第17話 国王からの要望

 逃げた兵士をなんとか捕まえることが出来た。

 バトラ王は、剣を盗んだ兵士に問いかける。


「なぜこんなことをしたんだ! 理由を話せ!」


「理由なんて、話せるわけないだろう。まぁ、狙われているのはここだけじゃないけどな……」


 王国の剣という、大切な物に対する態度。

 そして、あの話し方。

 カイルは、思い出した。ダグラスの店にも来た怪しげな男だ。


「国王様、私はこの男に会ったことがあります! この男が、剣を盗んだ犯人です。」


「なに!本当か?」


「やっと思い出したか。俺は、お前の動きをずっと見ていたけどな……」


「関所から兵を追いやったのも、あなたですか?」


「あぁ、城に連絡を入れられたら困るからな! こうも、上手くいくとは思わなかったぜ……」


 国王は表情を変えずに、強い口調で伝える。


「この者を牢屋まで連れていけ……詳しいことは、後ほど取り調べることとする。」


 兵士達は、剣を盗んだ男を牢屋まで連れていく。

 男の姿が見えなくなると、カイルは王国の剣を国王に手渡した。 

 国王は、カイル達に感謝する。


「また、礼を言うことになったな……ありがとう!」


「剣も無事なようで良かったですね……」


「うむ。ここまでの働き見事であった! だが、先ほどの男が話していていた、狙われているのがここだけではないという言葉が気になるな。」


「何か気になることがあるのですか?」


「実は今、各地で問題が起きていてな。」


「それは、気になりますね……何も起きなければ、良いですけど」


「そこで、私のわがままを許してほしい。あらゆる場所を巡って、他の国の状況や、問題を見つけて来てくれないか!」


「あの、どうして私達なのでしょうか? この王国にも兵士はいると思うのですが。何も、自分達がしなくても良いと思うのですが?」


 カイルもバトラ王に対して疑問に思ったことをぶつける。

 さすがに、そこまでのことは求められるとは思っていなかっただろう。


「当然そのような考えを持つだろうな……だが、この城に侵入者がいたとなると、城の者はもちろんのこと城下町の者まで不安な気持ちにさせてしまう。従って、警備の数を増やしたいと考えておる。」


「どうしようか?」


 カイルは、タイロンと相談をする。

 簡単な話では無いため、慎重になる。


「村に戻るというのもあるが、様々な場所に影響が出ることになれば、俺達の村にもいずれ、影響が出るかも知れねぇ。俺は、バトラ王の話を受けても良いと思う。」


「確かに、目的も達成できたから村に戻るというのも、選択肢としてはあるのかもしれない。ただ、国王様がここまで期待して下さっているからね。話を受けよう。」


 国王の方を向く。

 2人で話し合った結果を、国王に告げる。

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