INTIKAM spiral sisters

雨音亨

プロローグ

遠くに見える街のネオンの輝きとは裏腹に、足元に広がる漆黒をビルの屋上に座ったまま静かに見つめる瞳があった。

立てた片膝に埋めた顔を月明かりに照らされた艶やかな黒髪が撫でる。

強い風を受けながら、彼女はまだ遠い足音に耳を澄ましていた。

『標的、もうすぐチェックポイントを通過。追手3』

「了解」

イヤホンから聞こえる声に短く返事をして立ち上がる。

風に煽られたセミロングの髪が上空へと舞い上り、朱色の瞳と整った顔立ちが月明かりに浮かぶ。

「全方位監視スタート」

『全方位カメラ良好、サポート開始。今夜も無事に帰って来てね』

「了解。アルテミス、起動」

『承認確認。アルテミス起動!』

首のチョーカーがぼんやりと蒼い光を放ち、朱色の瞳を照らしていた。








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