第2話 アップデート

「あれ? このゴットカードゲーム。ステータスはあるのに、職業補正と、装備補正がない。」

 致命的な欠点に気がついた純粋なポーちゃん。

「それは古いデータだよ。」

「あ、お兄ちゃん。」

 自宅に帰ったポーちゃんの前にお兄ちゃんのポン太が現れる。

「アプリストアから更新できるから、最新のデータをアップデートすればいいよ。」

「ありがとう。お兄ちゃん。」

 ポーちゃんは素直にゴットカードをアップデートを開始する。

「お兄ちゃんもゴットカードをやっているの?」

「当たり前だ。おかげで宿題をやらなくてもいい日があるんだぜ。」

 さすがポーちゃんの兄である。兄弟で夢は宿題をしなくても良いことだった。

「スゴイ! お兄ちゃん!」

 そんな兄を羨望の眼差しで見つめる妹のポーちゃん。

「ポー。アップデートが完了したぞ。ステータスを見てみろ。」

 ポーちゃんは歩兵さんのステータスを見た。

「おお! 歩兵さんが強くなってる!」


ポーちゃん。

1戦0勝。

総合ポイントは8。

お金0。


歩兵さん。

HP1

MP1

攻撃力2

防御力1

素早さ1

魔法力1

運1


職業

歩兵、ステータス補正無し。


装備

武器、銅の剣。攻撃力1

体、銅の鎧。防御力1

腕、銅の盾。防御力1

頭、銅の兜。防御力1


アイテム

なし。


「歩兵さんは職業の補正がないのか・・・・・・残念。」

「でも装備が補正されて攻撃力が1、防御力が3上がって良かったじゃないか。」

「それはそうだけど。」

 いまいち納得のいかないポーちゃん。

「それならリセマラして、職業補正がある騎士が出るまで頑張ったらどうだ? 疲れるだけだけど。」

「疲れるのは嫌だな。それに歩兵さんに愛着もあるしね。」

 ポーちゃんは歩兵さんを気に入っていた。


「じゃあ、早速ストーリーモードをやってみよう。」

「うん。」

 ポーちゃんはストーリーモードを始める。

「竜の探求。」

 異世界ファンタジーだった。舞台設定は魔王ドラゴンキングが復活して、ライト・ボールとお姫様をさらってしまった。ポーちゃんはそれを助ける主人公になる。


「おお! よく来た! 伝説の勇者ポーちゃんよ!」

 ラダトム王様の前から物語が始まる。

「私、勇者なんだ! やったー! わ~い!」

 大喜びのポーちゃん。

「早速だが、魔王ドラゴン・キングを倒し、姫を救い出してくれ!」

「がんばるポー!」

 こうしてポーちゃんの冒険は始まる。ラダトムの城から隣にあるラダトムの町に移動する。


「スラスラ!」

 スライムが現れた。

「おお! これがモンスターね! 記念すべき第一戦目! 勝たせていただきます!」

 ポーちゃんはスライムと戦うことにする。


スライム。

総合ポイントは10。

全ステータスは1。

お金10円。


「ちょっと待った! スライムの総合ポイントは7でしょ? なんで10に強化されているのよ?」

 ゴットカード1では、そうだった。計算が面倒臭いので数値を揃えることになった。またお金も1円では貯まらないので10倍の設定になったのだ。

「なら総合ポイントなんてやめて、レベル妙気に変えましょうよ。スライムならレベル1で全ステータスは1。」

 そうでなければゲームを始めた人間がスライムにすら勝てないのだ。

「本当にポンコツね!」

 ゴットカードは緊急メンテナンスに入る。


スライム。

レベル1。

全ステータス1。

お金10円。


「そうよ! それでいいのよ! アハッ!」

 ポーちゃんもご満悦。

「いくよ! 歩兵さん!」

「おお!」

 いよいよスライムとポーちゃんの戦いが始まる。

「スラスラ!」

 スライムの攻撃。

「痛くもかゆくもないわ。」

 歩兵さんの防御力は1と装備の3を足して4もある。スライムの攻撃力は1なので、ほぼダメージを受けない。

「必殺! 歩兵斬り!」

 ただの攻撃である。ポーちゃんは子供なので何でも必殺技にして、カッコイイ名前をつけたがる。

「ギャアアアアアアー!」

 スライムを倒した。

「正義は勝つ!」

 ポーちゃんはスライムに勝利した。

「やったー! 勝った! わ~い!」

 大喜びのポーちゃん。

「ありがとう。アハッ!」

