第11話 関所

 クックが書いてくれた、王国の地図の様なものと、元王国料理人という肩書きによる人脈。

 それらによって、道が開けてきた。


「王国には、後どれくらいあれば着きそうなんだ?」


「クックさんがメレンポッドにいたから、その近くで、もう少しで着くと思ったんだけどね。歩いている人も居ないから、場所を聞けないしな…… どうしようか……」


 タイロンが確認の為に尋ねたが、カイルも詳しいことまでは分からなかった。

 そんなことを話しながら、2人はとにかく王国に向けて歩き続けるしかなかった。


 目の前に建物が見えてきた。

 細長い筒の様で、その近くには壁のように遮られた門がある。

 これは、王国に入る前の関所だった。

 素直に検問を受けるか、他に良い方法が無いか考える。

 そんなことを考えているうちに、あっという間に建物に着いてしまった。


「すみません! ここを通りたいのですが……」


 中からの声は聞こえない。

 建物の中に、恐る恐る入ってみる。


「どなたか居らっしゃいませんか?」


「居ないみたいだな。」


 カイルの問いかけに誰も応じない。

 少なくとも、今ここには誰も居ないようだ。


「こんなことがあるのかな? 普通は何人かで居ると思ったんだけど……おかしいな。」


「でも、居ないのなら先に行くしかねぇだろう!」


 カイルは納得はしていないようではあるが、タイロンの言う通りだ。

 建物のなかには門を開けるスイッチがあった。

 押してみると、門がゆっくり開いていった。


 その時、建物の中にあった無線機の様なものから声が聞こえてきた。


「こ……ちら……?? 今、……であ……るため、……」


 無線機の状態が良くないのか、電波が悪いのか聞き取ることが出来ない。


「クソ! 大事な部分が聞こえねぇ…… 何て言っていたんだ?」


「これから、何か動きがあるのかもしれないね…… 今、ここに人が居ないことも関係しているのかも……」


 2人は話をしながら、門を通過する。


「とにかく、今は先に進んでみようぜ。何が起きたか分かるかもしれないからな!」


「そうだね。 関所があるってことは、近くに王国もあるだろうからね。」


 2人は、歩き始める。

 歩いていると、周りの景色が変わっていくのが分かった。

 カイルが過ごした村や、タイロンが暮らしていたイカチ村のような自然のものではなく、関所なども含めて人の手によって造り出されている印象だ。


 その後も歩いていると、やっと王国が見えた。

 目の前に美しい城下町と誇らしき王宮の姿が映った。


 城下町を歩いてみる。

 宿屋から、武器や防具、戦闘や日常で必要な薬草など様々な店が並んでいるようである。 


 城下町というだけあって、見ているだけで、栄えているのが分かった。

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