第18話

秀一はあの後自首をしたが、情状酌量により、執行猶予つきの判決がおりて、妹を守ることができた。

大地とキコには、あの日の通り魔が秀一だったことについては隠すことにした。

沙耶が言葉を取り戻したことに、みんな歓喜した。

裁判が終わった後、みんなで集まった。

「ほんとに良かった。やっと喋れるようになったんだ」キコは言った。

「声が出た時、わたしもびっくりした。すごく嬉しい」

沙耶は、春輝の肩に頭をのせた。

「良かったよほんとに。これからも仲良くしろよ、お前ら」

「秀一、なに泣いてるの?よくわかんないけど、やなことは忘れようよ」

キコには秀一が泣いている理由はわからないようだった。

「とにかく、これからもよろしく」

春輝は誰にともなく言い、これからも友達だと、五人全員それぞれが、心の中で呟いた。


  

         終


   

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ナイフによる傷〜変えたかった過去 有川 玲哉 @reishi

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