第3章「中間試験の天使ちゃん!」

第7話 「天使ちゃんは微分に苦しむ!!」

 翌日、中間試験まで残り八日となった日曜日。

 霧雨さんはまたもや、俺の家で勉学に取り組んでいた。


「——で、なんで清隆君もいるのさ」


「え、僕?」


「そうだ」


 円卓を囲む俺たち、左側に彼が座っていた。

 目の前には英語の教科書と参考書、そして単語帳を広げ、今回の試験範囲である第6章まで終わらせたところでペンを止めている。


「え、う~~ん。なんとなく?」


「なんとなくって、なんだよ」


「なんとなくはなんとなくだよ? これもそれもすべてなんとなく~~」


「英語もか?」


「うん……僕的には、今回の試験で一番懸念しているのは物理学だからね」


「——物理とか、なまらめんどそう」


「要所を抑えれば解けるよ。俺も去年までは苦手だったし」


「へぇ……さっすが、札幌の貴公子だね」


「貴公子か……陰キャラの間違えじゃないか?」


「——」


 ペン回しを続けていた右手を止めて、彼は瞠目どうもくする。その向かい側に座っている霧雨さんも口をポカンと開けっぱなしにしている。


「な、なんだよ……?」


 何か、重大なことでも言ってしまったのかと俺は座りながらも退いた。右手が地べたをうまく捉えられなくて、ガクッと態勢が崩れる。


「わ、わたしから、見たら――昇二って、すっごい……都会っ子って感じだけど……」


「僕も、同感だね——」


 二人の目はきっちりと俺を捉えている。

 どうやら、嘘を言っているわけではない。


 ——こんなふうに俺を褒めて、陥れる奴もいた。そんな思い出が少しだけ過ぎったが二人はそんなことをする人間じゃない。


「ど、同感って——俺、陰キャラだぜ?」


 そんな二人を見て、俺も本気で言ってやった。

 根っからの陽キャラそうな二人を見据え、ゴクリと生唾を飲む。


「「それは——」」


「買い被り過ぎよ」

「買い被り過ぎだ」


「え」


「私なんて――ミスコンとかあーだこーだ言われるけど、あんなの出たくて出たわけじゃないし、そんなのでちやほやされるのなんて嫌。大体、あいつらなんて私のコネしか興味ないし」


「——ははっ、そんな話聞いたら僕が言いずらいじゃん」


「そうかな、重みなんてないと思うけどね、私は~~」


「そうかい?」


「うん……」


「そっかぁ、でもね——僕も大して人とかかわるのが得意じゃないんだ。中学校の頃はヤンチャしててね、喧嘩を続けてここまで強くなったんだけど、ふと思ったんだよね」


「?」


 俺は単純に疑問を浮かべた。


「——僕を慕ってくれるのは本当の意味なのかなってね」


「……強さでってことね、私も似たような感じね」


「そ、そうか……」


 感慨にふけっているが、時計はすでに正午を越えていた。


「まぁ、そんなことより勉強するぞ」


「え」


「はぁ……」


 目を見開く霧雨さんと額に手を添えてため息を漏らす清隆君。

 でも、ここまで来たらやるしかない。


「ほら、霧雨さん――微分のページ開いて」


「げーーー‼‼ やりたくなぁい‼‼」


 叫び出す彼女。

 その手を引く俺。

 そして、ペン回しを始めだす清隆君。


 まったく、俺の家はいつからカオスな屋敷になったんだよ。



「ねねっ……この、記号って何て読むの?」


「え、あ、あぁそれか、それはな『πパイ』って読むんだぞ」


「ぱ、い……?」


 制止する彼女。

 しかし、止まったがすぐに頬を赤くする。


「ああ、πだけど……?」


「っ……、これってまさか……円がおっ〇いみたいな形しているからって——っひゃ!?」


 自ら考察し、自ら叫び、自らそのπを両腕で手繰り寄せる霧雨麗奈。


「え?」


「へ?」


「——はぁ」


「だって、だってそうじゃん‼‼ これってそういうことだよね‼‼ 3.14ってそういうことなんだよね‼‼」


「いいから――勉強、しやがれっ」


「っ——て!」


 俺は、皮肉を込めて彼女の脳天に微分積分の参考書を叩き込んだ。






<あとがき>

 皆さん、こんばんは。

 歩直と申します。


 そろそろ☆50超えそうですね、目標まであと半分。

 ですが——フォロワーはあと870人ですね笑


 もう少し、もう少しで修学旅行編に突入しそう!? 新キャラの登場も乞うご期待!

 良かったら、フォロー、応援、星評価、コメントレビューお願いします‼‼

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る