庭球観戦のお誘い


 結局余ったモノですが、慶子様に差し上げますと、もの凄く遠慮しましたが、そこは、女性の最大の悩みの一つを解消するショーツ。

 強く押しつけますと、受け取ってもらえたのです。

 勿論、はねつきナプキンも付けています。


「皇后様に、残りのモノを差し上げても構いませんか?」

「慶子お姉様に差し上げたのですから、いかようにもお心のままに」


 慶子様、スレンダーで、かなりモデル体型と見受けられます。

 お尻のサイズはどれくらいなのでしょうね……


 なんて考えていたら、解析が起動、

 身長は164センチ程度、体重49キロ、バスト88センチ、ウェスト63センチ、ヒップは89センチ?

 すこしお尻が大きいのですね……


「嫌ね、そんなにお尻を見ないでよ!すこし大きいから気にしているのよ!」

「そうなのですか、Mサイズかなって……私なんか胸も薄いし、お尻も……女として魅力が薄くって……」


 慶子様、もの凄く笑ったのですよ!少しばかり失礼です!


「雪乃さん、まだ十三歳でしょう?大人になったら傾国の美女になるのは間違いなし、その年で女の魅力なんて気にすることはないのよ」

「とにかく現実を認識してね、雪乃さん、街に出れば、男も女も誰もが振り返るのが貴女なのよ」


「貴女、宮中の女官たちに、何といわれているか知っているの?女神様よ」


 ?


「女神?私が?」


「それほど神々しいということよ、『親王殿下に好意が向いているけど、女神様には釣り合わない』、とまでいわれているわよ」

「そんな……」

「だから、親王殿下は顔合わせしてから、貴女に釣り合うように、勉学に励まれているとか、皇后様からお聞きしたわ」


 やはり女の噂はおそろしいですね……宮殿のプライベートの事まで、噂で広がるのですか……

 でも、そんな話しをお聞きすると、親王殿下が愛しく思えて……


「私の為に……親王殿下ったら……今度、いつお会い出来るのかしら……はしたないけど、お茶にお招きしたい……でも、許嫁の予定だから、いいですよね♪」

 いいながら、恥ずかしくなってきました……自分でも首から上が、真っ赤になっているのが分かります。


「あら、聖女様も恋する乙女なのね、今度皇后様に、これをお持ちするとき、貴女の気持ちを申し上げておくわね、きっと皇后様も皇太后様もお喜びよ」


 なぜか、穴があったら恥ずかしい……私から、殿方をお茶に誘うなんて……


「いえ、その……聞かなかったということで……」

「はいはい、こんな話しは殿方からするモノですからね、この私に任せなさい、可愛い妹の切ない乙女心、大人の女に任せなさい!」


 で、翌週の月曜日、私たちの授業が終わり、取りあえず帰宅して暫くすると、皇后様がやってこられたのです。

 

「頂いた贈り物、お礼を言いに来たのよ、丁度ね、昨日、皇帝陛下の側室があの日でね、差し上げたらいたく感謝されたのよ、漏れも臭いも気にならないって」

「彼女、量が多くてね、困っていたらしいのよ」

「もうすぐ私も始まるわ、喜んで使わせていただくわ♪」


「喜んで下さり何よりです」


「今度ね、華族院中等学校と帝都高等師範学校附属中学との、庭球部の対抗定期競技大会が行われるのよ」

「息子もね、なんでも庭球部とかで、参加すると云っていたわ、観戦できるのよ」

「でも私は見に行けなくて、貴女たち二人で応援にいってくれない?これ観戦券、今年は次の日曜に行われるわ」


「私でいいのですか?」

「もちろんよ、『王女』ですもの、だれも文句はいわないわ、当日、迎えの馬車をよこすわ」


「分かりました、もうすぐ三時ですから、お茶でもいかがですか?」

「いただくわ、貴女の出したフォンダン・オ・ショコラ、美味しかったですものね♪」

 これをメイドさんの前でおっしゃいましたが、四人のメイドさん、私がただの女ではないことは承知されておられます。


「メイドたち、知りえたことをしゃべりはしないわ、ここのメイドは永年奉公ですから」


 だそうです。


 永年奉公?聞き慣れた言葉が出てきましたが……嫌な予感がしますし……触れないでおきましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る