 子供ながらに無邪気に笑うポーちゃん。


「HPが1からスタートするなんてあり得ねえ。」

 ということで勝利で獲得したステータスポイント2をHPに振った。


ポーちゃん。

2戦1勝。

総合ポイント10。

お金10円。


歩兵さん。

HP3

MP1

攻撃力2

防御力1

素早さ1

魔法力1

運1


職業

歩兵、ステータス補正無し。


装備

武器、銅の剣。攻撃力1

体、銅の鎧。防御力1

腕、銅の盾。防御力1

頭、銅の兜。防御力1


アイテム

なし。


「まだまだ弱いわね。ここはオート戦闘でスライムと炎の10連戦いっとこう。」

 相手がスライムなら自動戦闘でも負けることはない。オート戦闘は便利な機能である。

「えい! えい! でや! でや!」

 ポーちゃんはスライムに10連勝した。


ポーちゃん。

12戦11勝。

総合ポイント30。

お金110円。


歩兵さん。

HP10

MP1

攻撃力10

防御力1

素早さ6

魔法力1

運1


職業

歩兵、ステータス補正無し。


装備

武器、銅の剣。攻撃力1

体、銅の鎧。防御力1

腕、銅の盾。防御力1

頭、銅の兜。防御力1


アイテム

なし。


「まだまだ弱いわね。それでも前回のスライムを1匹倒してもお金1円しか儲からないのに対して、今回の2では10円。こっちの方が遊んでいても気持ちがいいわね。アハッ!」

 ご満悦なポーちゃん。

「もうスライムは可愛そうだから、今度は赤スライムと戦ってみよう。」

 ラダトムの町の周辺で赤スライムを倒すことにした。

「赤スラスラ!」

 赤スライムが現れた。

「いくよ! 歩兵さん!」

「おお!」

 赤スライムと戦闘が始まる。


赤スライム。

レベル3。

全ステータス3。

お金30円。


「バランス調整って難しいな。」

 全ステータスが2だと弱すぎたので、一つ飛ばして3にしてみた。

「でも全部4にすると強かったら困るしな。」

 とりあえず赤スライムと戦ってみよう。

「いくよ! 歩兵さん!」

「おお!」

 気合十分のポーちゃんと歩兵さん。


「一撃で倒す!」

 歩兵さんの攻撃力は10。赤スライムの防御力は3。引くと7のダメージ。

「ギャアアアアアアー!」

 赤スライムを倒した。

「正義は勝つ!」

 ポーちゃんはスライムに勝利した。

「やったー! 勝った! わ~い!」

 大喜びのポーちゃん。

「ありがとう。アハッ!」

 子供ながらに無邪気に笑うポーちゃん。


「ダメだ。もう赤スライムでは私の歩兵さんの敵ではない。」

 ポーちゃんは強くなり過ぎた。


ポーちゃん。

13戦12勝。

総合ポイント32。

お金140円。


歩兵さん。

HP10

MP1

攻撃力10

防御力1

素早さ8

魔法力1

運1


職業

歩兵、ステータス補正無し。


装備

武器、銅の剣。攻撃力1

体、銅の鎧。防御力1

腕、銅の盾。防御力1

頭、銅の兜。防御力1


アイテム

なし。


「安全を期して、赤スライムとも10連戦しておくか。」

 一度倒したモンスターはオート戦闘ができることにしておこう。

「いくよ! 歩兵さん!」

「おお!」

 ポーちゃん毀滅の10連戦が始まる。

「ギャアアアアアアー!」

 赤スライムを倒した。

「正義は勝つ!」

 ポーちゃんはスライムに勝利した。

「やったー! 勝った! わ~い!」

 大喜びのポーちゃん。

「ありがとう。アハッ!」

 子供ながらに無邪気に笑うポーちゃん。


ポーちゃん。

23戦22勝。

総合ポイント52。

お金440円。


歩兵さん。

HP10

MP10

攻撃力10

防御力10

素早さ10

魔法力1

運1


職業

歩兵、ステータス補正無し。


装備

武器、銅の剣。攻撃力1

体、銅の鎧。防御力1

腕、銅の盾。防御力1

頭、銅の兜。防御力1


アイテム

なし。


「疲れた。これだけ倒せば十分だろう。町に行って休憩しよう。」

 ポーちゃんはラダトムの町に行く。

 つづく。

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