第24話 亜人の性

 姿を現したアフリートを前に宮廷魔導士達は、身構えた。それを尻目にジェイド=オージェンは、悪態をつく。


 「うわー・・・只のリザードマンかよ・・・・もっとスゲー奴が出てくるの期待してたのに・・・あーあ、興味なくしたわー」 私のワクワク返して。


 「オージェン卿!煽らないで下さい。」


 「ほへ?煽ったつもりは無いぞ・・・率直な感想をだな・・・・」


 「貴様!聴こえていたぞ!俺様は、リザードマンなんかじゃねえ!サラマンダーだ!」


 「色違いのリザードマンとちゃうの?」


 「決めたぞ・・・最初は、貴様から始末してやる!!」


 アフリートは、大きく息を吸い込むと、巨大な火球を吐き出した。宮廷魔導士達は防御魔法を張って対応したが、ジェイドは、もろに受ける格好に見えた。火球は、大爆発を起こし、控室の壁を跡形もなく吹き飛ばしていた。


 「ざまあみろ、消炭にしてやったぜ!・・・チッ、他の奴は、無事か、やるじゃねーか!」


 「皆、大丈夫か?」


 「問題無いです。全員無事です。」


 「今、一人消してやっただろ! ふん、まーいい・・・・野郎ども、そろそろ暴れて良いぞ!」


  「祭りの始まりだぁ!!」 アフリートは、両腕を天に向かって振り上げて、雄たけびを上げた。


 その合図で街中に散らばっている魔族が動き出した。街中から爆発音が響き渡り、至る所から煙が立ち上った。潜んでいた魔族が街を破壊しはじめたのだ。



 「いやはや、大きな風穴を開けたもんだ、風通しが良くなっていいですね。街が良く見えます・・・・しかし、大変な事になりましたねぇ。」

 ジェイドは、何もなかったかのように、街を見下ろしていた。


 「オージェン卿、やはり、無事でしたか・・・・」


 「問題無いぞ当主・・・街の方が、なかなか良い戦いが見れそうだな・・・・」


 「・・・・貴様ァ!何故、生きてる!」


 「うーむ、私、あっちに行こうかな・・・こっちは、大丈夫そうだし・・・」


 「オージェン卿、ここは、全員でかかって手っ取り早く終わらせましょう。」


 「き・貴様らぁ!俺を舐めてんのかぁ!!」


 「あ、ごめんごめん。舐めてないから・・・何ら問題ないと思ってるだけだから。」


 「そうですな・・・何ら問題ない。」


 「父上もオージェン卿も何を・・・・」 わざと煽ってるのか・・・逆効果なのではないか。


「ゆ・許さん!!ぶっ殺してやる!」


 その時だった、この事態に異変が生じる。




 「ワーストベル!本当にその場所で良いんですか?」


 「いいから~早くやっちゃってよサザン~」


 「知りませんよ、あたしは・・・」 もっと、目立たない場所は幾らでもあるのに・・・


 「もう、始まちゃってるよ!早く!早く!早く!」ブルンブルンと尻尾を振り回しながら。



 アリスティディス中央広場上空より、突如ととして二人の魔族が降ってきた。



 「ヤー!遊びに来たぞ~~~ヤクサーーーイ!!」 と叫びながら、公園の噴水の上に落下した。落下の勢いで噴水は粉砕され、水は、止めどなく溢れ続けた。公園全体が水浸しになるのは、時間の問題だろう。


 「あれれー・・・誰も居ないぞ~。ここ、街の中心だよねー。」


 「・・・ワーストベル、この情勢下で、この様な人目に付きやすい場所には、人は寄り付きませんよ・・・・」


 「そなの・・・・まあ、いっか!ここで暴れてれば、きっと来るよ。」


 ここから少し離れた場所で、ひと際大きな爆発音がした。


 「およ、派手にやってんね!うちも行ってみようかな・・・」


 「ここで暴れるんじゃなかったんですか・・・・いいですけど、あそこは、学校とか言う場所ですよ、ワーストベルの求める強い奴は、居ないと思いますよ。」


 そうこうしてると、公園に宮廷魔導士二人と獣士隊三人が駆け付けた。


 「貴様ら、良くも公園をぶっ壊しやがったな!」 亜人の一人が叫んだ。


 「人間と亜人が向こうから来てくれましたよ、ワーストベル。」


 「キャハ、んじゃ、遊んじゃおうかな・・・・」


 「おい!そこのお前!お前も、『獣人』だろ、何やってんだよ!」


 亜人がワーストベルに対してはなった言葉がいけなかった。

 今まで上機嫌だったワーストベルが豹変した。ワーストベルは、目がつり上がり、牙をむき出しになり、尻尾もパンパンに膨れ上がり、怒りの形相で吠えた。


 「てーめーらと一緒にすんじゃねぇ!!」


 そして、怒号の様な声で言葉を発した。



 『てめーらは、黙って見ていろ』 と。その怒声は国中に響き渡た。



 そして、獣士隊の亜人達が膝をつきブルブルと震えだしていた。


 「おい!獣士隊何やってるんだ!」



 「・・・・すまねえ・・俺らは・・・もう・・戦えねえ・・・・」



 「何言ってる!戦いは、これからだぞ!」


 「誓約をかけられた・・・・」


 「セイヤク?何のことだ!」


 「これは・・亜人の性・・・圧倒的上位の存在に対しては・・・・絶対服従してしまう・・・さっきの文言には、誓約の力が込められていた・・・これに抗う事が出来るのは・・・あいつより上位か同等の存在だけだ・・・・」


 「なんだって・・・・それじゃぁ、獣士隊はもう・・・・」


 「あぁ・・・あいつに抗える奴は・・・ここにはいない・・・」


 「さーーー殺ろうか・・・人間!」


 「くそ!こうなったら、二人でやるぞ!」と言った瞬間、宮廷魔導師は、ワーストベルの爪で引き裂かれた。


 二人の宮廷魔導士は、何をされたかも分からないまま、崩れ落ちた。


 「・・・サザン~・・あんたもここに殺りたい奴いるんだろ・・・行って良いよ・・・」


 サザンベルは、身の危険を感じたので、素直に従う事にした。


 「ああ、行かせてもらうよ・・・・あまり、無茶なさらぬ様に・・・・」


 「わかってるよ・・・・」


 サザンベルがその場から立ち去ると、ワーストベルは、王宮の方を見上げ、睨みつける様に見ていたのだった。

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