第21話 呼び方

 アルメスク王国を後にしたカイル達は,再びメレンポッドを訪れるために足を進めていた。


 カイルはミーナ王女のことについて、聞いてみる。


「王女さ…」


「あの……気を使っていただいているところ、申し上げにくいのですが、王女様というのは少し距離を感じますね……ここは、アルメスクではないではないですし、かしこまった場でもありませんから……ミーナで良いですよ!」


「でも……」


「さすがに、それはな……」


 カイルと、タイロンは戸惑った様子だ。


「では、私もお二人の事をカイル、タイロンと呼びます。それなら、どうですか?」


「あぁ、俺はそれで良い……」


 タイロンは、納得した。

 せっかく歩み寄ってくれたのだから、その気持ちを無駄にしてはいけないとカイルも了承した。


「分かったよ……ミーナ! これから、宜しくね!」


「はい、こちらこそ!」


 ミーナは、嬉しそうな表情を見せる。

 呼び方一つで関係が変わったり、距離感が近くなったりするのが不思議だ。


「そういえば、ミーナって戦闘の経験はあるの?」


「いいえ……ありません。ただ、杖の練習はしていましたよ! これです!」


 ミーナは、杖をみせる。


「これが、練習のときに使っていたものです。攻撃などに関する魔法を教わってきました。簡単なものでしたら出来るかと……」


「それは、凄い! でも、何で杖だったの?」


「剣などとは違って、魔法を使うことが出来れば相手と距離をとることが出来ます……戦闘というよりも、護身のためというのが理由です! でも、まだまだですね……」


「大丈夫ですよ! アルメスク城でも話しましたけど、僕達も戦闘はまだまだですから…… 一緒に強くなろう!」


 ミーナは返事をした。

 戦いに対しての決意を示した。


 その後、しばらく歩くとメレンポッドが見えてきた。

 カイルとタイロンにとっては、戻ってきたという表現が合ってる。

 町に入る。


「これから、どうしましょう?」


「なぁ、クックさんにも報告しとかないか?」


「そうだね! 僕も、会っていくのが良いと思う。ミーナは、どうかな?」


「私も、クックのことは存じております。彼がアルメスク王国に居た頃に、美味しい料理を作ってくれていましたから……私も、一目会いたいです!」


「決まりですね……クックのお店に行きましょう!」


 お店まで歩いて行く。

 着くと、店の扉を開けて中に入る。

 クックがいた。


「クックさん、戻ってきました。ご報告したいことがありまして来たのですが、今大丈夫ですか?」


「どうぞ、入ってください。」


 笑顔で店のなかに、カイル達を招いてくれるクックであった。

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