その先には何がある?

遊びに行くなら山がいい

第1話 ???

長いようで短かった春休みも終わり、今日から高校での新しい生活が始まる。僕が通う高校は言うほど名門てはない。入学試験は一応難なく合格した。まあそんなことはどうでもいい。学校まではそこそこに距離があるから自転車で通学することなっている。入学祝いに父さんに買って貰ったロードバイクで通学路を駆け抜ける気分はもう最高と呼べるものだった。途中の林道は人や車が少ないのでスピード上げた。


気がつけば春になった。だんだん仕事にもなれてきたし大型車両の運転も免許取り立てとは思えないほどと評価されるまでに上達した。この慢心が仇になったらしい。僕は人をはねた。

「もしもし、人を轢いてしまいました。」

動揺してるんだろうか息が苦しい。うまく声が出ない。声を振り絞って現在位置を伝え警察が来るのを待った。動かなくなった人に僕は謝った。体と意識がそのまま崩れるようにバタリと倒れた。


「うん?あれここは?」

目が覚めると雲の上だった。私はハッとして辺りを見回し現状の確認を行った。どうやら夢を見ているらしい。


「いやだって雲の上だし、ワイン嗜むおじいちゃんってずいぶん変な夢だなぁ…。」


「自覚ないっぽいから教えるけど君、死んじゃったね。」


「は?」

死んだ?今死んだって言われたの私!?


「はいこれ。」

そこには血まみれで横たわる私の姿が写し出されていた。状況が理解できなかったので改めておじいちゃんに話を聞いた。


「かくかく、しかじかなわけで転生させてあげるから許してね」


「うん!許す!神様ありがとう」


「ってなるかぁーーーーーーーーーー!」

特殊能力を持たせるとか要求するものを与えるとかいろいろ言い訳つけられたが私は納得が出来なかった。私は楽しいJK生活が送りたかっただけなのに…。


「学園生活なら他の世界線の魔術学校とかじゃだめなのかい?」


「ん!?」

今そそる単語が聞こえた。魔術学校?魔法使いになれるのか?それはそれは実に興味深い。私も幼い頃は「お邪○女どれみ」に憧れていた時期もあった。その後おじいちゃんと長いこと口論をして私が納得のいく世界に転生することになった。


「最後に質問!私が死んだのって誰のせいなの?」

うっすらとある記憶によるとおそらく私が一時停止の白線で加速してたんだけど…。人が決めた法律ではおそらくドライバーさんは犯罪者になってしまうけど、神様という人知越えた視点からだとどのような見解なのか気になった。


「ワシはどちらかが悪と決めるつもりはないぞ?だからドライバーにも特別な延m…」


「いいね!それ私が生前知ってる神様とは全然違う意見だなぁ。じゃ!行ってくるね!」



全身が痛い。痛い?どう言うことだ!?僕はどうなった…。病院?なんで僕が怪我をしているんだ?


「あーあーこちら天の声でーす。聞こえますかー?」


「ひゃぁあ!」

と思わず驚いて声をあげてしまった。なんだか声もへんだな。


「その反応は聞こえてるっぽいっすねぇー。よかったー。まず端的にあなたの状況を説明します。あなたは今、あなたがトラックで轢いた女の子の体の中に精神が入っている状態です。あなたはあのままでは人を轢き殺した罪を負って生きていくことになります。まぁ今でもそうなっていそうですが、こちら自転車の少女から神様経由での言伝てです。」


「えぇっ!?あれからドライバーさんもショック死で死んじゃったの!?私が自転車で一時停止してたら二人とも死ななかったってことかぁー。なんか複雑ぅー。……」


「以上です。彼女曰くあなたはと私は二人揃って自殺したと考えて欲しいとのことです。そして神様の意向によりあなたは彼女として生きてもらうことになりました。理由を説明します。魂にはいくつか特性があり、一度体を離れると元の体反発し合う性質を持ちます。これは死んだ人の体に魂が戻らないようにするためのものです。基本的に魂は体を離れると神の一部となります。しかしあなたや彼女の場合は神様自信が融合を拒絶し彼女は転生、あなたは彼女の体に魂を移植し、現在のその体の全権限はあなたにあります。」


そんなことはどうでもいい。いっそ僕も転生させて欲しかった。

「なぜ僕は彼女になったんだ?」


「しばしお待ちを」

「返答許可が降りました。お答えします。あなたは独り身で両親も早くに失くし友人とも現在ほぼ絶縁状態ですが、彼女にはまだ家族がいます。彼女の死は他の死を招く可能性があると判断され代役としてあなたが彼女になることになった。とのことです。」


それを聞いてこれが僕の贖罪だと思った。

「わかった。だがどうすればいいのか全くわからないのだが?」


「それはこちらからある程度サポートさせていただきます。」

「ねー、早く変わってよ!!!僕ももっとお話したい!」

「あなたには真面目に説明なんてできないから私が代わりにやってるんでしょ?おとなしくしてなさい!」


「あのー…。」

「あ、ごめんね。びっくりしたよね?でも私たちがしっかりサポートして完璧な女の子にしてあげるからね!今後もよろしくじゃね!」


JKみたいなノリと事務的なしゃべり方の二つの声が頭に響くこの感じは中々慣れなさそうだった。


あのあと彼女の両親と主治医と現在の体の状態を教えて貰った。どうやら脳震盪で倒れたことになっていて僕のトラックは無人運転の誤作動による事故となり僕の体は神様によって処理されたらしい。

どうももやもやとした気持ちのまま私のJK生活がおわった。

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その先には何がある? 遊びに行くなら山がいい @mk-015

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