第8話 船の運航状況
港町に向かって歩いている、カイルとタイロン。
ユイとの話を振り返っている。
「タイロンは、ユイさんのことをどんな人だと思った?」
「よく分からねぇな…… お前は?」
「あの場所に一人で訪れるというのは、行動力があるんだろうね。 それに、悪い人ではないと思う。何となくだけど……。」
「なんだそれ! まぁ縁があれば、また会えるだろうよ」
「そうだね!」
しばらく、話をしながら進む。
すると、海の近くまで来たからか、風に乗って潮の香りがしてきた。
「見えたね!」
「そうだな…… 町の入り口は、向こうみたいだな!」
たどり着くと、2人で町に入る。
町民が話しかけてきた。
「ようこそ! ここは船を運航することが出来る、メレンポッドです……と言いたいところですが、残念ながら今は運航をしてないんです……」
「どうしてですか?」
「すいません。私も詳しい話は分からないんです。」
「そうですか……ありがとうございました。」
理由までは聞くことができなかったが、何か問題があることは認識することができた。
「気になるか?」
タイロンがカイルに話す。
「うん……今のところ船に乗る必要はないけれど、町にとって大切なものが動いていないということは、町にとって良くないことが起きている可能性があるからね……」
「そうだな……じゃあ、町の人に聞いてみみるか。」
その後、何人かの町人に話を聞いた。
しかし、船が動いていないことは知っていても、その理由までを知っている人は、いなかった。
カイルは実際船乗り場にも行って、様子を見てみようと、タイロンに提案した。
タイロンもカイルの意見に了承した。
船乗り場に着くと、一人の町人に出会った。
「あの……お聞きしたいことがあるんですけど。」
「いいけど…… どうしたんだい?」
「船の運航が止まってしまったと聞いたのですが、何かご存知ですか?」
「あぁ……そのことか…… 正確には、運航することが出来る船もあるというのが正しいだろうね。」
「どういう意味ですか?」
「君たちは、国宝品の剣について知っているかい?」
「はい、盗まれてしまったんですよね」
ここは話がややこしくなってしまわないように、村人に話を合わせることにした。
「なんでも王国としては、剣を遠くに持ち出されないように制限をかけたいらしい…… ただし、運航許可証というのがあれば、船を出せるんだってよ!」
「そうだったんですね…… では剣が王国に返ってくると、また船の運航が出来るようになるんですね?」
「それは、分からないね。ただ、もしも原因が解決したということになれば運行に向けての話し合いが行われるということはあるかもしれないね! あの……申し訳ないけど、用があるからこの辺りで失礼させてもらうよ!」
「お忙しい中、ありがとうございました!」
村人はカイル達との会話を終えると、走ってどこかに行ってしまった。
王国の剣の影響が、船の運航状況まで関わっていることを知った、カイルとタイロンであった。
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