第31話 ホープ村

 宿屋の主人に聞いた情報から、ひとまず小さな村を目指すことになったカイル達。


 歩いていると、遠くの方に大きな建物が見えてきた。

 これはおそらく王国であると思われる。

 目指すべき小さな村が、その近くにあることが分かる。


 小さな村が見えた。

 中に入ると、村の人が話しかけてきた。 


「ホープ村にようこそ。村の方ではないですよね?」


「はい、そうですが。ここはどういった村なのですか?」


「見ての通り、何もない所です。旅の方も訪れることはほとんどありません……」


 村の人は、ホープ村の状況をカイル達に話す。


「私は、この村の様子について知りたいと思っています。カイルとタイロンはどう思いますか?」


「何にもない場所なら、不自由なこともあるかもしれない……」


「この状況は、近くにある王国の影響も少なからず受けているのかもしれないね。この村のことを知っておくという意味でも、もう少しうろついてみようか!」


 ミーナは、ホープ村の様子が気になったようだ。

 もう少し村に滞在することを決断した。


「私達は、ホープ村のことをもっと詳しく知りたいと考えています。ご迷惑でなければ、村を回ってみても宜しいでしょうか?」


「えぇ。ついでに、村長と話をされてみてはいかがでしょうか? きっと、久しぶりの来客を喜ぶと思いますよ!」


 説明をしてくれた村の人に感謝をすると、村を歩く。

 村は、華やかな感じではなかった。

 どちらかといえば、地味な印象を受けた。


 カイル達が出会っていないだけかもしれないが、村の人を見ていると、若者が少ないことが分かる。

 他の村の人にも話を聞いてみる。


「あなた達、見かけない顔だね。どうしたの?」


「近くにある宿屋の主人に聞いて、やって来たんです。王国に行くまでに、ホープ村があることを知ったので……」


「そうだったの。でも、見ての通り何もないでしょう。」


「この村は、若者が少ないように感じたのですが、何か理由でもあるのですか?」


「ごめんなさいね。私から、詳しいことは話せないの。ただ、1つ言えることは、この村は医学で有名ということくらいね。後は、村長にでも聞いたら良いわ!」


 話をすると、村の人は逃げるように立ち去った。

 カイル達はお礼を伝えると、村長に会いに行く。

 ホープ村の人が詳しいことをどうして話すことが出来なかったのか、理由が気になった。

 その後、村長の所にたどり着いた。


「あなた方は、旅の方ですか?」


「そうです。急に訪ねて、申し訳ありません。ホープ村のことについて、お話を聞きたくて伺いました。」


「そうでしたか。ようこそ、いらっしゃいました。ですが、楽しい話ではありませんよ……それでもいいですか?」


 カイル達は、黙って頷いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る