第48話 恫喝

 ジェイドとユーワの会話が続いてた。


 「今度は理性が残っている様で・・・良かった。少しは落ち着いてお話しができそうで・・・」


 「お前と話す事なんか私にはないんだよ・・・とっととこの手を放しなさいよ。」


 「あ、失礼失礼。まぁ、そんな事言わずにお話ししましょ。話せばわかる何事もってね。」


 「話す事はないって言ってんだろ・・・この力、貴様で試してやるよ。」


 「・・・それは、止めた方がいい。幾ら君が強くなろうと結果はさっきと変わらない・・・」


 「そんな事、やってみれば直ぐにわかるさ・・・」

 その時、ユーワは背筋がゾクッとする感覚に襲われる。


 なんだ、この感覚は・・・

 恐怖しているとでも言うのか・・・

 それは有り得ない・・・

 この身体になった事でもう恐れるモノはない・・・

 はず・・・なのにこの感覚はいったい何だと言うのだ。


 「君は私を恐れていないだろうが・・・君に力を与えたモノは違うのだろうさ・・・」


 「何なんだ貴様はいったい・・・何なんだ!」


 「うーん・・・君とは先刻の学院でも同じやり取りをしたはずなんだが・・・

 あっ、そっか、あの時は理性が欠落していたのか・・・なら、しょうがないね。」

  ニヤリとする。


 「何かしようと言うのか・・・」

  ユーワは固唾を呑んだ。


 「しょうがないなーもう・・・私の名前は、ジェイド=オージェン。享年24歳。残念ながら既婚だ(私に惚れんなよ)。しかし、嫁はまだ、居ない。」 ニッコリ

 お決まりの自己紹介をした。


 シフォンは頭を抱え、シルクとデービットは顔を見合わせる。


 「あのおっさんこの状況で何を言っているんだ。」


 「はい。そこ!おっさんって言わない!」


 「デハ、ナンテヨベバイイノデショウカ?」


 「ジェイちゃんって呼んでいいよ。」


 「・・・ふざけているのか・・・それとも・・・」


 「勿論、真面目も真面目、大真面目。いつも本気だぜ私は。」


 「イヤ、フザケテルヨウニシカミエマセーン。」


 ユーワは、ワナワナと震えだしていた。どうやら、怒りが頂点に達した模様。


 「そんなこと聞いてるんじゃねぇよ!」


 「ほへ?私の個人情報が聞きたいんじゃないのん。」


 いやいや、その言い方がだな・・・不味いと思わんのかこのおっさん。

 とデービットは思った。


 ユーワの感情を逆なでして何らかの活路を見出そうとしているのかと

 シフォンは思った。


 シルクはただ見守っていた。


 「あーもーいいわー」

 投げやりな口調に変わるユーワ。


 「へ?もういいの・・・折角なんだし、もっと突っ込んだ質問にも答えちゃうよ。まぁ、本当の事を答えるとは限りませんがね。うえるかむですよ。」


 あのおっさん。まだ、やるのかよとデービットは思った。


 流石にもう逆効果でしかないとシフォンは思った。


 シルクは黙って見ていた。


 「うっざいわぁ!ぶち殺してやんよ!」


 「やれやれ・・・学習しない方ですね。」


 いやいやいや、おっさんがそれ言っちゃうかとデービットは思った。


 シフォンは又、頭を抱えていた。


 シルクは・・・ツボに入ったみたいで笑いを堪えていた。


 ジェイドは再びユーワの腕を掴むといつにない真剣な表情で話し出した。


 「お遊びはこの辺にしておいて・・・そろそろ本題と行こうじゃないか・・・」


 「貴様ァ!その手を放さんか!」


 「構いませんよ・・・でも、今から君に選択して貰います・・・」


 「何様のつもりだぁ!」


 「そんなにイキらないで下さいよ。簡単な二択ですから・・・」


 「二択だとぉ!」


 「今すぐここから去るか、ここから消えるかの二択ですよ。」

 ジェイドはいつもながらの口調だったもののその表情はどこか冷徹なものだった。


 どこが二択なんだ。どっちも一緒じゃないかとデービットは思った。


 「今の君なら消えるの意味・・・解るよね・・・」


 ユーワは暫く黙っていたが重くなった口を開いた。


 「貴様は・・・このトキを生きる者の命を奪う権利がないんだろ?」


 「おや、そこは覚えているんですね・・・都合のいい記憶だ事で・・・」


 「フッ・・・何とでも言え・・・でも、やれないよな~今を生きる私を!」


 「あーそうそう、あの時は言い忘れてたけど・・・時と場合によるってね・・・

私にも目的みたいなモノがありましてね・・・今、彼女達に死なれたら困るんですよ・・・それに、この状況を見過ごしたとあっては、御両親に申し訳が立たないんでね。」


 何なんだこいつの内にある、あの闇は・・・そもそもあれは、闇なのか別のなにかなのか・・・わからない・・・ユーワは、ジェイドの内なる力を垣間見ていた。


 「完全な魔族になって、先程は見えてなかったモノが見える様になったのですね。だったら話しが早い・・・私にも優先順位と言う物がありましてね、

君の事は二の次って事ですよ・・・私としては、手荒な真似はしたくはないんでね。

こちらの意図を汲んでくれるとありがたいですね。」


 「・・・いいだろう・・・今日の所はこの辺で勘弁しといてあげるわ。」


 「それは良かった・・・」

 ジェイドは、掴んでいた腕を放す。


 ユーワはシフォンの方を向くと彼女に語り掛けた。


 「シフォン・・・私、このままだと、何をするか分からないの・・・ねぇ、シフォン・・・私を止めてよ。」


 「わたしがユーワさんを・・・」


 「そうよ、私たち・・・お友達でしょ・・・・・・

 あなたが止めてくれなければ・・・

 私、人を殺して殺して殺しまくっちゃうわ・・・・・・

 だってこの力を使うの・・・ものすごーく気持ちいいの。」


 「・・・・・・」

 シフォンは複雑な思いが交錯し答えられなかった。


 「まあ、いいわ・・・あなたは必ず私の元に来る・・・だって・・・私達、運命の糸で結ばれてるのですもの!そうでしょ・・・シフォンさん。」


 そう言うとユーワは姿を消すのだった。

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