神のお力はお菓子作りから
お引っ越しです
新聞報道によると次のようなものでした。
宮廷は、朝比奈伯爵家令嬢雪乃様が、皇帝陛下のご養女になられ、あわせて『王女』となられたことを発表した。
雪乃様は当年十三歳、才色兼備の才媛で、帝国第一高等女学校奨学生試験に見事に合格、現在一年にご在学中。
以後、雪乃様は朝比奈伯爵家の籍を抜け、帝室籍に移られ、岩倉姫宮雪乃様と名乗られる。
なお母となられる皇后陛下のご意向で、岩倉姫宮雪乃王女殿下の動向は発表を控えられる。
この後、『王女』の説明が長々と続いていました。
私がどちらの皇子様に嫁ぐのか、さすがに面と向かって聞かれることはありませんが、ただひそひそ話はね、女の噂話は防ぎようがありませんのでね……
私の中では夫は親王殿下……
殿下も十五歳の男性……一番性欲が強いお年頃……女は三十歳あたりですからね……私たちがそのあたりになれば、殿下は腎虚になるのかしらね……
その時は漢方です!でも二人でそれなりの事をしていれば、親王殿下との夜もそれなりとなるのではありませんかね……
いやだ、私……十三歳になったばかりなのに、いやらしい妄想が……
でも、洋子様と……『レズ』なんて……いいのでは♪
二人でイチャイチャ、たまに親王様と3P……
私たちも親王様も、それ以外の異性、つまり浮気をしなければ、構わない……
あぁぁ、妄想が止まらない……
洋子様の共同生活を妄想しながらも、翌日からバタバタと荷物を片付け、慌てて撫子寮を退寮、二人で新居に引っ越ししたのです。
それにしても短い寮生活でした。
新居は平屋の瀟洒な建物で、居室が五つばかり、談話室とお台所と食堂……
それとは別に小さな、メイド用の建物が二棟、守衛室が一棟、殿方の控え用の建物が一棟……
かなり敷地は広いのですが、この敷地、どうも宮殿の空き地が提供されたようなのです。
両隣は宮殿と女学校の校地……この新居、元々皇帝陛下のお姉様が、里帰りの時にお使いだった建物のようです。
メイドさんは専属ですが、男性の使用人は、宮殿にお仕えする方が、交代でやってくるそうです。
送迎は馬車でといわれましたが、隣なのですよ……
大体歩いて10分以内ですから、この距離の場合、徒歩で通学と女学校の規則で決まっているのです。
ご迷惑でしょうからと、拒否しておきました。
そうそう、私の保証人、つまり私の保護者となる方は朝比奈久光から皇帝陛下に変わっています。
あわせて洋子様の保証人は皇后陛下のお名前に変わっているそうです。
学校の連絡は全て宮廷の事務方に送られると聞きました。
忙しい毎日が落ち着いてきたのが四月の末でした。
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