとばれてしまうでしょう。『ユキカキ』なんて本名、まず聞きませんからね。
もし、『ユキカキ』さんがいらっしゃったら、全ユキカキさんに全力でお詫び申し上げます。
済みませんでした。
なぜ僕のペンネームが『ユキカキ』なのかはまた別の話しとして、名前問題にもどります。偽名を名乗るにしても如何にもいそうな名前を選ばなければならないでしょう。
僕の本名が『一条 冬馬』なんだ!とか…………、いやいや、それだとペンネームの意味が皆無だからね!本名を名乗ったらペンネーム要らないですからね。
じゃあ、『日暮 鳴』て言っちゃう?
それでも良い気がしますが、流石にそれは僕の良心が一ミリ程痛むような気がしないでもないですよ。
おふざけではなく、少し本気で考えていた案ではありますが。
それはそうとして、今の世の中は何に対しても疑う世の中じゃないですか。騙そうとする輩がごまんといるのですから。なんの疑いも持たない方が無防備にも程があるというものです。パンツ一丁で戦場の最前線にいるようなものです。
そこを踏まえて考えているのですが、他人のアカウントを乗っ取ったあげく、会話形式で執筆している中を被せて文章を捩じ込んでくるような猛者が、僕の本名なんかはとっくに認識しているのではないか?と思うのですよ。
もしそうだとして偽名を使った場合、ヤツはそれを理解した上でニヤつきながら会話に乗ってきたりするのだろうか?
何にしてもヤツが僕の本名を知っている可能性はかなり高いのではないだろうか……?
ならば僕のとる行動は一択! という訳でもないですが、一択に絞ろうと思います。
皆さんなら、どんな選択をするのか、その良案をぜひお聞かせ願いたいです。
まあ、皆さんから良案をアドバイスされたとしても僕は、本名を名乗ることに決めましたよ。決めていましたよ。済みませんね。
そして、相手の名前を聞き出す。それこそヤツが本名を名乗る保証など一切ないのですが、僕にとって事が少しでも良い方向へ動いてくれる足掛かりになってくれれば、という賭けのような、願いのような一縷の望み的なアレですよ。
では、ヤツのご要望通り名乗ってあげようじゃありませんか!
○○○執筆再開
「えっと、誠に申し訳御座いませんでた。名乗りもせず失礼を働き、重ね重ね御詫びを申し上げます。済みませんでした! わたくし、『桜 吹雪』と申します。それで、失礼ですが貴女のお名前をうかがってもよろしいですか?」
「…………。」
「あれっ? また不発? すみませ~ん、いらっしゃいますかぁ~?」
「…………。」
「すみませ~ん、いないんですかぁ? すみませ~ん、すみませ~ん! 名乗りましたよぉ。僕は桜 吹雪ですよぉ! ねえ、約束通り名乗ったんだから出てきて下さぁ~い」
「…………。」
「おい! 出てこい! 梨々香!」
「うっさいボケェーー!聞こえてるっつーねん!誰が梨々香だ!クソが!」
「聞こえてるならさっさと出てきてくれればいいでしょ!」
「わたしは、ちゃんと『本名を』名乗れって言ったのよ!それをぬけぬけと……。だし、わたしは梨々香じゃないって言ってるでしょ!」
「だから僕はちゃんと名乗っただろ! それなのに無視してなかなか出てこないなんて、性格悪くないか?梨々香って呼んだらでてくるかもと思って呼んだらやっとだよ!」
「ふざけんな!偽名なんて使う奴の呼び掛けに応える訳ないでしょ!最初から信用なんてしてないけど、ますます信用できない!この嘘つきヤロー!」
「なっ!?嘘なんかついてない!」
「嘘つきは大抵そう言うのよ!『桜 吹雪』なんてペンネームみたいな名前が本名なわけないでしょうがーーーーっ!」
「ええええぇぇぇぇぇぇっっっっ!!」
○○○執筆中断
えっと、皆さん、少し休ませてもらっても?
ちょっと今…………、人生最大クラスのダメージを食らいましたので(泣)
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