#11 体力測定

 少し前に発表されていた、2の4へ行く。クラスの中には、半分ほど人がいた。


「おーっす。おはー。」

「おはよう。どう?久しぶりな学校は。」

「いや。きつい。帰っていい?」

「早いなぁ。体力つけたら?」


 来て早々話したこいつは、矢咫蔵やたぐら 沙奈さな。高一の時の隣の席で、仲良くなった、数少ない女子である。


「おはー。お、珍しい。あおいじゃん。」

「おはよう。今日の予定なんだかわかる?」


 こいつは海藤かいとう 宮斗ぐうと。俺と連絡先を繋げている数少ない人だ。


「体力測定だよ?」

「体力測定だが?」


 沙奈さな宮斗ぐうとが同時に喋る。やっぱ仲いいなこの二人。



 バスに乗り、陸上競技場みたいなところにきた。毎年、ここで体力測定をしているらしい。


 先生の話を聞き終え、競技をする前に準備運動をする。久しぶりの運動

 ……だと思っていたが、昨日、記憶がないうちに運動しているし、体が若干痛いので念入りに運動する。


 50m走をする前に、陸上競技部の走り方を真似してみる。模倣の能力を使えば、走り方を真似して、速く走れると思っていたが…


「はぁ…はぁ…」


 めっちゃ疲れる。やはり、体力の差というのは、方法ではカバーできないらしい。


「めっちゃ疲れてるね。それじゃ、本番全然走れないんじゃない?」

「大丈夫だと思う。今から休むから…。」


 息を切らしながら、ゆっくり休む。久しぶりすぎて、呼吸の仕方まで忘れている気がする。



 50m走の記録は7“9。素人なりには意外にもいい記録かなと思う。次は長距離だが…すでに苦しいため、座って休む。

 前半に走る人たちは、念入りに、準備をしている。僕は後半のため、こうやって、日陰で休んでてもなにも言われない。


 前半に走る、陸上部の宮斗ぐうとは長距離走を専門にしているので彼の走り方を、模倣してみる。すると、ができるようになった。息切れもしなくなった。

 いろいろ疑問に思いながら、彼の走りをみる。なんとも軽い顔で1500mを走っている。

他の人たちは化け物だとか、人間卒業してるとか言っている。


 そんなわけあるか。


 前半が走り終わり、後半の番。僕は宮斗ぐうとの能力を模倣して、楽に1500mを走る。が、意外と使うのが難しく、半分くらいで、足の筋肉の限界がきてしまった。


 タイムは8‘57。頑張った方だと思っている。あとはハンドボール投げや、立ち幅跳びなどは、僕の体の筋肉が少なすぎて、記録は晒せないほど酷かった。


「よ〜。どうだったよ、体力測定。引きこもりのお前にはキツかったか?」


 帰りのバスでめっちゃ煽ってくる宮斗ぐうと


「あったりまえだよなぁ。どうだ?お前も引きこもりになってみて、この辛さを体験してみないか?」

「いや〜。やめとくよ。辛いのを体験したくない。」

「そうか...。お前ならわかってくれると思っていたんだけどなぁ...。」


 そう言って、窓を向き、寝たふりをする。


『なぁ、リンセ。』

『…言いたいことはわかります。』

『じゃ、やっぱりあいつは…』

『はい。十中八九能力者でしょう。』

『じゃ、話した方がいいのかな…?』

『自分のことですか?』

『うん。仲間がいる方が心強いでしょ?』

『いや。言わない方がいいです。』

『なんで?』


『いつ裏切るかわかったもんじゃないから。』

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