第26話 サザンベル
アフリートの前に現れた人影は、アフリートの首筋を掴むとそのまま持ち釣り上げ、喋りかけた。
「アフリート様、無様ですね・・・いつまで寝たふりをするつもりですか?」と言うと思わず掴んだ手に力が入る。
「ゲホゲホ!止めろ・・・ぐ、ぐるじぃ・・・」
「おや、もう、お目覚めですか・・・・フー・・だらしないですね・・・」
人影の存在に気づいた宮廷魔導士の一人が声を挙げる。「おい!貴様、そこで何をしている!」
その声に気づくも、構わず話しを続ける人影。
「あたしですよあたし・・・わかりませんかアフリート様。あたしですよ。」
「だ・誰だ・・・お前・・・・兎に角、放せ・・・」
「悲しいですね、あたしの事を忘れるなんて・・・・幾ら、姿かたちが変わったからって・・・こんな事も解らないなんて・・・・無能すぎます。」
「おい、お前、さっきから何をしていると聞いているんだ!」そう言うと人影に近寄ろうとした魔導士だったが、次の瞬間、空間が捻じれる様に魔導士を呑み込んだ。そこに魔導士の姿は無かった、嫌、そこには、魔導士らしき下半身のみが残されていた。
「父上・・・これは、いったい・・・・」
「・・・・空間を操る魔族がいるとオージェン卿が言っていた・・・こいつがその魔族か・・・」
不味いぞ、もう、ランディを呼び出す魔力は無い・・・かと言ってあの魔族をどうにか出来る戦力は無い・・・さて、どうする。
「父上、一旦、引きましょう・・・・」
「それを許してくれる相手ならばな・・・・」
宮廷魔導士達はじりじりと下がり始める。彼らを無視する形でアフリートに喋り続ける人影。
「あたしですよ。」と言うと額の目を見開いた。
「お・お前・・・あの三つ目族の娘か・・・・契約が消滅したから、死んだんじゃなかったのか。」
「やっと、思い出してくれましたか・・・」再び手に力が入る。アフリートは蒸せかえり懇願する。
「や・止めて・くれ・・・何でも・・言う・事・・聞くから・・・」
「何でも・・・そう、何でもね。じゃぁ、死んでもらおうかしら・・・」
「やめろー!!」 こいつ・・・こんな力を持ってなっかたはずだ・・・どうなってる。
「うそですよ。貴方には、聞きたい事があるのよ・・・答えてくれたら助けてやってもいいわ。」
宮廷魔導士達は、その場から離脱に成功していた。
「どうやら、あの魔族は、我々は眼中には無かった様だな・・・・」
「しかし、これからどうすれば・・・」
「父上!提案があります。・・・私の魔力を譲渡します。そして、もう一度あの守護獣を呼び出して下さい。」
ガトーは黙り込む。そうすると他の魔導士達が声を上げる。
「我々の魔力も使って下さい。」全員が一致してガトーに魔力を譲ろうとした。
「駄目だ・・・お前達の魔力を貰う訳にはいかぬ・・・・それは、ここに居る全員が戦力外になる事を意味する・・・・お前達は、街に救援に向かえ!ここは、私が何とかする・・・」
「何を言っているんですか父上!もう魔力が無いじゃないですか!」
「魔力が無くても呼び出す方法はある・・・・ここは、私一人で充分だ!お前達は、早く街の人々を助けてこい!」
ガトーに促され宮廷魔導士達は、街へと向かう事に。しかし、タルトは、その指示に従わず。
「自分は残ります・・・・この戦いを見届けます・・・そうしなければいけないと思うから。」
「そうか、勝手にしろ・・・」
ガトーは覚悟を決め、魔族の元へ向かったのだった。
「さぁ、喋ってもらいましょうか。何故、あたしの里を襲った!何故、親だけを殺した!短絡的なあんたが考えつくはずが無い。誰だお前を操っている奴は!」
「三つ目族の特殊能力を手に入れる為だ、力が目覚める前の子供の内に契約するのに親は邪魔だからな・・・・」
「肝心な事を話して無いぞ!誰なんだ、裏で糸を引いてる奴は!」
「・・・・ウッドマン様だ・・・・」
「地上に来ている魔族の王の一人ウッドマンか・・・良い事を聞いた・・・」と言うと手を放し、アフリートを解放した。
「へへ・・・じゃぁ、俺は消えるぜ・・・・」
「ああ、言い忘れていたわ・・・あたし、名前を賜ったのよ・・・・サザンベルと。」
「ふーん、良かったな・・・・ベル・・・だと・・・ま・まさか、古き王仮初めのマリアベルか!」
「そうですよ・・・・貴方の様な小物を逃がしたとなると、マリアベル様の名に傷がつくと思いませんか?」
「おい、止めろ・・・約束しただろ。」
「ええ、約束は守りましたよ、今さっき、手を放してあげたでしょ。それに今、貴方、消えるって言いましたよね・・・手伝ってあげますよ。」不敵な笑みを浮かべるとアフリートを睨みつけるサザンベル。
次の瞬間、アフリートの体は、無数の風穴が空いていた。アフリートはその場に突っ伏し倒れ絶命した。そこへガトーがやって来た。
「おや、折角、見逃してあげたのに戻って来てしまったのね。」
「魔族よ!これ以上の狼藉は許さない・・・この命を賭けてでも・・・」
「そうね、さっきのドラゴンならあたしを倒せるかもね。でも、止めておきなさい・・・あたし達は、個人的な用事を済ませに来ただけだから、これ以上無駄な争いをする気は無いんだけど。」
「戯言を・・・・」
「これでも、貴方達には感謝しているのよ。あいつを殺る機会を作ってくれたんですから・・・・だから、見逃して・あ・げ・る。」と言ったと同時にサザンベルは、闇となって消えた。
「消えた・・・敵に情けを掛けられるとは・・・」
「父上・・・あの魔族は逃げたのですか・・・・」と言いながら駆け寄るタルト。
「・・・・・さあな。今は、街の魔族の鎮圧が先だ・・・この騒ぎだ、近衛騎士団も動くはず、我々は、魔導院に戻って全体の指揮にあたるぞ。」
王宮での戦いは、一応の決着を見たが、街での戦いはまだ始まったばかりで予断の許さない状況だった。
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